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犬の留守番、長時間は要注意。リスクや対処方法を解説

コロナ禍において、家で過ごす時間が増えたことから、ペット飼育を始める家庭が増えているようです。

在宅ワークなどが主流となっている一方で、出勤日など外出のため家を空ける際には、ペットのみが留守番するといったケースも少なくありません。今回は、犬を長時間留守番させる際のリスクやその対処法について解説します。

犬を長時間留守番させる世帯はどのくらいいる?

犬に留守番をさせている家庭はどのくらいあるのでしょうか。また、どのくらいの時間を犬に留守番をさせているのでしょうか。

ペット犬の8割は留守番を経験。週に4日以上は半数以上!

ドッグカメラ「Furbo(ファーボ)」を展開するTomofunが、日米の25歳〜45歳の女性のドッグオーナー1,759名(うち日本は759名)を対象に、愛犬の留守番に関する実態調査を実施した結果を2017年に公表しています。

同調査によると、ドッグオーナーの8割以上がペットの愛犬を留守番させたことがあり、ドッグオーナーの半数以上が週に4日以上留守番をさせていることが分かりました。

「犬をどれくらいの頻度でお留守番させていますか?」という設問に対して、日米ともに80%以上の方が留守番をさせたことがあると回答をしており、さらに日本では「ほとんど毎日」とする方は31%となっています。

Tomofun「愛犬の留守番に関する実態調査」より

また、家電メーカーのパナソニックもペット(犬・猫)を室内で飼っている方620名にペットの留守番の頻度についての調査結果を公表しています。

こちらの調査でも8割以上の方が、留守番をさせていることが分かりました。

また1週間に1日〜3日の留守番をさせる割合は28.2%、1週間に4日以上の留守番をさせる割合は54.8%と、高い割合を示しています。

パナソニック「ペットのお留守番に関するアンケート結果」より

ペット犬の留守番時間4時間以上が約7割!

犬を留守番させたことがある方のうち、日米とも約7割の方が4時間以上の留守番をさせたことがあると回答し、日本では8時間以上の留守番をさせていることが分かりました。

こちらも先のTomofunが公表した調査結果によるものです。

Tomofun「愛犬の留守番に関する実態調査」より

つまり、犬を飼育しているほとんどの家庭で、犬を長時間留守番させていることが分かりました。

コロナ禍におけるペット飼育への影響

一方で、コロナ禍になったことで、それ以前と比較して飼い主とペットが同じ部屋で過ごすことが多くなっていることも分かっています。

2021年11月に公表された、パナソニックがコロナ禍以降に改めて行った「在宅時間の増加によるペットの変化やペットオーナー自身の生活の変化などについて」の調査を見てみましょう。

こちらの調査によると、コロナ禍の影響で長く続いた外出自粛や在宅勤務などのために在宅時間が増えた結果、犬や猫などのペットを飼う方が増え、ペットと飼い主との関係にも変化があることが分かります。

飼い主やその家族が在宅しているとき、ペットはどこにいたかの調査では、コロナ禍以降ではそれ依然と比べて「飼い主がいない部屋で放し飼い」は減少し、「飼い主と同じ部屋で放し飼い」が増えていることが分かります。

パナソニック「在宅時間の増加によるペットの変化やペットオーナー自身の生活の変化などについて」の調査 より

また、飼い主の在宅時間が増えてペットと一緒に過ごす時間が増えたことで、約2割の方がペットのいたずらや無駄吠えが増えていると感じていました。

自由回答でペットの行動で気になることを尋ねた結果、以下のような回答がありました。

  • 人を見て吠えること、無駄吠えが増えた
  • 甘えん坊になり、一人でいられなくなった
  • 在宅時はおとなしいが、留守番でいたずらをするようになった
  • お腹が空いて我慢ができず、1日2食が3食になっている
  • なかなか散歩ができないのでストレスが溜まっていると感じる
パナソニック「在宅時間の増加によるペットの変化やペットオーナー自身の生活の変化などについて」の調査 より

犬を長時間留守番させることの注意点

犬を長時間留守番させることで注意をしておきたいことには次のような点があります。

  1. 留守番中のいたずら
  2. 事故、火災などのおそれ
  3. 犬の病気

犬のいたずら

飼い主と一緒にいるときは、おとなしくて、いい子にしている犬が留守番している間にいたずらをしており、帰宅したらびっくりしたということをよく耳にします。

  • ゴミ箱がひっくり返っている
  • クッションがボロボロになり中身がばらまかれている
  • ペットシーツが引き裂かれている
  • ティッシュの箱の中身が全部抜かれていた
  • ケージをこじ開け入室禁止の寝室、入ってはいけない場所に行っていた
  • 物をこわしていたりひっくり返したりしている
  • オシッコやウンチをところかまわずしていた
  • 電気コードをかじったあとがある

など。 

しかし、犬は飼い主を困らせるためだけにいたずらをしているわけではありません。

留守番中にイタズラをするのには理由があります。

事故 火災などのおそれ

ペットのいたずらも、大事に至らないいたずらで済んでいる内はがまんをすればよいのですが、留守番している間に事故や火災などの原因になるおそれがあります。

NITE(ナイト:独立行政法人製品評価技術基盤機構)が公表した資料によると平成24年度〜平成28年の製品事故情報のうち、ペットや小動物。害虫による事故は78件あり、そのうちペットによる事故は26件あります。

また、事故件数の約72%にあたる56件が火災に至っているのです。

ペットが原因の事故の中には、犬や猫がガスコンロやIH調理器などのスイッチを入れたために火災になった例もあります。

ペットがとびのったり、スイッチを押したりしても事故にならないように次のような対策をとっておきましょう。

  • 機器にロックをかける
  • 出掛けるときはペットをケージに入れる
  • ガスの元栓を閉める
  • 電気製品のプラグを抜く
  • 近くに燃えるものをおかない

身近な動物が思わぬ火災事故を引き起こします~ペットだけでなく、ネズミやゴキブリなどにも気を付けて~ | 製品安全 | 製品評価技術基盤機構

NITE「ペットに関わる事故の注意喚起」より

犬の病気やけが

留守中の犬の問題行動や事故とならんで飼い主にとって、気がかりなことは犬自身の病気やけがについてです。

犬と一緒にいる時間が限られていると、犬の不調に気がつきにくくなることがあります。

犬と一緒にいるときには、なるべく多くスキンシップをとり、痛みや不調がないか、動きに異変はないかなどを確認して、犬の健康状態に気をつけてあげましょう。

帰宅して、犬がいつもしない場所でウンチやおしっこをしていたり、ものをちらかしたりしているなどトラブルをおこしたときには、「分離不安症」になっているおそれがあります。

分離不安症

分離不安症(separation anxiety disorder)とは、人間の子どもの成長において愛着対象である母親から分離されることで、強烈な恐怖を覚える状態を指す疾患ですが、犬にも起こり得ます。飼い主が不在になることで極度の不安を感じてしまいます。

犬の分離不安症における問題行動には以下のような例があります。

  • 無駄吠え
  • 破壊行動
  • 粗相
  • その他の症状(食欲不振・下痢・嘔吐など、落ち着きのない行動など)

安心して犬を留守番させるアイデア

犬を留守番させるときに心配なことやトラブルについて紹介してきました。

では、留守番をさせていても室内で安全に健康に過ごさせるために気をつけたいことや、対処法にはどういったものがあるのでしょうか。

しつけや犬との過ごし方

犬に留守番を慣れさせるためのしつけ方のポイントは次のようになります。

  1. 犬との間に適度な距離感を保つ
  2. 一人遊びの習慣をつけさせる
  3. 安全な場所を用意する
  4. 出かける時や帰った時

1.犬との間に適度な距離感を保つ

普段から飼い主と片時も離れることがなければ、犬は留守番に強い不安を感じてしまいます。

せっかくの愛犬ですから、しっかりとかわいがり、たくさんスキンシップをとることは飼い主にとっても犬にとっても大切なことです。

しかし、飼い主と犬とが別々に過ごす時間を適度につくり、適度な距離感を保つことも犬の留守番にとっては大切になります。

可能な限りメリハリをもって接してみましょう。

少しずつ、犬が1匹でいる時間を延ばしていく訓練をしてみましょう。

2.一人遊びの習慣をつけさせる

一人遊びができれば寂しさを感じず、待つことができるようになります。

出かけるときには、犬が好きなおもちゃやトレーニンググッズを用意してあげましょう。

留守番のときには、天然ゴムなどの安全素材でできたもの、飲みこまない程度の一定の大きさのもの、万一のみ込んでも害のないものを準備します。

3.安全な場所を用意する

部屋を整理して、犬が誤飲しそうな物やけがのリスクになりそうな物は、犬が近づけないようにしましょう。

普段から一定時間ケージで過ごさせて、ケージが安全で心地よい場所だと覚えさせるようにします。

ケージの中にベッドや水、トイレなど必要なものを用意して、普段から使っているタオルやブランケットを入れたり、一人遊びができるように安全なおもちゃを入れてあげたりすると犬も過ごしやすくなります。

長時間留守にしておくようなときには、ケージやサークルにいれておけば、家のものを壊したり危険なものを飲みこんでしまったりする事故を防ぐことができます。

4.出かける時や帰った時

はじめのうちは短時間に出入りを繰り返して、買主がいないことに慣れさせましょう。

出かけるときの決まった動作を変えてみるのも良い方法です。

例えば、飼い主がリードを持てば散歩に出かけ、飼い主が茶碗を手にすればごはんがもらえるというように、リードや茶碗が散歩やごはんに結びつけられているのでソワソワとし始めます。

出かけるときも同様に飼い主がカギを持ち上着を着る行動をみて、飼い主が出かけることを察して注意を引こうとしたり、落ち着きがなくなったりしてしまいます。

これらの外出前の行動を変えてみましょう。

鍵をもって犬の隣にすわったり、上着をきてテーブルに腰かけて新聞を読んだり、外出と異なる行動をとってみます。

このようなルーティンをくずすことで、犬に出かけることを予測させませんから犬がパニックになることを防ぐことができます。

・出かけるときは、さりげなく

出かける直前に必要以上に声をかけたり、かまったりしないようにしましょう。

犬の寂しい気持ちを助長してしまいます。

たとえ、犬が飼い主の外出を察して、ソワソワしだしても知らんぷりをすることが大切です。

・帰った時もさりげなく

飼い主も帰宅して愛犬にあえてうれしいですが、少しの間がまんしましょう。

犬が落ち着いた後にたくさんほめてあげます。

長時間の場合はペットホテルの一時使用なども検討する

できるだけ快適な空間にして留守番する犬のストレスを軽減してあげましょう。

犬がいちばん落ち着ける場所にクレートやケージをおきます。

窓の外の景色が見える方が落ち着く犬もいれば、警戒心が強い犬にとっては不安要素になります。

エアコンの冷気や熱気、外からの直射日光が直接当たらない場所にクレートやケージをおくようにしましょう。

犬用の電気カーペットを使用することもありますが、動き回れない場所であれば低温やけどをするおそれがあります。

また、朝と昼、夕方から夜にかけてと1日の気温の変化に対応できるように調整できる環境が望ましいです。

暗い場所に慣れていない犬に夜まで留守番をさせる場合は、照明をつけたまま出かけるか、点灯タイマーを設置しておくことが望まれます。

クレートはケージに比べるとかなり狭くなってしまいますが、少なくとも伏せや立ち上がって向きを変えることができる程度のスペースは必要です。

8時間以上の留守番をさせる場合は、犬が起きている時間も長くなりますから、大きめのケージかサークルを用意してあげると安心です。

犬の留守番をフォローしてくれるサービスには次のようなものがあります。

  1. ペットシッター
  2. 犬の保育園
  3. ペットホテル

預けるときには

  • ネームタグ(迷子札)
  • おもちゃやタオル、ブランケットなどペットのお気に入りのもの
  • お気に入りのおやつやフード
  • かかりつけ動物病院の連絡先
  • 狂犬病予防注射済票やワクチンの接種証明書

などを準備しておくと安心です。

1.ペットシッター

人間のベビーシッターのように、自宅で犬の世話をしてくれるサービスがあります。

ほかの犬や外出が苦手な場合に向いています。

留守をしている間に犬の世話や散歩に連れて行ってくれます。

2.犬の保育園

他の犬たちと一緒に過ごせますから、飼い主以外の人や犬同士の遊びに慣れることができ、基本的なしつけもしてくれます。

送迎サービスをしてくれる保育園もあります。

3.ペットホテル

ペットホテルなら長期的に宿泊にも対応してくれます。

動物病院やペットサロンと併設されているホテルもあります。

スマート家電・スマートホームで犬の留守番も心配なし?

スマートカメラやスマートロックなどのスマート家電があればペットに留守番をさせるときに活躍をしてくれます。

スマートカメラ

外出していてもスマホから留守番をさせている犬の様子が確認できます。

最近のスマートカメラでは、声をかけたり、遠隔操作でごはんをあげたりすることもできます。

遠隔操作で首ふりができたり、動作検知センサーで犬を追尾できたりするものを利用すればケージやサークルから出しておいても見守ることが可能です。

声かけができる製品も多いので、寂しがっているときには声掛けもできますし、いたずらをしていれば注意をすることもできます。

家族が帰ってきたら、「ごはんをあげて」とか「散歩に連れいって」と、お願いできるのも便利です。

留守宅にペットシッターにきてもらってもカメラがあれば安心です。

スマートロック

スマートロックがあれば、家族が在宅しているか帰宅したのかがスマホに通知がきますからすぐに分かります。

犬を留守番させていても、家族の在宅や外出が分かりますから安心です。

また、一時的なカギを、スマホを通してペットシッターに渡すことや外出先から玄関を解錠できますから、ペットシッターに合鍵を預ける不安もありません。

各種のセンサー

モーションセンサーを利用すればペットや人の動きを感知して自動でスイッチが入り、照明やエアコンなどの操作を外出先からでも可能になります。

温湿度センサーを利用すれば、ペットや人の近くに設置し、より体感温湿度に近い温湿度の制御ができるようになります。

家電コントローラー

最近のエアコンであればスマートホーム対応製品も多くなっていますが、旧式のものでもスマートスイッチなどを利用すれば、外出先からの家電操作が可能になります。

リモコン操作ができる家電であればエアコンだけでなく、照明やテレビなどの操作も遠隔操作ができます。

タイマー設定や、温度感知でスイッチがOn-Off切り替わるように設定できる製品もあります。

スマートホームサービス提供会社に相談

スマート家電は以上紹介したように、さまざまなシーンで活用できますが、人それぞれでニーズは異なります。

スマートホームサービス提供会社なら、いろいろな企業が提供しているスマート家電を扱い、さまざまな事例を体験していますから、相談をされることをおすすめします。

きっと最適な活用法をアドバイスしてくれます。