スマートホームはいらない?不要と考える理由と将来的に必要になるケースを解説

日本でも徐々に利用が進むスマートホームサービス。スマートホームはさまざまな機器や住宅設備をインターネットを介してつなぎ合わせることで、快適な日常生活をサポートしています。
しかし、なかにはスマートホームを不要だと感じている人もいるようです。なぜスマートホームはいらないのか、また不要だと感じていながらも将来的には必要になるかもしれないケースについて解説します。
スマートホームはいらない?
近年、スマートホームに対する関心が高まっていますが、一方で「スマートホームは必要ない」と考える声も多く聞かれます。なぜ一部の人々がスマートホームを不要と感じるのか、その理由を紐解いていきましょう。
設定が難しい
スマートホームのデバイスを設定する際、一定の技術的な知識や手間が必要とされることがあります。
機器とWi-Fiとの同期がたまに反応しないこともあり、ひとつの設定で30分以上かかることもあります。専門的な操作やアプリの設定が難しく、使い始めるまでのハードルが高いと感じる人もいるようです。
スマートホーム・IoT機器をそろえるコスト
スマートホームを構築するには、複数のデバイスをそろえる必要があります。
具体的には、最低でも以下が必要です。
- 回線
- WiFi
- スマートスピーカー
- スマートハブ(場合により)
- スマート家電
一定のコストがかかるため、予算の制約がある人々からは敬遠されることがあります。
インターネット環境の整備
スマートホームデバイスを、その名のとおり「スマート」に動作するには、安定したインターネット環境が不可欠です。
特に、遠隔からの操作やほかのデバイスとの連携を考えると、高速で安定したWi-Fi環境が求められます。
光回線や5Gのような高速インターネットの導入が進んでいない地域もあるため、まずは信頼性の高い通信インフラを選ぶことが重要です。
アプリの使い勝手の向上
スマートホームデバイスの操作性が不足していることは、消費者からのフィードバックやレビューでよく指摘される点です。
特に、デバイスのオンオフの切り替えがわかりにくい場合は、デバイスの設計やアプリのUI/UXに問題があります。
これは、企業努力がまだ足りていない、ポジティブにいえば発展途上の分野のため起きている問題でもあるでしょう。
セキュリティ面が不安
スマートホームデバイスのセキュリティは、消費者の信頼を得るための重要な要素です。
たとえば、以下のような多岐にわたるセキュリティ対策が求められます。
- デバイスやアプリのアップデートによるセキュリティパッチの適用
- 二要素認証の導入
- 暗号化された通信の利用
しかし、セキュリティ面を強化した結果、アプリの使い勝手が低下してしまうこともあり、非常に難しい問題といえるでしょう。
ワンルームといった狭い住居ではあまり効果がない
スマートホームの恩恵を最大限に受けるには、広い住宅や多くの家電が必要です。一方で、ワンルームや狭い住居では、その効果を感じにくいことがあります。
しかし、狭い空間だからこそ、デバイスの選び方や配置を工夫すれば、十分な効果を得られるでしょう。
たとえば、間接照明をたくさん置いているワンルームでは、スマートホームを活用して間接照明をひとつずつ点ける手間を無くしつつ、おしゃれな部屋を演出できます。
各国と比べてスマートホームの普及率が低い日本
世界各国においてスマートホームの普及が進行中であり、特にアメリカや中国ではその速度が著しいことが知られています。
ルームクリップ株式会社と一般社団法人LIVING TECH協会が共同で調査を行い、スタティスタ・ジャパン株式会社が協力して発表したレポートによると、アメリカや中国のスマートホーム機器の所有率は80%を超えており、ヨーロッパの中でもノルウェーが66%と高い所有率を示しています。

しかし、日本はこの全球的なトレンドとは裏腹に、13%という比較的低い所有率にとどまっています。
さらに、総務省の「情報通信白書(令和4年版)」では、9.3%とさらに低い数字が報告されています。
日本のスマートホームの普及率の低さには、いくつかの要因が考えられます。先ほどのルームクリップ社とLIVING TECH協会の調査によれば、日本の消費者がスマートホームに持つ印象として、「コストが高い」というネガティブな要因が強調されています。
また、「ネット接続による利便性」や「遠隔操作の利便性」は日本の消費者にとってのメリットとして挙げられるものの、それだけで大きな普及を促進するには至っていないようです。
対照的に、海外の消費者は「セキュリティを高める」や「経済的なメリットがある」「環境に優しい」といったポジティブな印象を持っています。この違いは、国ごとの文化や価値観、生活スタイル、インフラの違いなどが影響していると考えられるでしょう。
しかし、本来であればスマートホームを利用することで自由な時間が増え、コストの回収も難しくないはずです。
日本におけるスマートホーム普及の遅れの一因として、専業主婦世帯の多さや賃貸住宅の普及率が高いことが指摘されています。賃貸住宅では、自らが施工する大きな改修が難しいため、スマートホームの導入に二の足を踏むことが多いとされているようです。
しかし、これらの要因だけで日本の低い普及率を説明するのは難しいでしょう。文化や価値観、技術へのアプローチや市場戦略の違いなど、多岐にわたる要因が絡み合って、日本独自のスマートホーム市場の現状が形成されているといえます。また、日本の上昇しない賃金などが消費者に二の足を踏ませているのかもしれません。
今後、スマートホーム技術の進化とともに、日本の普及率も向上していくことが期待されますが、そのためにはさまざまな課題の解決が不可欠です。
今後、スマートホーム環境が必要なるかもしれないケース

現状はいらないと感じていても、今後スマートホームの導入を検討するケースがいくつか存在します。
遠方に家族や親戚が住んでいるケース
遠方に住む家族や親戚とのコミュニケーションをスムーズに行いたい場合、スマートホームデバイスは便利です。
ビデオ通話やリモートコントロール機能を活用して、遠く離れた人とのつながりを保てます。リビングのスマートカメラからいつも部屋をつなげて交流したりといった、新しい形態のコミュニケーションが可能になるでしょう。
また、家電や機器の利用状況を遠隔から確認することで、高齢になった親や親戚が日常の生活をきちんと送れているのか、とった見守りにも活用できます。
室内ペットを飼育しているケース
室内ペットを飼育している場合、外出中にペットの様子を確認したり、適切な環境を保ったりするためにスマートホームデバイスを活用できます。
自動給餌器や監視カメラを使用すれば、ペットの安全と健康を守れるでしょう。
子育て・共働き世帯
子育てをする共働き世帯では、忙しい日々の中で家事や育児を効率的に行いたいというニーズがあります。
定刻になったら自動的に洗濯機を動かしたり、子ども部屋の明るさを調整したりすることが可能です。
こういったケースのように、多くの人々がスマートデバイスを活用して快適で効率的な生活を送っています。
現在は必要性を感じなくても、ライフスタイルの変化や技術の進化によって、スマートホーム環境はますます重要になるでしょう。