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ドローンを使った建物調査。ドローンのメリットや操縦に必要な資格を解説

昨今、IoT活用は様々な業界で進んでおり、従来は人が行っていた仕事を機械を利用して代わりに行うようになるなど、技術と機械の運用方法は模索され続けています。その中でもドローンの存在は大きく、大手ネット通販会社であるアマゾン・ドット・コムはドローン運送を導入する方針を明かすなど、ドローンの可能性は日々研究されています。 そしてドローンは、不動産など住宅業界でも活用が始まっています。ドローンを活用した無人で行う建物調査を行う会社が増えてきており、これからの未来は人が直接建物調査を行わない時代が来ようとしています。 今回は、ドローンを使った建物調査の方法や、それにまつわる規制について解説します。

ドローンを活用した建物調査のメリット

ドローンは、人が操作するラジコンのようなものと考えている人もいるかもしれませんが、実際には内部の機構によって、建物調査を行うだけの緻密な動きや性能を備えています。 ドローンを活用することによって、人が直接建物調査を行わなくなり、事故のリスクの軽減やコスト削減など様々なメリットが生まれてきます。それでは、最初にドローンを活用した建物調査のメリットについて詳しく解説していきましょう。

ドローンを活用した赤外線外壁調査が可能になる

建築基準法第12条において、外壁の検査方法について「手が届く範囲は打診、他は目視。竣工から10年を超えた建物は全面打診」とされています。しかし、全面打診を行うためにはブランコやゴンドラの組み立て等、人員と費用が必要になってしまいます。 そういった中で、「特殊建築物等定期調査業務基準」において、全面打診調査の報告の中で赤外線カメラによる診断も認められるようになりました。 赤外線によって建物の外壁を見ることで、壁の剥離や欠損箇所が分かるようになります。従来は、赤外線カメラによる調査は限界があったものの、ドローンの誕生と技術の進歩によって赤外線による外壁調査が可能になっております。 赤外線カメラによって外壁の劣化や、雨漏りや漏水調査などが人が直接確かめることなく行うことができるようになります。

コストが安く、事故リスクも低くなる

ドローンを活用した外壁調査は、人が全面打診を直接行った場合よりもコストと事故リスクを抑えることができます。全面打診を行う場合はゴンドラなどの仮設設備の設置、それに伴う人件費など、安くはない金額がかかるものです。しかし、ドローンを活用した場合は大規模な仮設設備を設置する必要がなくなるので、設備構築のコストを大幅に削減することができるでしょう。 さらに、高所作業の必要性も無くなるので、高所からの落下事故等のリスクを限りなく0にすることができます。 また、ゴンドラなどの設置が必要なくなるということは、設置までの期間が短縮されるため、建物調査にかかる期間を数日で終わらせることが可能になるでしょう。このように、コストやリスク面においても。ドローンを活用した建物調査は非常に有用です。

ドローン操縦における規制や法律とは

ドローンは自由に空を飛べる道具ではありますが、規制などによって飛行が禁止されている場合もあります。規制以外にも建物調査において、ドローンを使用するための許可が必要になる場合もあるなど、厳しく定められています。 そこで、これから建物調査にドローンを導入することを考えている人に向けて、ドローン操縦における規制などについて解説していきましょう。

飛行禁止空域について

国土交通書の規制によって、飛行が禁止されている地域は主に8つあります。
  1. 空港周辺
  2. 緊急用務空域
  3. 150m以上上空
  4. 人口集中地区
  5. 国の重要な施設等
  6. 外国公館周辺
  7. 防衛関係施設周辺
  8. 原子力事業所周辺
このうち、①から④の空域で飛行を行う場合は国土交通大臣の許可が必要です。建物調査で関わってくるのは、④の人口集中地区で対象となる物件が人口集中地区に該当する場合は、飛行開始予定日の10日前までに国土交通省へ申請を行う必要があります。人口集中地区は国土交通省の「人口集中地区(DIO)」で確認することが可能です。 建物調査の依頼が来た際は、対象の建物が該当地区の範囲であるかを調べましょう。 他にも対象物件の立地上、道路からドローンを飛行させる場合は道路使用許可を管轄の警察署に申請しなければいけません。道路には車道だけではなく、歩道も含まれているので注意しましょう。また、ドローンと自動車の距離が30m未満になると試算された場合は、国道交通大臣への承認も必要になります。

ドローンを操縦するために資格はいらない

ドローンを活用した建物調査は認められていますが、操縦に関しての資格は存在しません。しかし、ドローンの講習団体などから一定の技能を持っていると取得できる、「技能証明書」を持っていることで、許可や承認が必要な申請書類を一部省略することが可能になります。 また、前記の飛行禁止エリアを飛行させる場合の許可に、技能証明書が必要となるので、取得したほうがいいでしょう。 他にも、赤外線モーフィングのデータを活用するために、「赤外線建物診断技能士」の資格を取得するのもおすすめです。赤外線サーモグラフィによる、建物診断に関する知識や技術を学べるなど、ドローンを活用した建物調査において必須な知識を手に入れることができます。

ドローンの活用は、あらゆる産業に進んでいる

市場調査などを行っているインプレスが公表した「ドローンビジネス調査報告書2021」によると、2020年度のドローンの市場規模は1841億円となり、2025年度には6000億円を超えると予見しています。

ドローンを活用したサービス市場と、ドローン機体市場共に前年度から20%以上成長しており、これからさらに拡大していくものと見られています。 ドローン市場は最近活発化してきていますが、将来的にどのような活用がされていくのでしょうか。

不動産業界におけるドローンの活用

一見すると不動産業界とドローンに何ら関係も無いように思えますが、実際にドローンを活用している不動産事業者が現れています。 ドローンによって物件の普通では見えにい屋根や角度から撮影することにより、消費者により詳しい物件情報を視覚的に伝える方法としての活用やドローンを使った不動産鑑定など様々です。 ドローンを活用するメリットとして、「立ち入り困難である境界線や越境物の状況が詳細に分かる」「土地の高低差などが画像解析によって細かく調査することができる」といったことが挙げられます。 このように建築業界と距離が近い、不動産業界においてもドローンは活用されており、今後さらなる活用方法が生み出されていくでしょう。

今後も進むドローン活用

2021年現在、北海道上士幌町(かみしほろちょう)では、ドローンを活用したドローン配送の実証実験を行い、ソフトバンクは獲れたての魚を漁港から直接店舗に配送する実証実験を行っています。 様々な企業がドローンの活用方法を日々模索しています。農業や林業においてもドローンを活用した実証実験を行っており、様々な業界がドローン活用に注目をしている状況となっています。 ドローン活用の流れは止まることなく、今後も拡大し続けると考えられるので、その流れに乗り遅れてはいけません。 建物調査によるドローン活用を行っている会社は少ないですが、これからの将来においてドローン活用が当たり前になる可能性があります。少子高齢化に伴う労働人口の減少は留まることを知らないため、必要な人員と費用が少ないドローン活用は日本において必要なものになるでしょう。
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