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キーボックスでの鍵の受け渡しは危ない?トラブル事例や対策を紹介

鍵の受け渡しを、簡単にかつ安全に行うことができるキーボックスですが、不特定多数が利用する場面ではセキュリティ上の問題や犯罪に利用されるケースなどもあるようです。

キーボックスがどのようなトラブルの原因となっているのか、その対策方法について解説します。

様々な業界で活用されているキーボックス

キーボックスとは、ダイヤルやボタンを押して暗証番号を入力すると開けられる箱で物理鍵を入れておくものです。

キーボックスはドアノブやドアの近くに取り付けておき、入室する方に暗証番号を教えておいてキーボックスから鍵を取り出して入室してもらいます。

キーボックスを利用した鍵の受け渡しのメリット

キーボックスを利用して鍵を受け渡す方法には次のようなメリットがあります。

  • 価格が安い
  • ランニングコストがかからない
  • 設置工事が不要で簡単に設置できる
  • 誰でも使える

キーボックスは2,000円程度から販売されており、ランニングコストがかからず、ドアノブにひっかけておくなど設置工事が不要です。

そのため簡単に導入できることがメリットです。

そのうえ、暗証番号を教えておけばダイヤルやボタンで暗証番号を入力するだけで利用できるので誰でも使えるという利点もあります。

キーボックスがなければ対面で鍵を受け渡すことになりますが、キーボックスを設置しておけば現地にスタッフが待機する必要がなくなります。

キーボックスはどのような業界で利用されている?

キーボックスは鍵の受け渡しが必要ないろいろな業界やシーンで利用されています。

たとえば、以下のような利用方法です。

  • アパートなどの賃貸物件の内覧用
  • 民泊、レンタルスペース
  • 自宅で訪問介護の介護スタッフ用
  • 店舗や事務所

賃貸物件にキーボックスをおいておけば内覧のためにスタッフを常駐させる必要がなくなり、他社の担当者が案内するときにもキーボックスの暗証番号を教えてあげれば入室できるので便利です。

民泊では、予約を受け付けた際に暗証番号を教えておけば宿泊客が自分で鍵を取り出して入室できるので鍵の受け渡しのためにわざわざ出向く必要がなくなります。

自宅でも親戚の方が訪ねてくるときや訪問介護のスタッフが訪問するときにキーボックスに鍵を入れておけば留守にしていても自宅に入ってもらえ、合鍵を作って渡しておく必要がないため訪問介護で契約を解除した時など合鍵を返してもらうことなくキーボックスの暗証番号を変えるだけで対応できます。

また、多くの従業員などが出入りする店舗や事務所だとキーボックスに鍵を入れておけば合鍵を人数分作らずに済みます。

キーボックスのデメリット

現地に鍵の受け渡しのために出向かなくてもよいメリットがあるキーボックスですが、デメリットもあります。

たとえば、次のようなものです。

  • 現地に行かなければ暗証番号を変えられない
  • マンションのエントランスがオートロックだと置き場所が難しい
  • 鍵の紛失や不正コピーをされるおそれがある
  • 訪問者が鍵をキーボックスに戻してくれないおそれがある

インターネット接続に対応していないキーボックスは、暗証番号を変えるために直接現地に行ってキーボックスを操作し、暗証番号を変えなければなりません。

セキュリティを強化するためには、頻繁に暗証番号を変える必要があり、現地に出向くことになり、鍵の受け渡しのために現地に行かなくて済むというキーボックスのメリットが薄まってしまいます。

また、マンションのエントランスがオートロックになっていればエントランスの外にキーボックスを置くことになります。

マンションに入るためのエントランスキーを不特定の方が利用することがわかるとマンションの住人は不安になってしまい、管理上の問題がでてくるおそれがあります。

鍵の管理が利用者にまかせっきりになるため、鍵を不正コピーしたり紛失したりするおそれがあります。

不正コピーをされるとキーボックスの暗証番号を変えても物理キー自体をすでに持たれてしまっているのでセキュリティ上非常に困ったことになってしまいます。

キーボックスによる鍵の管理は危ない?頻発するトラブル

キーボックスにはメリットがある反面、デメリットもあることがわかりました。

キーボックスによる鍵の管理は万全なのか、キーボックスのデメリットからくるキーボックスの管理の危険性について解説します。

キーボックスの管理

キーボックスは、鍵の受け渡しの都度スタッフが出向かないこと、合鍵をたくさん作る必要がないことがメリットです。

しかし、暗証番号を覚えた利用者が鍵を持ち出し、複製した場合などはセキュリティが守られないことになります。

そのため、安全性を高めるためには頻繁にキーボックスの暗証番号を変えることが必要ですが、変えることを怠ってしまうと、以前の利用者にキーボックスを開けられてしまい鍵を使って不法に侵入・利用されてしまうおそれもあります。

キーボックスを悪用した犯罪が多発

キーボックスを悪用して犯罪に利用されるケースが頻発しています。

空室になっているはずの部屋を宅配先に指定して、キーボックスによって侵入し、荷物を受け取るといったものです。

他人のクレジットカード情報を不正に入手し、インターネット通販などでクレジットカードを利用して決済、購入します。

購入したものを自宅に配達させると身元がすぐにばれてしまうことから、キーボックスで管理している空き室を受取場所に指定します。

キーボックスを開けるには暗証番号が必要ですが、客付け不動産会社を装って管理会社に連絡し暗証番号を教えてもらったり、不動産会社が利用する専用サイトに不正アクセスをしてキーボックスの暗証番号を取得したりしていたようです。

空き室が犯罪に利用されても犯罪後に鍵をキーボックスに戻してしまえば気づかれにくくなります。

このような手口を使ってオレオレ詐欺や架空請求詐欺、犯罪用に作成されたクレジットカードの受け渡しといった犯罪にもキーボックス管理の空き部屋が利用されたことがわかっています。

県警がキーボックス悪用を啓発活動

2017年に神奈川県警察本部が賃貸住宅の空き室が上記のような犯罪に利用されている事件が多発していることから「空き部屋対策推進連絡会」を不動産業界団体などの関係者を集めて開催しました。

楽天では2015年に9万件約72億円分の不正配達の注文を止めていて不正配送先の9割が賃貸住宅の空き室だということがわかっているとのことです。

神奈川県警組織犯罪分析課では「不動産管理会社にはキーボックスの管理や内見希望の仲介会社を確認する体制を見直してもらいたい」と防止策を呼びかけています。

キーボックスを廃止しスマートロック活用の動き

以上のようなキーボックスのデメリットやキーボックスが犯罪に利用されやすいことから事業者の中にはスマートロックに移行する動きがでています。

キーボックス廃止の流れ

特に不特定多数の方が利用することが多い民泊や簡易宿泊所などでは、宿泊客が鍵を紛失したり一度利用した方がキーボックスの暗証番号を覚えていて無断利用をしたりするなどの問題が起っていました。

鍵を紛失されると利用者への問い合わせから鍵の再発行などの手間や費用が発生してしまいます。

別の場所に隠しておいてあるサブキーを緊急用に利用してもらっても一度利用した方にはサブキーを隠してある場所がわかってしまうため同じ場所には置けなくなってしまいます。

スマートロックを活用した鍵の解錠

スマートロックなら暗証番号の変更も遠隔操作でできるので、現地の近くにいなくてもお客様が退室するたびに変更することが苦になりません。

基本的にはスマートロックを利用するためにお客様が自分のスマートフォンにアプリをダウンロードする必要がありますが、スマートフォンを持っていない方がお客様になる可能性があるときにはアプリをダウンロードせずに利用できるタイプのスマートロックがあるのでこちらを利用しましょう。

また、スマートロックの取付も両面テープを利用してドアに貼り付けるものから工事が必要なものまで様々な商品が販売されています。スマートロックを利用すると鍵の施錠解錠の通知がきてわかるようになっているので、お客様のチェックイン・チェックアウトの管理にも利用できるメリットもあります。

賃貸仲介の現場でも、管理会社にわざわざ鍵を取りに行くといった業務がなくなるため、業務の効率化に繋がり、入居者にとってもスマートロック付きの物件という付加価値をアピールできるといったメリットも多くあります。

スマートロック、スマートホームサービス提供会社に相談

前述したようにスマートロックにはお客さんがアプリをダウンロードしなくても利用できるタイプや工事が必要なタイプなどいろいろな商品が準備されています。

導入を検討するときには、利用目的や環境にあったスマートロックを探さなくてはなりませんが、スマートロック、スマートホームサービス提供会社なら最適なスマートロックを提案できます。

スマートロックに悩んだらスマートホームサービス提供会社に相談してください。