不動産業界で注目のドローン活用。建設や建物修繕でも大活躍する仕組みとは

ドローンのビジネス現場での活用が進んでいます。
今回は、不動産や建設業界での活用事例や効果について紹介します。また、ドローンには規制も多く自由に利用することはできません。そういった法律的な部分についても解説します。
不動産業界ですすむドローン活用
簡単な操作で飛ばすことができ、遠隔地から操作することができる「ドローン」は、様々な形で活用が期待されています。医療や物流といった分野だけでなく、不動産業界でも活用事例が増えてきました。
不動産ビジネスの発展を促すドローン活用について紹介します。
ドローンの意味と仕組み
ドローンが一般化してから数年が経ちました。ドローン登場直後は、重要施設の上をドローンが飛び大きな騒ぎになったり、運転技術が追いつかずに事故が発生したりするなど、混乱もありました。しかし、現在では関連する法律や操縦資格、操縦を学ぶためのスクールなどの整備も進んできました。
これから本格的にドローン普及期に入り、生活やビジネスを発展する使い方が期待されています。
ドローン活用について
最も早くドローン活用に目をつけたのは農業分野です。農業の領域では、無線ヘリコプターが農薬散布や、農作物の成長をモニタリングする目的で使われていました。現在のような4つの回転翼をもつドローンが量産化されてからは、さらに広く活用が進んでいます。
自治体もドローン活用に注目しています。ドローンを使った買い物支援サービス「ゆうあいマーケット」をご存じでしょうか。これは、岐阜県伊那市が取り組んでいる事業で、ドローンを使ってスーパーから遠隔地まで商品を輸送するという試みです。
これからは、さらにビジネスや行政など分野にとらわれずにドローンの利用が進むはずです。
また、ビジネスでドローンを取り扱えるようになる国土交通省認定の資格もあります。この資格を取得すると様々なメリットがあります。こちらは後ほど紹介します。
不動産分野でのドローン活用について
不動産分野でのドローン活用について深掘りしていきます。
もともと不動産は、土地や建物といった、物理的な存在ありきのビジネスです。ドローンという技術で、不動産をモニタリングしやすくすることで大きな効率化が期待できます。それだけでなく、住宅からオフィスビル、街づくりまで多種多様な不動産ビジネスにそって、思いもしない活用がなされています。
住宅建築とドローン活用
ドローンを使った住宅建築、さながらドローン建築は最も注目されている分野の一つです。建築現場における、住宅の設計、施工だけでなく、建物の維持管理においてはドローンの利用はうってつけだと考えられています。
なかでも、住宅の点検や検査業務には現在も活用が進みます。これまではならば、建物の周囲に足場を組み、人員が目視で検査や点検をしていました。足場を組むだけで費用や時間がかかりますし、事故もありました。こういった業務をドローンでやれば、一挙に効率化がすすみます。ドローンによる外壁や天井の調査は、すぐに一般化していくものと思われています。
建物のドローン撮影には大きな可能性がある

ドローンによる点検や検査業務には、さらに大きな可能性があります。膨大な量の建物画像をAIで解析することによって、剥離しそうな外壁タイルや雨漏りの原因になりそうな天井の状態を診断する仕組みが開発中です。人間の目視でも発見出来なかった、建物の不調をドローンとAIによって見つけられる時代が来るかもしれません。
これは橋や高速道路、堤防といった生活をさされる建築物の状態診断にも期待されています。インフラの老朽化がすすむ日本では、なくてはならない技術です。早期の実用化を期待したいところです。
空き家問題もドローンで解決
ドローンによる空き家調査も、実証実験が進んでいます。
人口減少や地方の過疎化にともない、日本全国的に空き家が増加しています。総務省の住宅・土地統計調査(平成30年)では、全国の住宅に占める空き家率は13.6%と調査開始以来過去最高を記録しています。
その数は848万9千戸にもなるとされ、これだけ多くの空き家を持つ国は世界でもほとんどないといわれています。荒廃する空き家によって地域住民の生活が脅かされたり、災害発生時に復興を妨げたりする危険性が指摘され続けており、不動産業界に留まらず日本全体で解決すべき課題といえます。
しかし、空き家を有効活用しようにも、個別の空き家を把握することも困難です。全国津々浦々に点在していますし、空き家が居住中になったり、使われていた家が突然空き家にもなります。また、外観だけでは空き家かどうかを判断することは難しく、自治体などによって個別に訪問することでしか正確な状態は分かりませんでした。
そこで、ドローンを活用した空き家調査に注目が集まっています。上空で撮影した画像やサーモグラフィーの画像使い、空き家を探すことができないかと実験が進んでいます。空き家判定AIが開発されれば、空き家問題解決の糸口がみえてくるでしょう。
大規模な施設をドローンで警備
大規模なショッピングセンターやオフィスビルなどは、これまで警備員が担っていた保安・警備をドローンに代替するサービスが、すでに大手警備会社で警備。監視ドローンが実用化されています。
立ち入ってはいけないエリアに入ってきた侵入者をレーザーセンサーで補足し、対象に近づき警告を発したり、画像を撮影したりしています。監視カメラでは分からなかった細部の画像まで撮影出来る点も大きなメリットです。
広大な施設を人間の力だけで警備するには、多くのコストが必要でしたがドローンであれば、確実かつ安価に警備できるようです。
そのほか、発電所やダムといった重要な施設も警備・監視ドローンの利用が期待されています。
ドローンには規制があり、自由には飛ばせない

ビジネスにおいても活用できるシーンが多いドローンですが、法律による規制が多く、自由に飛ばすことはできません。
具体的にどのような規制があるのでしょうか。
ドローンの飛行が規制されているルール
ドローンをはじめとした無人航空機は航空法によって取り締まられており、下記のエリアでは国土交通省や地方航空局長に申請・許可が義務づけられています。

A、空港などの周辺の上空の空域
航空機やヘリコプターが安全に発着するために必要な領域です(「制限表面」ともいいます)。
B、150m以上の高さの空域
飛行機やヘリコプターなどとの接触のリスクが高まるため、無許可で150m以上の高さに飛ばすことはできません。
C、人口密集地域の上空
国が5年ごとに発表する人口が密集している地区=「人口密集地域」でドローンを飛ばすには許可が必要です。
趣味や遊びでドローンを飛ばすのであればこれらのエリアでなくてもかまいませんが、ビジネスにおいては上記のエリアである可能性は非常に高く、そのため国交省への申請が必要となるのです。
ドローンを飛ばすためにはどのような申請が必要なのか
では、具体的にどのような申請が必要なのでしょうか。
まず、国交省はドローンを操縦できるかどうかを証明するために下記のガイドラインを設けています。
無人航空機(ドローン、ラジコン機等)の安全な飛行のためのガイドライン
(1)10時間以上の飛行経歴を持っているか
(2)確かな操縦性を持っているか
(3)航空法関係法令に関する知識を持っているか
(4)安全飛行に関する知識
(5)飛行前のチェックを行うことができるか
これらの技能や知識を身につけているかが証明できれば、ドローンの飛行に関する申請を行うことが可能になります。これらを独学や自主練習で行うのは非常に困難です。また、「10時間以上の飛行」といった経歴を示すには、飛行記録を取っておく必要があり、手間もかかる作業です。
その後、必要書類を用意し、国交省に申請を行います。現在は、オンラインでの申請も可能になっています。
詳しくは国交省の「無人航空機の飛行許可承認手続」をご確認ください。
ドローンの操縦には国交省認定の資格取得が近道
現在では、ドローン操縦のための技術や知識を身につけるためのドローンスクールや、国交省認定の民間資格などをビジネス活用者に向けて提供している会社も多く存在しています。
ドローンスクールに通うことで、先ほど紹介した「無人航空機(ドローン、ラジコン機等)の安全な飛行のためのガイドライン」の中にある、(1)10時間以上の飛行経歴を持っているか、という部分の証明なども行ってます。
ドローンのビジネス活用を検討しているのであれば、専門のスクールや資格取得を検討しても良いかもしれません。