IoT照明を解説。スマート照明市場の予測や利用シーンも紹介


第4次産業革命と呼ばれ、「100年に一度の技術革新(大変革)」ともいわれる昨今、
AIやブロックチェーンと同じく、IoTは時代の先端を走るテクノロジーの1つです。
IoTは「モノのインターネット」と呼ばれており、コンピュータだけではなく、スマホ、テレビ、スマートスピーカーなどの家電製品や、エアコンなどの住宅設備とインターネットが全てつながるサービスを指します。
今回は、IoT照明にスポットをあて、今後のスマート照明マーケットなどについて、分かりやすく紹介します。
IoT照明とは
IoT照明やスマート照明とは、IoT技術により、インターネットなどの通信を利用して、スマートフォンなどで簡単に操作可能な照明を指します。
センサーを利用した自動調節機能がついている点や、スマホで細かい設定も可能です。
IoT技術だけではなく、AI技術も搭載されている機種もあり、その利便性は今後もますます広がるものと予想されます。
IoT照明を有効活用できる周辺環境
IoT照明の性質上、スマホと連携して使用しますので、インターネットだけではなくBluetooth機能やWi-Fi環境も必要です。
また、最新のIoT照明はAI技術を搭載した音声操作可能なスマートスピーカーとも連携可能です。
代表的なスマートスピーカーとしては、Google社の「Google Nest」シリーズや、Amazonの「Amazon Echo」シリーズがあります。
スマートスピーカーに向かって、「照明をつけて」、「あかりを消して」と声をかければ、スイッチやリモコンで操作することなく、照明が点灯したり消灯したりできるのです。
IoT照明市場は今後も拡大傾向
MDB Digital Searchが推計したスマート照明市場規模推計では、スマート照明元年といわれる2017年以降から市場の規模を推計しています。

2021年には、スマート照明市場は100億円を突破する予測です。
さらに3年後の2024年には、約260億円に達するものと推計されています。
現在のスマート照明市場のけん引役は、主に一般家庭の消費者が中心でしたが、今後は一般家庭用だけではなく、小売店や飲食店の店舗内照明の需要も高まるものと見込まれます。
事業用のニースもますます増えるでしょう。
今後もIoT照明市場は、さらに拡大傾向で進むことは間違いありません。
IoT照明の特徴と機能
IoT(Internet of Things)照明は、インターネットに接続され、様々なスマートデバイスと連携して制御できる次世代の照明システムです。従来の照明器具とは一線を画す多くの特徴と機能を持っており、私たちの生活やワークスペースを大きく変革する可能性を秘めています。
スマートフォンやリモコンでの操作
IoT照明の最大の特徴は、スマートフォンアプリや専用リモコンを使って遠隔操作できることです。この機能により、外出先からでも照明のON/OFFや明るさの調整が可能になります。例えば、夜遅く帰宅する際に、スマートフォンアプリで玄関やリビングの照明を事前にONにしておけば、安全かつ快適に帰宅することができます。
また、複数の照明を一括制御し、ワンタッチで部屋の雰囲気を変更することも可能です。タイマー設定による自動点灯・消灯機能を活用すれば、生活リズムに合わせた照明環境を簡単に実現できます。就寝時間に合わせて照明を徐々に暗くしていくなど、細かな調整も可能で、より快適な生活空間を創出することができます。
音声アシスタント対応
多くのIoT照明は、Amazon AlexaやGoogle アシスタント、Apple の Siri などの主要な音声アシスタントと連携しています。この機能により、「OK Google、リビングの照明を消して」や「Alexa、ベッドルームの照明を50%に調光して」といった音声コマンドでの操作が可能になります。
音声制御の大きな利点は、手が塞がっているときや寝る前のベッドの中からでも簡単に照明をコントロールできることです。高齢者や身体が不自由な方にとっても、音声操作は非常に便利な機能といえるでしょう。
さらに、音声アシスタントとの連携により、照明以外のスマートホームデバイスと連動した操作も可能になります。例えば、「おやすみモード」という音声コマンドで、照明を消し、エアコンの温度を調整し、カーテンを閉めるといった一連の動作を自動化できます。これにより、複数のデバイスを個別に操作する手間が大幅に削減されます。
センサー連動機能
IoT照明の中には、様々なセンサーが内蔵されているものがあります。これらのセンサーを活用することで、照明をよりインテリジェントに制御することが可能になります。
人感センサーによって、人の動きを検知して自動的に点灯・消灯ができます。これにより、不在時の無駄な電力消費を防止できるだけでなく、深夜のトイレ使用時など、自動で適度な明るさに調整することができます。
明るさセンサーは、外の明るさに応じて照明の強さを自動調整します。自然光を最大限に活用しつつ、必要最小限の人工光を提供することで、快適な照明環境と省エネを両立させることができます。季節や時間帯による日照の変化に合わせて、常に最適な照明環境を維持することが可能です。
温度センサーを搭載したIoT照明では、室温に応じて照明の色温度を調整することができます。暑い日は涼しく感じる青白い光、寒い日は暖かみのある電球色の光に自動変更するなど、温度感覚と照明を連動させることで、より快適な空間づくりが可能になります。
さらに、赤外線センサーを活用することで、人の体温を検知し、より正確な在室判断が可能になります。これにより、誤動作を減らし、効率的なエネルギー管理を実現できます。
これらのセンサー機能を組み合わせることで、必要なときに必要な明るさを提供し、省エネにも大きく貢献します。例えば、オフィスでは昼休みや退社後に自動で照明を落とし、家庭では子供が寝た後にリビングの照明を徐々に暗くするなど、きめ細かな制御が可能になります。
IoT照明の活用シーン
IoT照明は、家庭やオフィス、商業施設など、様々な場面で活用できます。それぞれの環境に合わせた活用方法を見ていきましょう。
家庭での利用
家庭でのIoT照明の活用は、生活の質を大きく向上させる可能性があります。主な利点として、省エネ効果と快適な生活空間の創出が挙げられます。
省エネ効果
IoT照明を使用することで、無駄な電力消費を抑えることができます。外出時にスマートフォンから遠隔で消灯操作をしたり、位置情報と連動して家を出たら自動で全照明をOFFにしたりすることができます。また、人感センサーと連動して必要なときだけ点灯したり、明るさセンサーで自然光を活用し必要最小限の人工光を提供したりすることも可能です。
さらに、生活リズムに合わせた自動点灯・消灯のスケジュール設定や、深夜の無駄な点灯を防止する機能も省エネに役立ちます。調光機能を活用すれば、必要以上の明るさを抑え、消費電力を削減することができます。時間帯や用途に応じて最適な明るさに自動調整することで、さらなる省エネ効果が期待できます。
快適な生活空間の創出
IoT照明は、単に明るさを調整するだけでなく、生活の質を向上させる様々な機能を提供します。例えば、時間帯や気分に合わせて照明の色を変更することができます。朝は爽やかな白色光で目覚めを促進し、夜はリラックスできる暖色系の光に自動で切り替えるといった使い方が可能です。
また、「映画鑑賞モード」や「ディナーモード」など、用途に応じた照明環境をワンタッチで再現することもできます。休日の朝は少し遅めに照明をつけるなど、ライフスタイルに合わせた細かな調整も簡単に行えます。
健康面でも、IoT照明は大きな貢献ができます。体内時計を整えるサーカディアンリズムに基づいた照明制御や、睡眠の質を向上させる就寝前の適切な照明環境の自動設定など、健康的な生活をサポートする機能が備わっています。
これらの機能により、家族一人一人のニーズに合わせた最適な照明環境を簡単に実現できます。例えば、子供の勉強時間には集中力を高める白色光に、家族団らんの時間には温かみのある電球色に自動で切り替えるといった使い方が可能です。
スマート家電に関するメリットとデメリットについてはこちらで詳しく紹介しています。
関連記事:スマートホームでのスマート家電の活用方法を解説。アイデアやおすすめ方法を紹介
オフィスでの活用
オフィス環境にIoT照明を導入することで、従業員の生産性向上と省エネ管理の両立が期待できます。
生産性向上
適切な照明環境は、従業員の集中力や作業効率に大きな影響を与えます。IoT照明を活用することで、タスクに応じた照明調整が可能になります。デスクワーク、会議、プレゼンテーションなど、作業内容に最適な照明を自動設定することができます。集中が必要な時間帯は明るめの白色光、クリエイティブな作業時は暖色系の光など、細かなカスタマイズが可能です。
自然光との調和も重要な要素です。窓からの自然光の量に応じて人工照明を自動調整することで、一日を通して快適な照度を維持し、目の疲れを軽減することができます。
さらに、長時間のデスクワーク時に、定期的に照明の色や明るさを微調整することで気分転換を促進したり、休憩時間に合わせてリラックスできる照明環境に自動変更したりすることも可能です。
省エネ管理
オフィス全体の照明をIoT化することで、大幅な省エネ効果が期待できます。各デスクや会議室の使用状況を検知し、不要な照明を自動的に消灯したり、フロア全体の在席率に応じて照明の明るさを最適化したりすることができます。
また、始業時間や終業時間に合わせて照明を自動制御したり、残業時は必要最小限のエリアのみ点灯したりすることで、無駄な電力消費を抑えることができます。
ビル全体の空調やセキュリティシステムとIoT照明を連携させることで、総合的なエネルギー管理を実現し、ビル全体の省エネ性能を向上させることができます。
高齢者の見守りへの応用
IoT照明は、高齢者の安全で快適な生活をサポートする見守りシステムとしても活用できます。例えば、普段と異なる照明の使用パターンを検知して家族や介護者に通知したり、長時間照明が点いたままになっている場合にアラートを送信したりすることができます。また、深夜のトイレ使用頻度など、生活リズムの変化を把握することも可能です。
離れて暮らす家族にとっても、IoT照明は心強い味方となります。スマートフォンから照明を操作して安否確認を行ったり、ビデオ通話と連携して照明調整により快適なコミュニケーション環境を提供したりすることができます。
IoT照明サービス選びのポイント

IoT照明サービスを選ぶ際に大切にしたいポイントとはどういったものなのでしょう。
メーカーが1つのアプリで多数の家電製品を操作できるように提供されているサービスやメーカーを問わずに操作できるサービス、住まいトータルで操作できるスマートホーム化など、さまざまなIoTサービスがあることを頭に入れておきましょう。
対応デバイスの確認
まず重要なのは、使用したいスマートフォンやスマートスピーカーとの互換性を確認することです。iOS/Android両対応のものや、主要な音声アシスタント(Amazon Alexa、Google アシスタント、Apple Siri)に対応している製品を選ぶと、より柔軟な使用が可能になります。
また、他のスマートホームデバイスとの連携も考慮に入れるとよいでしょう。例えば、既に使用しているスマートホームシステムがある場合、そのシステムと連携可能なIoT照明を選ぶことで、より統合的な家電制御が可能になります。
明るさと色温度
IoT照明の中には、明るさだけでなく色温度も調整できるものがあります。色温度(K:ケルビン)とは、光の色味を表す指標で、低い値(2,700K程度)では暖かみのある電球色、高い値(6,500K程度)では昼光色に近い青白い光になります。
生活シーンに合わせて柔軟に変更できる製品を選ぶと、より快適な照明環境を作ることができます。例えば、朝は爽やかな白色光で目覚めを促し、夜はリラックスできる暖色系の光に自動で切り替えるといった使い方が可能です。
また、調光範囲も確認しておくとよいでしょう。最大輝度から1%未満まで調光できる製品であれば、真夜中のトイレ使用時など、極めて暗い環境でも快適に使用できます。
口金サイズ
既存の照明器具に取り付けられるかどうかを確認するため、口金サイズを確認しましょう。日本で一般的に使用されている口金サイズは以下の通りです。
- E26:一般的な大きさの電球用
- E17:小型電球用
- GX53:ダウンライト用
- G13:直管蛍光灯用
一般的なE26口金だけでなく、小型のE17口金にも対応している製品もあります。既存の照明器具を活用したい場合は、現在使用している電球の口金サイズを確認し、それに合ったIoT照明を選びましょう。
消費電力と省エネ性能
LEDを使用したIoT照明は一般的に省エネ性能が高いですが、製品によって消費電力や省エネ効果に差があります。長期的なコスト削減を考慮し、省エネ性能の高い製品を選ぶことをおすすめします。
消費電力は、最大輝度時の値だけでなく、調光時や待機時の消費電力も確認するとよいでしょう。また、エネルギー効率を表す指標である「lm/W(ルーメン/ワット)」の値が高い製品ほど、より少ない電力でより多くの光を得られます。
さらに、人感センサーや明るさセンサーなどの機能が搭載されている製品を選ぶことで、より効果的な省エネが可能になります。これらのセンサーを活用することで、必要なときに必要な明るさの光を提供し、無駄な電力消費を抑えることができます。
IoT照明の選び方についてはこちらで詳しく紹介しています。
関連記事:照明のスマートホーム化、仕組みやサービス選びのポイントを解説
アプリでさまざまな家電の操作が可能!
各家電メーカーでは、IoT照明だけの単に正面のオンオフができるだけではなく、1つのアプリでさまざまな家電製品を操作できるサービスを提供しています。
IoT照明、テレビ、洗濯機、エアコン、冷蔵庫などを手元のスマホのアプリ一つで簡単に操作可能です。
家族全員がスマホにインストールした専用アプリを使用し、それぞれがIoT照明などの操作や外出先での設定や、他の同メーカー家電製品の全ての操作が可能なものもあります。
スマートリモコン
スマートリモコンは、同じメーカーに限定されることなく、家中の家電リモコン全て(赤外線方式)の操作を学習できます。スマホやスマートスピーカーとスマートリモコンをインターネットやWifiで通信すれば、スマホで自由に家じゅうの家電製品全ての操作が可能になります。
全ての家電製品を同じメーカーに揃えるとなると費用的に大変ですが、スマートリモコンは既存の家電製品をそのまま生かしてスマート化できるのが最大のメリットです。
スペースコアで住まいのスマートホーム化
当社が提供しているIoTプラットフォーム「スペースコア」は、IoTは照明や家電製品だけではなく、住宅設備全ての操作が可能なスマートホーム化を可能にしています。
スマートホームとは、IoTやAIを活用することで、安心で快適な家を実現するシステムや、また家そのものを指します。
では、スマートホームではどういったことができるのでしょうか。
照明の自動点灯
紹介しましたとおり、スマート照明では、設定した日時に合わせて照明の色や明るさを調節しておくことが可能です。家庭内でも、サーカディアンリズムにあわせて、朝はまぶしい色、夜は暗めの色にするなど、時間帯によって違う照明の色にセットするのも効果的です。
扉、カーテン、ガレージのシャッター等を自動開閉
家のドアの鍵の開閉だけてはなく、ロック解除や施錠が可能なスマートロックタイプの扉があります。またガレージのシャッターにも同じようなスマートシャッターや、外からの太陽光によってカーテンの開け閉めを自動調節してくれるスマートホームもあります。
声で家電を簡単操作可能!
スマートスピーカーに対応している家電製品は、最近増えています。
スマートスピーカーと連携できれば、音声でスマートスピーカーに声をかけるだけで家電製品の操作が可能です。
また、AI機能が搭載されている調理家電では、献立についてスマートスピーカーに相談して料理できる機種もあります。
カメラで自宅内を確認
自宅内にWebカメラなどを設置しておき、外出先からでも自宅内を確認できます。録画機器と付属していれば、録画記録も可能になり防犯対策にも役立ちます。
天気や天候によってエアコンを操作
自宅のある地域の天気予報などの情報と連動し、その日の天気や気温にあった温度をエアコンが自動調整してくれたりします。
IoT照明を含めたスマート家電製品を使用してみると、予想をはるかに超えて便利であり、もう手放せないという声もたくさん耳にします。
まだ、使用経験のない皆さんは、ぜひこの機会に一度使ってみることをおすすめします。




