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共働き世帯の抱える家事の問題とは。その内容と対策を紹介

共働き世帯が増えているとは聞きますが、実際どのような状況なのか、共働き世帯が抱えている問題点はどのようなことなのか、様々なデータをもとに紹介します。   あわせて、どのような対策や方法があるのかについても解説します。

共働き世帯が抱える問題

2020年9月に内閣府から「令和2年版男女共同参画白書」が公表されました。 この発表を参考に共働き世帯の動向や問題点について解説します。

共働き世帯は年々増加

共働き世帯は年々増加傾向にあります。   下図の通り1980年以降共働き世帯は年々増加しており、1997年には専業主婦の世帯を上回り、2012年以降はさらにその差が開いています。

内閣府「令和2年版男女共同参画白書」より

  下図の通り、妻がフルタイムで働く共働き世帯は1993年以降少しずつ減っていましたが2015年以降は上昇に転じました。   一方で妻がパートで働く共働き世帯では1985年以降上昇を続けており2019年では1985年の約3倍の世帯数になっています。

内閣府「令和2年版男女共同参画白書」より

意識の変化と実情

意識のうえでは、「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきである」という考え方について男性・女性を問わず、反対する意見が増加傾向にあります。 2019年の調査において女性の63.4%が「反対」「どちらかといえば反対」の立場にたち、男性では55.7%が同様の意見になっています。

内閣府「令和2年版男女共同参画白書」より

  しかしながら、実際には下図の通り女性が「家事・育児・介護」に多くの時間を割いており、男性は1976年と比べて少し増えてはいるものの、多くの時間を「仕事等時間」に費やしていることがわかります。

内閣府「令和2年版男女共同参画白書」より

  「家事・育児・介護」には、実際に作業する時間以外に準備をするための時間も必要です。 下図では、「食材や日用品の在庫の把握」「食事の献立を考える」「家族の予定を調整する」などの家事や家庭生活のマネジメントを夫婦のうちどちらが担当しているかを問うたものですが、「妻」「どちらかというと妻」とするものが約半数になっており、「食材や日用品の在庫の把握」「食事の献立を考える」の項目においては8割を超えて妻が担当していることがわかります。

内閣府「令和2年版男女共同参画白書」より

共働き世帯はどのような問題があるのか

1.働き過ぎによるストレスの増加

働いていながら、家事や育児、介護の時間が長くなると生活満足度が低くなり、ストレスが強くなることから、生活の質を下げることにつながる可能性があります。

内閣府「令和2年版男女共同参画白書」より

 

2.家事と仕事の両立の難しさ

そのため、家事と仕事を両立する難しさが浮き彫りになってきています。 下図のように、「第1子の妊娠・出産を機に仕事を辞めた理由」では「子育てをしながら仕事を続けるのは大変だったから」が52.3%と最も大きな要因となっています。   また、「正社員でフルタイム勤務」を希望する女性は、末子が未就園児の時は約1割であるところ中学生以降では4〜5割に達していますが、実際に「正社員でフルタイム勤務」をしている方は末子が中学生以降でも2割弱となっています。

内閣府「令和2年版男女共同参画白書」より

 

3.介護・看護を理由とする離職者の多くは女性

介護・看護を理由とする離職者は減少していますが、依然として離職するのは多くが女性となっています。   介護と仕事の両立について、40歳~50歳代の方の7割以上が不安を感じており、「自分の仕事を代わってくれる人がいないこと」「介護休業制度等の両立支援制度を利用すると収入が減ること」を不安の理由としています。

内閣府「令和2年版男女共同参画白書」より

共働き世帯が負担になっている家事

共働き世帯が負担になっている家事はどういった家事なのか、どのように時短をしたいと考えているか、アンケート調査を参考に解説します。

どういった家事を手間と感じて時短をしたいと考えている?

どういった家事が手間だと感じて時間短縮をしたいと考えている方が多いのかを各社のアンケート調査結果から紹介します。   パナソニックが2019年に行なった20歳〜40歳台の既婚の男女500名を対象に「家事の時短」に関する意識の実態調査の結果を紹介します。   調査結果では、約9割の方が家事の時短を求めていることがわかりました。 家事の手間を減らしたい、時短をしたいと思う家事の分野は次のようになっています。 1位「洗濯(衣類を洗うことから服をたたみしまうところまで)」(53%)、 2位「料理(調理から片付けまで)」(52%)、 3位「掃除・片付け」(51%)   2020年1月料理写真共有アプリ「SnapDish (スナップディッシュ) 」を運営するヴァズが同アプリの利用者から「料理に関する家事の時短」について調査を実施した結果を公表しました。   こちらの調査結果では9割の方が、料理に関する家事の時短をしたいと回答しています。   「料理に関する家事を、時短したいと思いますか?」という設問に対して「とてもそう思う」、「そう思う」の回答を合計して92%の方が時短をしたいと考えていることがわかりました。 中でも平日の夕食にかかる時間を短縮したいと考えている方が多くいます。

ヴァズ「料理に関する家事の時短」について調査 より

  料理にかける時間は次のようになっており、時間がかかる調理時間を短縮したいと考えている方が多くいることがわかりました。
  1. 「献立決め」11.3分
  2. 「食材の買い出し」30.1分
  3. 「調理」35.4分
  4. 「盛付け・配膳」8.0分
  5. 「調理器具・食器の洗い物」16.0分
  6. 「キッチンの清掃・後片付け」14.0分

ヴァズ「料理に関する家事の時短」について調査 より

  短縮したい調理関連は次のようになっています。
  1. 「調理」65%
  2. 「キッチンの清掃・後片付け」57%
  3. 「調理器具・食器の洗い物」56%
  4. 「献立決め」38%
  5. 「食材の買い出し」33%
  6. 「盛付け・配膳」15%

ヴァズ「料理に関する家事の時短」について調査 より

  なお、時短はしたいけれども大切にしたいこと(妥協したくないこと)に、ついては以下のようになっています。
  1. 「美味しさ」83%
  2. 「栄養バランス」70%
  3. 「食費の節約」46%
  4. 「見た目の良さ」40%
  5. 「品数」30%
  6. 「手作り感」29%
  7. 「ボリューム」19%

ヴァズ「料理に関する家事の時短」について調査 より

コロナ禍においても共働き世帯では、女性の家事負担が大きい

2022年2月にgroove agentが、東京都に住む30代〜40代の既婚男女1000人を対象に、1年前と比較した家事負担の変化、家事分担を円満解決する秘訣、「コロナ禍以降に導入して満足しているグッズ・家電について行なったアンケートの調査」結果を紹介します。   夫婦間の家事負担の増減についての設問では以下の結果でした。
  1. 「変わらない」53.5%、
  2. 「自分の家事負担が増えた」33.0%
  3. 「自分の負担が多かったがパートナーが協力してくれるようになった」7.7%

groove agent「コロナ禍以降に導入して満足しているグッズ・家電について行なったアンケートの調査」より

  「自分の負担が多かったがパートナーが協力してくれるようになった」と答えた方のうち女性は63.7%、男性が33.3%の結果になりました。

groove agent「コロナ禍以降に導入して満足しているグッズ・家電について行なったアンケートの調査」より

 

具体的な時短や手間削減の工夫

先のパナソニックの調査において家事の時短や手間を減らす工夫についても尋ねています。   時間の短縮や手間を減らすために独自の工夫をしている方は約半数をしめており、具体的な工夫として次のように家電を活用する方がみられます。
  • 食洗機の活用と、食洗機の排水の温水を利用してフライパン、鍋を洗う
  • ロボット掃除機やドラム式洗濯乾燥機など時短家電を使う
  「時短家電を積極的に取り入れたい」と思う方は約9割、「家電に家事を任せて夫婦や家族の時間を作りたい」方は8割強が肯定しており、家事の時間短縮や手間を減らすために家電を利用したい方が多いことがわかります。   groove agentのアンケート結果からも紹介します。   コロナ禍以降に導入しているグッズや家電を尋ねたところ次のようになっています。 掃除機や空気清浄機など衛生関連の家電が約4割となり、調理家電が次いで多くなっています。

groove agent「コロナ禍以降に導入して満足しているグッズ・家電について行なったアンケートの調査」より

共働きは税金面でのメリットもある

共働きのために悩みがありますが、一方で共働き世帯には税金面でのメリットもあります。
  1. 100万円まで住民税が非課税
  2. 103万円まで所得税が非課税
  3. 106万円(又は130万円)まで社会保険料免除
  4. 所得が分散できる

1.100万円まで住民税が非課税

所得が100万円以下であれば住民税は非課税になります。 給与所得控除額が55万円あり、住民税の非課税限度額が45万円になっているため100万円以下の所得には住民税がかかりません。 ただし、市区町村によっては均等割りの住民税が課されることがあります。

2.103万円まで所得税が非課税

所得税の課税所得は、基礎控除と給与所得控除を差し引いた額になります。 基礎控除は48万円、給与所得控除は55万円ありますから合計して103万円以下の所得であれば所得税はかかりません。 さらに、夫婦の一方が正社員で他の一方にパート収入がある場合に正社員の方は配偶者控除または配偶者特別控除を受けることができますから、その分所得税が減税されます。   参考「家族と税|国税庁

3.130万円(又は106万円)まで社会保険料免除

原則として130万円まで(中規模以上の会社では106万円まで)は社会保険料が免除されます。

4.所得が分散できる

所得税は所得が多くなると税率が高くなる累進課税になっています。 そのため同じ世帯収入であれば1人よりも2人の方が所得税は安くなります。

共働き世帯の生活利便性の向上。ポイントはスマートホーム?

スマートホームとは、スマートフォンと家電をネットワークでつなぐことでスマートフォンや声によって家電を操作できる「賢い、おしゃれな、無駄のない」家のことです。   スマートホーム化を導入することで家事の時短や能率化にどのように役立つかを解説します。実は共働き世帯にとっても役立つシステムなのです。

スマートホームやスマート家電の活用がおすすめ

これまで共働き世帯が増加している中で、働きながら家事をしていくことの難しさや、家事を担う方の負担について、また、家事の時短や手間の削減を希望している方が多いことを紹介してきました。   スマートホーム化することで、家事の時間短縮や手間を大きく省くことができ、家族とリラックスした時間を過ごすことができるようになります。

スマート家電の活用事例

スマートホーム化することで、どのようなことができるのか、事例を紹介します。

スマートロック

スマートロックにすることで、鍵をポケットやカバンの中から取り出さなくても玄関に近づくだけで解錠ができますから、休みの日にまとめ買いをして両手がふさがっていても、子どもを抱きかかえていたとしても手間取りません。   子どもに留守番をさせるときには鍵を子どもに預けないといけませんが、子どもが鍵を失くしてしまうおそれもあります。   子どもにはスマートフォンや小さなタグを持たせてやれば、カバンの中に入れっぱなしで解錠できますから鍵を失くす心配もなくなります。   家事の負担を減らすためや留守番をする子どものために家事代行サービスや家庭教師、また介護サービスなどの外部委託サービスを利用する時もスマートロックにすれば外出先から玄関の鍵を解錠できますから鍵を外部の方に預けることがなく安心です。   また一時的な電子キーをスマートフォン経由で渡すことができますから、留守中でも自由に訪問してもらいサービスをうけることもできます。   サービスを解約する場合には、一時的な電子キーを使えなくすることも簡単にできます。

スマートカメラ

スマートカメラを導入しておけば留守番をさせている子どもの様子やペットの様子を見守ることができますし、留守中の防犯にも利用できます。   訪問サービスをしてもらっているときなどもスマートカメラを通じて外出先から会話ができますから、急な打ち合わせ事項があっても対応できます。

スマートリモコン

赤外線を利用するリモコンで操作するエアコンやテレビ、調光機能付きの照明などのリモコンもスマートリモコンを取り入れればリモコンを一つにまとめることができます。   テーブルの上にずらっと並んでいたリモコンが一つになればすっきりとしてリモコンを探し回ることもありません。   また、スマートリモコンにすることで外出先からでもエアコンなどの操作が可能になります。暑い夏や寒い冬でも家に帰れば既に適温になっていますから、いつも快適に過ごすことができます。   また外出先でスイッチの切り忘れが心配になっても大丈夫。電気代の心配もなくなります。

スマートスピーカー

スマートリモコンの多くがスマートフォンから操作する必要があるのに対し、それをもっと 手軽に操作可能にするための機器がスマートスピーカーです。 スマートスピーカーがあれば、人間に声で指示するかのように、家中の機器に音声で命令を伝えることができます。 「リビングの電気をつけて」「エアコンの温度を20度にして」とスマートスピーカーに話しかけるだけで、それらの動作ができてしまいます。   また、スマートスピーカーに対応したスマート家電であれば、Wi-Fiを経由してスマートスピーカーに繋がり、よりスムーズに動作させることが可能です。   その他にも、朝出かける前に今日の天気の確認から電車の運行状況や渋滞情報まで確認できますから朝の忙しい時間も効率よく準備して出かけることができます。その日の予定を覚えさせておけば、子どもの時間割や会議の資料を確認してくれますから忘れものもなくなります。   タイマーをセットしておけば、出かける時間をスマートスピーカーが教えてくれるので遅刻もなくなります。   朝子どもに出かけさせる準備をしていてもスマートスピーカーに声掛けすれば代わりにスイッチをいれてくれるのでとても便利です。

その他

  • 自動で湯沸かしや洗浄をしてくれる自動のお風呂
  • 天気や洗剤の種類によってコースを自動で選んでくれる洗濯機
  • 冷蔵庫の中にある食材を覚えてくれてレシピの提案や必要な買い物を教えてくれる冷蔵庫
  • 自動で掃除をしてくれる掃除機
自動調光機能がついた照明器具では朝の目覚めは少し明るめに、夜間の照明は落ち着いた明るさにするなど時間帯に応じた照明も可能になります。

スマートホームサービス提供会社に相談

スマートホーム家電はいろいろなメーカーから様々な製品が販売されています。 どれを選ぶか迷ってしまいますが、そのようなときにはスマートホームサービス提供会社に相談してみましょう。   スマートホームサービス提供会社ならいろいろなメーカーの商品を扱っていますからワンストップで適切なアドバイスを受けることができます。なにより、今までの経験にもとづいて相談にのってくれるのが安心でうれしいところです。