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スマートマンションの仕組みを解説。MEMSの役割や活用シーンを紹介

スマートマンションの仕組みや活用例などについて解説します。

SDGsや環境問題といった世界的に注目されている課題を背景に、注目が集まっているスマートマンションやMEMSとはどういったものなのでしょうか。

スマートマンションを解説

スマートマンションという言葉に、聞きなじみがないかもしれません。スマートマンションは年々供給数が増えており、今後も高い需要が見込まれるマンションです。まず、スマートマンションの概要について紹介します。あわせて、スマートマンションにおいて欠かせない設備であるMEMSについても解説します。

スマートマンションとは

スマートマンションとはマンション全体のエネルギー管理を行うことができるマンションを指します。昨今ウクライナ情勢などによってエネルギー不足が懸念されており、日本でも電気料金が高騰しています。そのため日々の電気をはじめとしてエネルギーの管理を行い、見える化することでエネルギー消費量を抑えることが重要視されています。スマートマンションではマンション全体のエネルギーを管理し、節電やピークカットを行います。また各家庭が電気契約するのではなく、管理組合が一括で契約しています。通常のマンションは各世帯が電気会社と契約しますが、スマートマンションでは建物全体で電気会社と契約するというイメージです。一括契約することで戸建住宅などの個人家庭と比べて電気料金を安くすることも可能なメリットがあります。

MEMS(マンションエネルギー管理システム)

スマートマンションにおいて、MEMS(Mansion Energy Management System:マンションエネルギー管理システム)は欠かせない設備です。戸建住宅(スマートハウス)の場合、HEMS(Home Energy Management System)といわれる機器を利用しますが、双方の設備はほとんど同じです。

HOME(戸建て)であるから頭文字の「H」を使用しており、マンションであるから「M」を頭文字に持ってきています。すでにHEMSを使っている方はMEMSをイメージしやすいでしょう。MEMSとは、マンションの使用電気量を見える化できる機器であり、電気機器類をコントロールすることも可能です。たとえばマンションの共用部などに設置すると、マンション全体の電気使用量を目視で確認することができ、使いすぎた場合は節電意識を高めることにも役立ちます。さらにMEMSで空調のコントロールなども行うことができます。よりエネルギー管理を行うことができる機器と認識しておきましょう。

MEMSの導入背景

もともとスマートマンションは2013年から2015年に補助金が交付され、多く建築され始めたのがMEMS導入のきっかけです。以前からエネルギー不足が懸念されていたため、政府はスマートマンションやスマートホームなどの普及を促しておりました。現在では、認知度とともに理解が広がり、さまざまな地域で建築されております。MEMSは各マンションのエネルギー消費量を把握できます。2010年から2014年にかけてエネルギー不足が深刻化し、電気料金も約25%上昇しています。そのため各家庭が節電を意識してもらうためにもHEMSやMEMSの導入が増えてきました。さらにロシアウクライナ問題の発生によって、よりエネルギーに対する理解度が深まり、MEMSの導入が活発化している現状です。

スマートマンションにはどのような効果がある?

スマートマンションはエネルギー消費量を見える化することができますが、どのような効果があるのでしょうか。ここでは2つの効果と活用事例を紹介します。

SDGsやESGにつながる

SDGsやESGなど、昨今では環境問題や社会貢献などが世界的な関心事になっています。エネルギー消費量を抑えることや脱炭素など、建物に対する省エネなども今後ますます着目されることが予測できます。スマートマンションも同様に社会貢献のひとつとなり、環境に配慮した建物であるため、SDGsやESGにもつながる効果が期待されています。

電気代が安くなる

スマートマンションは各戸と電気契約をするわけでなく、マンション1棟丸ごと高圧一括受電となり、電気の節電が可能です。さらに通常各戸で契約する電気は50kw未満です。しかし高圧契約は総電力が500kw未満で、電気使用料が多い建物が使用できる特権であり、1kwあたりの電気代が安く設定されています。そのためスマートマンションは各戸で契約するより安くなるメリットがあります。

MEMSを使った活用例

MEMSが導入されるのはマンションだけではありません。サービス付き高齢者向け住宅に導入された実例があります。高齢者施設は介護や医療などを行うため、月々の電気料金が高額です。そのためMEMSを利用して電気料金を見える化し、節電を行っています。さらに室内の湿度や温度をコントロールできるため、高齢者であっても快適に過ごすことが可能です。さらに電力モデルをMEMSで構築し、入所者の生活リズムの変化をいち早く検知することができるため、異変があった際は本人だけでなく家族などにも即座に連絡することが可能となりました。

マンションのスマートホーム化で、効率的なエネルギー管理が可能

マンションのスマートホーム化をすることで、効率的なエネルギー管理を行うことができます。実際どのようなことが可能なのでしょうか。ここではスマート機器の利用方法を紹介します。

エネルギー管理によって節約できる

マンションの共用部の照明や空調の電気代は年間に換算すると高額にもなるでしょう。もちろんマンションの規模によって電気代は異なりますが、MEMSを導入しておけば節電につながるため、管理費などを抑えられます。マンションの共用部は各戸の入居者が負担することになりますが、月々1万円を超えることも多く、決して安い費用ではありません。しかしスマートマンションにしておけば、さまざまな節電ができるため、電気代を抑えることができ、居住者が支払う管理費の節約が可能となります。

スマートホームやIoT機器との相性が高い

近年さまざまな設備がIoT化され、より利便性の高い住宅にすることが可能です。IoT化に対応した家電を取り入れることで以下のような操作が可能となります。

  • エアコンをスマホで操作できる

帰宅時間に合わせて外出先からスマホを使ってエアコンをつけておくことが可能です。夏の暑い時期や冬の寒い時期に合わせて家を快適な温度環境にしておくことができます。

  • 家電や設備を遠隔操作できる

IoT化した家電や設備であればスマホで遠隔操作することが可能です。買い物先で冷蔵庫の中身を確認できたり、お風呂を沸かして置いたりすることができます。また鍵の施錠確認や照明のオンオフなども遠隔で操作できるため、防犯性能も高くなるメリットがあります。
IoTを取り入れる場合は各戸で取り入れることになりますが、スマートマンションに取り入れることで、共有部などの電気制御や空調操作をスマホなどで一括で行うことが可能となります。