自宅をスマートホームにするために必要なものを解説。導入・活用事例も紹介

徐々に普及が進んでいるスマートホームですが、実際に自宅をスマートホーム化するためにはどのような環境や機器が必要なのでしょうか。

今回は、自宅をスマートホームにする際に必要なものや導入方法について紹介します。

スマートホームの目的や仕組みを解説

近年話題になっているスマートホームですが、自宅をスマートホーム化する目的や仕組みを改めて紹介します。

改めてスマートホームの仕組みを解説

スマートホームとは、家電や住宅設備をインターネットに接続し、スマートフォンなどのデバイスから設備を操作・制御できる家・システムを指します。

近年徐々に普及し始めているスマートスピーカーなども、スマートホームハブと呼ばれる中継機器と繋げることで、各設備や機器を操作できるようになります。

自宅をスマートホーム化するためには、インターネットに対応した機器や製品が必要です。また、ネットワークを通じて操作を行うため、インターネットやWi-Fi環境が必須です。

自宅スマートホーム化のメリットと目的

2021年8月、LIVING TECH協会はスマート家電導入者に対して利用実態調査を行い、その結果を発表しています。

「スマート家電を導入して、どのような点で利便性が上がりましたか?またはどのように効果を感じていますか?」という質問では、下記のような回答結果でした。

LIVING TECH協会・スマート家電導入者に対して利用実態調査より

今回は

  • 遠隔・一括操作による生活利便性の向上
  • 防犯面・セキュリティ
  • 省エネ性

以上の3つの観点から自宅をスマートホーム化するメリットを見ていきましょう。

遠隔・一括操作による生活利便性の向上

自宅をスマートホーム化することの大きなメリットは、家電や機器を遠隔で一括操作することが可能になり、生活利便性の向上が見込めることです。

インターネットと繋がったスマートロックを導入することで、鍵の開閉を自動や遠隔で操作することができます。玄関ドアに近づくだけで鍵が開く製品や暗証番号の入力で鍵が開く製品など多種多様なスマートロックが販売されています。

スマートフォンさえ持っていれば鍵を開けることができるため、鍵を紛失する心配もありません。

エアコンがインターネットと接続されている場合は、外出先から操作をすることができ、帰宅時に快適な室温にしておくことや、朝起きると同時に部屋を適温にしてくれる機能なども備わっています。

その他にも、掃除ロボットや照明操作など、様々な生活シーンで便利な活用方法が見出されています。

防犯面・セキュリティ

スマートカメラやスマートロックは、自宅の防犯性やセキュリティを高めることにも一役買っています。

スマートロックは、鍵の開け閉めを外出先から確認できるため、鍵の閉め忘れを防止することが可能です。スマートカメラは外出先から部屋の状態を確認できるため、不審な侵入者の確認だけではなく、ペットの見守りなどにも活用されています。

また、スマートセンサーを窓に設置することで、窓の開閉ログを残すことも可能です。

スマートホームのセキュリティについてはこちらで詳しく紹介しています。
関連記事:スマートホームでホームセキュリティ。安心・安全の住まいづくりは「スペース・コア」

省エネ性

HEMS(Home Energy Management System)というシステムを活用することで、住まいで使用する電力やエネルギー消費量を可視化することで、省エネ化することも可能です。

HEMSでは、太陽光発電やエコキュート設備、家電を一括で管理できます。

発電システムで作った電気を、賢く利用することができるため、省エネ性能を高めることができるのです。

自宅のスマートホーム環境構築に必要なものとは

自宅にスマートホームが利用できる状態にするためには何が必要なのでしょうか。環境とデバイスの2つの観点から紹介します。

スマートホームに必要な環境

自宅をスマートホーム化するためには、機器とインターネットを繋ぐ必要があります。

つまり、インターネット環境が必須です。自宅にWi-Fiが通っていない場合は、スマートホーム化できないため注意が必要です。

また、通信容量が少ないとスムーズに家電や設備を動かすことができません。自宅のネット環境はスマートホーム実現のために十分か確認をしましょう。

スマートホームに必要なもの

スマートホームに必要なものは、「デバイス」です。

デバイスとは、タブレットやスマートフォンと接続して使用する装置の総称です。

スマートホームで利用できるデバイスの代表的なものには以下の種類があります。

  • スマートリモコン
  • スマートプラグ
  • スマートスピーカー
  • ストリーミングデバイス
  • スマートロック
  • スマートカメラ
  • スマートライト
  • スマートカーテン
  • スマートクロック
  • お掃除ロボット

たくさんの種類のデバイスがあることが分かります。

例えば、スマートスピーカーは、音声での家電操作や情報検索を可能にするデバイスです。他のデバイスや家電との連携が可能です。

スマートリモコンは、テレビやエアコン、照明などと連携ができます。

テレビなどのリモコンは赤外線信号を送ることで操作を行っています。スマートリモコンは、各家電の赤外線信号を記憶するため、家電の操作が一括で可能です。

スマートプラグは、赤外線信号を使用しない家電の操作に使用できます。

通常のコンセントにスマートプラグを挿し、そこに家電を繋げることで連携が完了します。

また、ロボット掃除機もスマートホーム化には重要な役割を果たします。

ロボット掃除機の掃除状況がスマートフォンに届くということを知っている方は多いのではないでしょうか。外出先から操作ができ、情報をスマートフォンで見ることができるスマートホームデバイスです。

自宅のスマートホーム化には、家電をスマートフォンなどのタブレットで一括操作するためのデバイスが必要です。

スマートホームのデバイスについてはこちらで詳しく紹介しています。
関連記事:スマートホームに必要なデバイスとは?導入方法について解説

スマートホームの活用シーン

スマートホーム環境が整うことで、生活がどのように便利になるのでしょうか。スマートホームの活用シーンや利用事例について紹介します。

起床・就寝時の自動化

スマートホームは、一日の始まりと終わりを快適にサポートしてくれます。起床時は、スマートカーテンが自動で開き、心地よい光で目覚めを促してくれます。同時に、コーヒーメーカーが自動で淹れ始め、温かい一杯を迎えられる、といったことまでが自動で行われます。

就寝時は、スマートリモコンの操作やスマートスピーカーへ語りかけるだけで、部屋の照明を落とし、エアコンを適切な温度に設定できます。読書灯だけを点けたり、夜間モードで照明の色を変えたりと、就寝前の雰囲気作りもスマートホームにおまかせです。スマートロックで玄関の施錠を確認し、防犯モードに切り替えれば、ぐっすりと安心して眠ることができるでしょう。

起床・就寝のルーティンを自動化することで、体内リズムが整い、質の高い睡眠が期待できます。また、朝の慌しさが緩和され、一日をスムーズにスタートできるメリットも。自分に合った心地よい設定を見つけて、スマートホームに快適な一日のはじまりと終わりを演出することができます。

外出・帰宅時の制御

スマートホームは、外出先からも家の状況を把握し、コントロールできる利点があります。外出前に、スマートロックで施錠したか不安になっても、アプリを確認すれば安心です。また、外出中に宅配便が届いた際は、インターホンカメラで応対し、スマートロックを遠隔操作で解錠することもできます。留守中の防犯対策として、スマートライトを使って在宅中のように照明を点けたり、カーテンを開閉したりすることもできます。

帰宅時は、スマートロックを解錠すると同時に、玄関の照明が自動で点灯します。帰宅前にスマートリモコンでエアコンを操作しておけば、快適な室温が出迎えてくれるはずです。「ただいま」の一言で、お気に入りのプレイリストが流れ始めるようにしておくのもおすすめです。

このように、外出・帰宅をスマートホームと連動させることで、ストレスフリーでスムーズな移動が可能になります。家の中だけでなく、外の世界とのつながりもスマートに保てる点は、大きなメリットといえるでしょう。

家事の効率化と自動化

スマートホームは、日々の家事を効率化し、自動化してくれる頼もしい味方です。たとえば、ロボット掃除機をスケジュール設定すれば、指定した時間に自動で掃除を開始します。床のゴミやホコリを取り除くだけでなく、フローリングの拭き掃除もしてくれる高機能モデルもあります。また、スマート家電同士を連携させることで、さらに家事の自動化が進みます。

キッチンでは、スマート冷蔵庫が食材の在庫管理や賞味期限のチェックを助けてくれます。レシピのおすすめや、不足している食材の自動発注など、献立作りもサポートしてくれるでしょう。調理の際は、スマートスピーカーに手順を読み上げてもらえば、レシピを見ながら確認する手間が省けます。

こうした家事の効率化と自動化により、時間と労力を大幅に節約できます。単純作業から解放されることで、家族との団らんや趣味の時間を増やせるかもしれません。スマートホームに適切な設定とルールを施して、賢く家事をこなす工夫をしてみましょう。

エンターテイメントの充実

スマートホームは、エンターテイメントをより充実したものにしてくれます。スマートスピーカーに話しかけるだけで、お気に入りの音楽や映画を再生できます。複数の部屋にスピーカーを設置すれば、家中に音楽が響き渡る贅沢な体験も可能です。また、スマートディスプレイを使えば、動画の視聴や友人とのビデオ通話も、手軽に楽しめるようになるでしょう。

ゲーム機や VR デバイスとの連携も、スマートホームならではの魅力です。ゲームの進行に合わせて部屋の照明が変化したり、臨場感あふれる音響が響いたりと、より没入感の高いゲーム体験が期待できます。また、スマートフィットネス機器を活用すれば、自宅で本格的なワークアウトを楽しむことも可能です。

パーティーやホームパーティーの際も、スマートホームが活躍します。スマートライトで部屋の雰囲気を演出し、スマートスピーカーでBGMを流せば、一気に華やいだ空間に。来客者が到着すると、インターホンと連動して自動で解錠されるよう設定しておけば、遠隔地にいてもスマートにお客さんを迎えられます。

スマートホームは、私たちの想像力次第で、自宅でのエンターテイメントをいろいろとグレードアップしてくれるでしょう。ぜひいろいろな可能性を探り、自分に合った楽しみ方を見つけてみてください。

スマートホームを快適に使うコツ

スマートホームを快適に利用するコツや注意点を理解しておきましょう。

音声操作の活用

スマートホームの大きな魅力の一つは、音声操作による快適な制御です。スマートスピーカーやスマートディスプレイを活用することで、手を使わずに家電の操作や情報の取得が可能になります。例えば、「オーブンを180度に設定して」や「明日の天気は?」といった命令を音声で行えば、素早く簡単にタスクを実行できます。また、部屋の照明や温度調節なども、声一つで理想的な環境に調整できるようになります。音声操作を積極的に活用することで、スマートホームがもたらす利便性を最大限に引き出せるでしょう。

ただし、音声操作を快適に使うためには、いくつかのコツがあります。まず、スマートスピーカーを部屋の中央など、音声が拾いやすい位置に配置することでsy。また、家族それぞれの声を登録しておくと、個人に合わせたサービスを提供できます。コマンドを覚えるのが苦手な場合は、専用のアプリで一覧を確認したり、リマインダーを設定したりするのも有効です。生活シーンに合わせて音声操作を工夫することで、スマートホームとのコミュニケーションがよりスムーズになるはずです。

家族との共有と権限設定

スマートホームは家族全員で使うことが多いため、アカウントの共有と権限設定が重要なポイントになります。家族それぞれがアカウントを持ち、個人の好みに合わせた設定ができると便利ですが、同時に、家全体に関わる設定は家族で共有できる必要があります。例えば、スマートロックの解錠や防犯カメラの閲覧権限は、家族の誰もがアクセスできるようにしておくと安心です。

一方で、子供のスマートフォンの使用時間を制限したり、購入できるコンテンツを制御したりといった、個人に合わせた権限設定も大切です。子供の安全とプライバシーを守るために、年齢に応じたアクセス制限を設けることをおすすめします。また、ゲストユーザー用のアカウントを作成しておくと、友人や親戚が遊びに来た際にも、スマートホームを快適に使ってもらえます。

スマートホームのアカウント管理は、利便性とセキュリティのバランスを考えることが大切です。家族のライフスタイルに合わせて、柔軟に権限設定を行いましょう。アプリの通知機能を活用すれば、家族のスマートホームの利用状況を把握することもできます。適切な共有と権限設定により、家族全員がスマートホームの恩恵を安心して受けられるようになるでしょう。

プライバシーとセキュリティへの配慮

スマートホームは多くの個人情報を扱うため、プライバシーとセキュリティへの配慮は欠かせません。スマートスピーカーやセンサーなどのデバイスは、利用者の生活パターンや嗜好に関する膨大なデータを収集します。これらの情報が悪用されないよう、データの暗号化や適切なアクセス制御が重要です。また、カメラ付きのデバイスを使用する際は、プライバシーを守るために、設置場所や撮影範囲に注意が必要です。

定期的なソフトウェアアップデートは行うようにしましょう。また、機器やアプリのセキュリティ上の脆弱性を修正するパッチが配信されたら、速やかに適用しましょう。Wi-Fiルーターなどのネットワーク機器にもパスワードを設定し、ファームウェアを最新の状態に保つことが大切です。IoTデバイスを狙ったサイバー攻撃は年々増加しているため、怠りなくセキュリティ対策を行う必要があります。

メンテナンスの一環として、スマートホームのルールを家族で定期的に見直すのも大切です。新しい機器の追加や、生活スタイルの変化に合わせて、設定を柔軟に変更していく必要があります。使わなくなったデバイスやサービスは、思い切って手放すことも検討しましょう。定期的なメンテナンスとアップデートを習慣づけましょう。

スマートホーム構築の注意点

日々の暮らしを快適にするスマートホームサービスですが、環境を構築するうえで理解し置くべき注意点もあります。

機器の互換性の確認

スマートホームを構築する際は、機器同士の互換性を十分に確認することが大切です。せっかく購入した機器が連携できなかったり、意図したように動作しなかったりしては、スマートホームの利便性が損なわれてしまいます。特に、異なるメーカーの製品を組み合わせる場合は、互換性の有無を慎重にチェックしましょう。

通信環境の整備

スマートホームを快適に使うには、安定した通信環境が必要です。機器同士が無線または有線で接続され、インターネットとつながることで、スムーズな連携が可能になります。特に、無線接続の場合は、電波の届きにくい場所がないか、事前に確認しておくことが重要です。壁の材質や家電からの電波干渉など、意外な要因が通信の妨げになることがあります。

有線接続の場合は、各部屋にLANケーブルを引く必要があります。将来的な拡張も見据えて、余裕を持ったポート数のルーターを選ぶのがおすすめです。

インターネット回線の選択も、スマートホームの快適さを左右する重要なポイントです。通信速度や容量に余裕があるプランを選ぶことで、多数の機器が同時に接続しても、ストレスを感じることなく使えるようになります。通信環境を最適化することで、スマートホームはより快適で便利な存在になるはずです。

初期費用と運用コストの試算

スマートホームを導入する際は、初期費用と運用コストなども把握しておくことをおすすめします。スマートホーム機器は、通常の家電に比べて高価な場合が多く、複数の機器を揃えると、初期費用が膨らむ可能性があります。また、機器の設置や設定に専門家の手を借りる場合は、工事費や作業費も発生します。

運用コストも見落としがちですが、無視できない要素です。スマートホームは、インターネット接続が前提のため、毎月の通信費が発生します。機器やサービスによっては、月額や年額の利用料が必要な場合もあります。電気代も、常時接続している機器が増えれば、少なからず影響があるでしょう。

初期費用と運用コストを試算する際は、優先順位を決めることが大切です。全ての機器を一度に揃えるのではなく、必要性の高いものから段階的に導入するのも一つの方法です。また、同じ機能の機器でも、価格やランニングコストに差があるので、よく比較してから選ぶことをおすすめします。

長期的な視点で見れば、スマートホームは光熱費の節約やセキュリティの強化など、様々なメリットをもたらしてくれます。初期費用と運用コストを適切に試算し、無理のない範囲で賢く導入していきましょう。

上級者向けスマートホーム活用事例

ここまではスマートホームの基本の紹介でした。

次に、上級者向けのスマートホーム技術のIFTTT(イフト)を紹介します。

IFTTT(イフト)とは

IFTTTは、「if・this・then・that」の頭文字をとった略称。

「もし〇〇をしたら、△△になる」という設定ができるWebサービスです。

例えば、「家の鍵を開けたら、照明を点ける」という設定や、「デバイスに声を掛けたら、テレビをON、OFFにする」といった設定が可能です。

自由に動作の設定ができるため、各々に合ったスマートホームが実現できます。

また、デバイスを連携するのみならず、サービスを組み合わせて利用することができます。まさに、「家の鍵を開けたら、照明を点ける」という設定です。

IFTTTに対応した製品を鍵、照明に導入すれば、動作が可能になります。自由度が高く、より高度なスマート技術だといえるでしょう。

IFTTTの使用方法

IFTTTは専用のアプリをダウンロードして使用します。

今回は、「デバイスに声を掛けたら、テレビをON、OFFする」という設定を考えます。

「もし、『テレビをつけて。』という簡単な声掛けがされたら」などの設定を最初にしておきます。その後、「テレビをONにする、OFFにする」という設定を登録します。

以上の設定をアプリで行うだけで、デバイスに声を掛けたらテレビの操作が可能です。

現在、IFTTTのアプリは英語での案内です。しかし、簡単な単語と操作で設定ができます。

IFTTT対応の家電や設備を導入する必要がありますが、近年のスマート家電はIFTTT対応のものが多く発売されています。

もし、IFTTT対応か不安な場合、メーカーに確認してみてください。