注文住宅に取り入れたい設備とは。おすすめの設備や失敗しない注文住宅の建て方


注文住宅は、自由設計で好きな設備やオプションを自由に選択できますが、おしゃれな見た目やあると便利といった感覚だけで決めてしまうと、後々後悔することになります。
注文住宅を建てるのであれば、ぜひ取り入れたい設備にはどのようなものがあるのかについて解説します。
注文住宅を建てるなら取り入れておきたい設備
注文住宅にはどのような設備がおすすめなのでしょうか。
アンケート調査結果などを参考にしつつ、具体的な設備について紹介します。
あると便利な注文住宅のおすすめ設備
AlbaLinkが、2022年に行った「あって良かった住宅設備に関する意識調査」アンケートによると、1位は「浴室乾燥暖房機」、2位「床暖房」、3位「食洗器」、4位「IHクッキングヒーター」という結果でした。

「今後欲しい住宅設備」という設問では、1位「床暖房」、2位は「太陽光発電・蓄電池」で、床暖房が圧倒的多数となっています。それではアンケート結果の上位について解説していきます。

それぞれ上位だった設備を中心に紹介します。
キッチンの必須設備
家族の食事を支えるキッチンには、使い勝手の良い設備を導入することで、料理の効率や快適性が大きく向上します。特に共働き家庭では、時短や省力化につながる設備の導入が有効です。
IHクッキングヒーター
最新のIHクッキングヒーターは、安全性と使いやすさを兼ね備えています。火を使わないため小さなお子様のいるご家庭でも安心で、掃除も簡単です。温度管理が正確なため、調理の失敗も少なくなります。
火災リスクの低減や室温上昇の抑制といった安全面でのメリットに加え、精密な温度調整により、本格的な料理も楽しめます。また、フラットなデザインは、モダンなキッチンとの相性も抜群です。
食器洗い乾燥機
共働き家庭の増加に伴い、食器洗い乾燥機の需要が高まっています。毎日の食器洗いの負担を大幅に軽減できる上、高温洗浄による除菌効果も期待できます。設置場所は、作業動線を考慮してシンク横がおすすめです。
最近のモデルは、水やエネルギーの消費を抑えた省エネタイプが主流となっています。家族構成や使用頻度に応じて適切な容量を選ぶことで、より効率的な運用が可能です。
多機能水栓
最新の水栓は、使い勝手の良さと節水機能を両立しています。浄水機能付きの水栓は、飲料水はもちろん、調理用の水にも安心して使用できます。シャワーヘッド型の水栓は、シンクの掃除や大きな鍋への注水にも便利です。
新築時に導入することで、後付けよりも美しい仕上がりになり、メンテナンス性も向上します。タッチレス操作機能付きの水栓は、手が汚れている時でも衛生的に使用できる点が魅力です。
パントリー収納
キッチン周りの収納として、パントリーの重要性が高まっています。食材のストックや調理器具の収納に便利で、キッチンをすっきりと保てます。スーパーでまとめ買いをした際の収納スペースとしても重宝します。
パントリーの設計では、キッチンからの動線確保が重要です。また、適切な換気設備を設置することで、食材の鮮度を保ちやすくなります。可動棚を採用することで、収納物の大きさに応じて柔軟に対応できる空間となります。
浴室のおすすめ設備
浴室は、一日の疲れを癒す大切な空間です。快適性と安全性を両立した設備選びが求められます。特に、高齢者がいる家庭では、安全面への配慮が欠かせません。
浴室暖房乾燥機
寒冷期の入浴時における温度差による「ヒートショック」対策として、浴室暖房乾燥機の設置は必須といえます。入浴前に浴室を暖めておくことで、急激な温度変化を防ぎ、安全に入浴できます。
また、乾燥機能を使用することで、浴室の湿気を効率的に排除できます。カビの発生を抑制し、清潔な浴室環境を維持するのに役立ちます。洗濯物の室内干しスペースとしても活用できる点も、実用的なメリットといえます。
保温浴槽
高断熱構造の保温浴槽は、お湯の温度低下を抑制し、快適な入浴時間を延長します。追い炊きの頻度が減ることで、光熱費の削減にもつながります。最新の保温浴槽は、断熱材の改良により、より高い保温効果を発揮します。
また、浴槽の形状や深さも、家族の好みや体格に合わせて選択できます。高齢者や小さな子供がいる家庭では、安全に配慮した設計の浴槽を選ぶことが重要です。
浴室テレビ
リラックスタイムをより充実させる設備として、浴室テレビの人気が高まっています。防水機能を備えた専用モデルは、安全に使用できます。ニュースや好きな番組を視聴しながらの入浴は、より充実したバスタイムを演出します。
設置には、浴槽に浸かりながら自然な姿勢で視聴できる位置を選びましょう。
トイレ・洗面所の設備
清潔さと使いやすさが求められるトイレと洗面所。家族全員が毎日使用する空間だからこそ、快適性を重視した設備選びが重要です。
タンクレストイレ
タンクレストイレは、すっきりとしたデザインと清掃性の高さが特徴です。従来型のトイレと比べて、便器背面のタンクがないため、狭い空間でも圧迫感が少なく感じられます。また、タンクの掃除が不要になり、お手入れが簡単になります。
最新のモデルでは、除菌や消臭機能を搭載したものも増えており、より衛生的な環境を保てます。節水性能も向上しており、従来型と比べて大幅な水量削減を実現しています。
2階トイレ設置のメリット
2階建ての住宅では、2階へのトイレ設置が生活の利便性を大きく向上させます。夜間のトイレ利用時の階段の上り下りが不要になり、特に高齢者や小さな子供のいる家庭では安全面でも大きなメリットとなります。
また、来客時にも1階と2階で使い分けができ、プライバシーの確保にも役立ちます。設置コストは増加しますが、快適な暮らしのために検討する価値は十分にあります。
玄関周りのセキュリティ設備
防犯対策は、安心して暮らすための重要な要素です。玄関周りの設備は、セキュリティと利便性の両立が求められます。最新のテクノロジーを活用することで、より安全で快適な住まいを実現できます。
スマートロック
スマートフォンと連携した電子錠システムは、鍵の携帯や管理の手間を大幅に軽減します。暗証番号やICカード、指紋認証など、複数の認証方式から選択できます。外出先からのスマートフォン操作で、施錠状態の確認や遠隔操作も可能です。
不正侵入の防止に効果的なだけでなく、子供の帰宅確認にも活用できます。また、宅配業者への一時的なアクセス権限の付与など、柔軟な運用が可能です。
宅配ボックス
共働き家庭の増加や通販利用の拡大に伴い、宅配ボックスの需要が高まっています。不在時の荷物受け取りを可能にし、再配達の手間を省くことができます。防犯カメラと組み合わせることで、より安全な受け取りシステムを構築できます。
設置場所は、配達員のアクセスのしやすさと、セキュリティのバランスを考慮して決定します。大きさは、通常受け取る荷物のサイズを想定して選択しましょう。
センサーライト
人感センサー付きの照明は、夜間の防犯対策として効果的です。自動点灯により、不審者を威嚇するとともに、居住者の帰宅時の安全な動線確保にも役立ちます。LED採用により、省エネ性能も向上しています。
設置位置は、玄関アプローチだけでなく、家の周囲の死角となりやすい場所にも配置することをおすすめします。照明の明るさや点灯時間は、周辺環境に配慮して調整可能です。
居室のおすすめ設備
日々の生活の大部分を過ごす居室には、快適性を重視した設備選びが求められます。季節を問わず快適に過ごせる環境づくりが重要です。
床暖房システム
床暖房は、足元から部屋全体を温める快適な暖房システムです。温風を循環させる暖房と異なり、空気を汚さず、ホコリを巻き上げることもありません。特に小さな子供やお年寄りがいる家庭では、安全で快適な暖房方式として人気があります。
温水式と電気式があり、それぞれに特徴があります。温水式は、ランニングコストを抑えられる反面、初期投資が比較的高額になります。電気式は、設置が容易で部分的な導入も可能ですが、電気代が高くなる傾向があります。導入する部屋の用途や使用頻度に応じて、適切なシステムを選択することが重要です。
全館空調
家全体を一括で空調管理できる全館空調システムは、年間を通じて快適な室内環境を実現します。従来の個別エアコンと比べて、室内の温度差が少なく、結露やカビの発生も抑制できます。また、フィルターによる集中的な空気清浄効果も期待できます。
特徴的なのは、家全体の温度管理が一元化できる点です。各部屋の温度設定や運転スケジュールをスマートフォンで管理できるシステムも増えており、より効率的な運用が可能になっています。初期費用は高めですが、長期的な住環境の質の向上を考えると、検討する価値は十分にあります。
収納設備
十分な収納スペースの確保は、快適な住空間を維持するために欠かせません。各部屋の用途に応じた収納計画を立て、使い勝手の良い設備を選択することが重要です。例えば、寝室のウォークインクローゼットや、リビングの大容量収納など、生活スタイルに合わせた設計が可能です。
本当に必要な設備を見極めよう
注文住宅の設備やオプションは、様々なものが選択できることから、目移りしたり勢いで使わない設備をつけてしまったりします。カタログにはよい面しか書かれていないので、その設備が自分の生活スタイルに合っているか見極めるのが大切です。
また、住宅は将来にわたって長く使うものであり、現状だけではなく家族構成の変化にも目を向け、当面は最小限とし、順次設備の更新や追加など、フレキシブルに対応することも大切です。
省エネ・環境配慮型設備
地球環境への配慮と、将来的な光熱費の削減を両立させる省エネ設備の導入は、現代の住宅には欠かせない要素となっています。初期投資は必要となりますが、長期的な視点で見ると大きなメリットがあります。
太陽光発電システム
太陽光発電は、クリーンエネルギーを生み出す代表的なシステムです。近年の技術革新により、発電効率が向上し、パネルのデザイン性も改善されています。余剰電力の売電や、蓄電池との組み合わせにより、より効率的な電力活用が可能です。
設置にあたっては、屋根の向きや面積、地域の日照条件などを考慮する必要があります。また、メンテナンス費用も含めた長期的な収支計画を立てることが重要です。
蓄電池
太陽光発電システムと組み合わせることで、より効率的なエネルギー活用が可能になる蓄電池。昼間の余剰電力を夜間に使用したり、災害時の非常用電源として活用したりできます。
最新の蓄電システムは、AIによる充放電制御機能を搭載し、電力の使用状況に応じて最適な運用を行います。電力会社からの電力購入を最小限に抑えることで、光熱費の削減にも貢献します。
高効率給湯器
エコキュートやハイブリッド給湯器など、高効率な給湯システムの選択は、光熱費削減の大きなポイントとなります。従来型の給湯器と比べて、大幅な省エネ効果が期待できます。
特にエコキュートは、大気中の熱を利用して効率的にお湯を沸かすヒートポンプ技術を採用しており、電気使用量を抑えることができます。深夜電力を利用することで、さらなるコスト削減も可能です。
設備選びの失敗例と対策
注文住宅の設備選びでは、様々な失敗例が報告されています。これらの事例を参考に、適切な選択を心がけましょう。
よくある後悔ポイント
まず多いのが、将来の生活変化を考慮せずに設備を選択してしまうケースです。例えば、子育て世代では、乳幼児期のニーズだけを重視して設備を選んでしまい、子どもの成長に伴う生活スタイルの変化に対応できなくなることがあります。設備選びの際は、5年後、10年後の生活をイメージしながら検討することが重要です。
また、メンテナンス性を考慮せずに最新設備を導入してしまい、維持管理に苦労するケースも見られます。特に、複雑な機能を持つスマート設備は、定期的なメンテナンスや更新が必要となることがあります。導入前に、メンテナンス体制や費用について十分確認しておくことをおすすめします。
予算オーバーしないための対策
設備投資による予算超過を防ぐためには、計画的なアプローチが必要です。まずは、総予算に占める設備費用の割合を明確に設定しましょう。一般的に、建築費用全体の15〜20%程度を設備費用の目安とすることが多いです。
優先順位をつけた設備選びも重要です。以下のような観点で優先度を検討することをおすすめします。
- 日常的に使用する基本設備(給湯、空調など)
- 安全性に関わる設備(セキュリティ、防災など)
- 快適性を高める付加的な設備(床暖房、ホームシアターなど)
また、将来的なランニングコストも含めて検討することで、より現実的な予算計画を立てることができます。高額な設備でも、長期的に見れば光熱費の削減につながるものもあります。
メンテナンス費用の考え方
設備の導入時には、単なる初期費用だけでなく、長期的なメンテナンス費用も考慮する必要があります。一般的に、設備の耐用年数は10〜15年程度であり、その間の定期的なメンテナンスや部品交換が必要となります。
例えば、太陽光発電システムの場合、パワーコンディショナーの交換が10年程度で必要となり、その費用は数十万円程度かかることがあります。また、全館空調システムでは、フィルターの定期的な清掃や交換が必要です。
これらのメンテナンス費用は、月々の住宅ローンとは別に計画しておく必要があります。年間の設備メンテナンス費用として、設備投資額の1〜2%程度を目安に積み立てておくことをおすすめします。
利便性を向上させるスマートホームは、注文住宅に必須?

スマートホームは、スマートスピーカー・スマートリモコン・スマホなどのスマートホーム化デバイスを駆使し、音声操作やリモート操作を可能にすることで利便性を向上させるものです。注文住宅にIoT(Internet of Things)やAI(人工知能)などの技術を活用し、スマートホーム化することのメリットとデメリットを見ていきましょう。
スマートホームとは?
スマートホームとは、住空間にあるモノとモノをインターネットなどの通信回線を通じて接続することで、人々の暮らしを快適かつ便利にするサービスを指します。インターネットと繋がった家電や機器を、スマホなどから遠隔操作することで、生活の利便性や快適性、防犯面やセキュリティを向上させることができます。
スマートデバイスを揃えていけば、IoTやAIなどの技術を活用したスマートホームが実現します。注文住宅の新築に合わせて、スマートデバイスを買い揃えるの簡単ですが、手持ちの古い家電でも、スマート化できるデバイスもあり賢くスマートホーム化するのがよいでしょう。
スマートホームサービスの選び方
スマートホームのシステムは、デバイスの動きを指示するアプリやプラットフォームシステムと、操作や動きを実行するデバイスの2種類に大別されます。IoTやAIの技術を活用し、アプリ・プラットフォームとデバイスを連携させることで、音声操作やリモート操作を行える快適な環境を手に入れられます。それでは、どのようなサービスを選べばよいのでしょうか。
接続されるデバイスの種類で選ぶ
スマートホームサービスは多種多様なので、自分のライフスタイルから計画を立て、優先するデバイスから順に揃えていきましょう。
ただし、デバイスを操作するアプリ・プラットフォーム選びは慎重に行いましょう。たとえば、特定のメーカーのデバイス操作しか対応していないアプリを選んでしまうと、以後はそのメーカーのデバイスしか追加できなくなります。
メーカーなどに縛られることなく、幅広いメーカーや機器に対応したアプリ・プラットフォームを選ぶことをおすすめします。
スマートホームに対応した家電についてはこちらで詳しく紹介しています。
関連記事:スマートホームでのスマート家電の活用方法を解説。アイデアやおすすめ方法を紹介
住宅のスマートホーム化に失敗しないためには
スマートホーム化に失敗しないためには、明確な目的とデバイスの選択を間違えないことが先決です。欲張りすぎると費用がかかる割に、無駄な設備ばかりで使いにくいものになりかねません。
スマートホーム化の目的は、操作性の利便性・電気代の節約・セキュリティの強化などが一般的です。導入する前にどの範囲まで行うのか将来計画を立て、予算を含めて実現スケジュールを決めておくとよいでしょう。将来計画が明確になっていれば、注文住宅新築時にデバイスとの接続に必要な配線、コンセントなどを仕込んでおくことができるため、見た目にもスマートに仕上げることが可能になります。
そういった設計や配置から、きちんと相談できるスマートホームサービス会社に相談してみてもよいでしょう。
設備だけじゃない?満足できるマイホームの建て方とは
注文住宅を建てると思い立ったとき、まずはどの建築会社に頼むかで迷ってしまいます。
建築会社を決めるといっても簡単に決められるものではありませんので、注文建築を建てた先輩の経験談を参考に、どのように選定していけばよいか考えていきましょう。
注文住宅を建てる会社はどう決める?
「ホームズ」を運営しているLIFULLが、2022年10月に公開した「満足できるマイホームの鍵を徹底調査」によると、注文住宅を建てる際「最終的に会社を選ぶ決め手」で一番多かった回答は「担当者との相性」(41.4%)、2位は僅差で「住宅性能(高気密・高断熱、省エネ)」(39.7%)という結果でした。
最近のSDGsの取組の高まりにより、生活における快適さだけではなく、ランニングコストの低減や環境に配慮する人が増えてきている一方で、コミュニケーションを取る担当者との相性が最も高いという結果でした。

「家を建てる会社や不動産会社に連絡する前に行った方がよいこと」では、「希望条件の整理をする」(46.7%)、「住宅の購入に使える費用を試算する」(40.7%)との回答が多くなっています。実際の購入者からは、下調べや自分達でちゃんと勉強することの大切さについてアドバイスがありました。

予算と価格と満足度の関係
注文住宅を建てた人は全体で8割以上が「満足している」と答えていますが、「価格の安さ」を重視した人の満足度は低くなっています。注文住宅を建てる会社を選ぶときに、安さだけで選ぶと住み始めてから後悔することにつながるようです。また、想定予算よりも実際の購入額が高くなった人が約7割となっており、予算をオーバーしないよう、優先順位をつけて進めることが重要です。
また、予算オーバーは100~300万円未満が最多で、予算を下げるために「家の形状をシンプルに」、「不要な設備を削減」などの対応をしており、本当に必要な物を見極めながら取捨選択するのが重要です。


今後の注文住宅の傾向
注文住宅は、施主の希望を叶える最良の建築方法であり、満足度も高くなる傾向にあります。しかし、先述のアンケートでは、建築会社を決める決め手が「担当者との相性」となっており、人と人のつながりを重視していることがわかります。
今後は少子高齢化や高齢社会、SDGsに代表される地球環境改善への取組が必要になります。また、コロナ禍により在宅勤務が浸透するなど、人生100年時代に向けた視点も必要になります。
これからの住宅は、在宅勤務やスマートデバイスの普及などにより、家庭でのエネルギー需要が増えることが予想され、省エネ、創エネ、蓄エネへの対応や電気自動車の普及など、将来を見据えたライフスタイルを十分検討し、適切に必要な設備を取捨選択することが必要となっていくでしょう。
新築物件をスマートホームにする際の導入方法についてはこちらで詳しく紹介しています。
関連記事:新築物件のスマートホーム化。メリットや導入方法を解説



