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10年後に家賃が下がる賃貸物件の特徴とは。家賃を維持する工夫やアイデアも紹介

賃貸経営における利益は、賃料収入が大部分を占めています。賃料は建物の経年劣化や需給のバランスによって、変化・変動する可能性があります。

では、10年後に家賃が下がる賃貸物件とはどのようなものなのでしょうか。家賃を維持する工夫やアイデアについても紹介します。

新築物件、10年経ったら家賃はどう変化する?

新築物件の賃料はどのように変わっていくのでしょうか。また、10年後も現在の賃料を維持できるのでしょうか。

経年によって賃料がどのように変化するのか、賃料が決まる要因について解説します。

賃料はどう決まる?

一般に物の価値は需要と供給のバランスによって決まるものですが、家賃も例外ではありません。

賃料は、所有者である大家や賃貸物件を管理している不動産会社などが下記のような要素を総合的に判断して決めています。

  • 築年数
  • 構造
  • 立地
  • 間取り
  • 設備
  • 周辺の相場

新築できれいな物件、駅の近くや買い物に便利な場所、あるいは子供が通う学校に近いといった立地がよい物件、エアコンやインターネット、セキュリティなどの設備が整っている物件などは人気があります。その分、賃料も高くなる傾向にあり、逆に立地が悪く間取りや設備が整っていなければ賃料は低くなる傾向にあります。

経年で家賃にどのような変化が現れる?

賃貸マンションの経年による賃料下落率は、年率換算で平均約1%といわれています。

実際の経年による賃料の下げ圧力はどのようになっているのでしょうか。少し前の資料になりますが、以下は、2013年に三井住友トラスト基礎研究所が発表した「経年劣化が住宅賃料に与える影響とその理由」に記載されている建築後の経過年数と賃料の下落を表した図です。

三井住友トラスト基礎研究所「経年劣化が住宅賃料に与える影響とその理由」より

これによると、賃料下落は以下の3つの局面に分けることができます。

  • 第1段階:築3年~10年
  • 第2段階:築11年~20年
  • 第3段階:築21年以降

第一段階

築3年~築10年の期間は、賃料にもっとも大きな下げ圧力がかかっています。築浅物件ということで、他の新築物件との競合にさらされて賃料に対する下げ圧力が大きくなっています。

第二段階

築11年~20年の期間は第一段階に比べると、賃料への下げ圧力が低下してきます。

建築後11年以上経過していることで新築物件の賃料と比較されにくく、築年数の影響がでにくくなっている時期といえます。

第三段階

築21年以降になれば第二段階よりもさらに賃料に対する下げ圧力が低下しています。

特に、シングル(18㎡以上30㎡未満)においては、経年による下げ圧力がほぼ解消されつつあります。

以上のように、築年数によって賃料に対する下げ圧力に違いがあることがわかります。また、建築後25年間の賃料下落率を平均すると約1%の下落率になっており、住宅市場の感覚と一致しています。

10年後に家賃が下がる・上がる物件の特徴

10年後でも賃料を維持できる物件の特徴、賃料が変動する要因について考えてみましょう。どのような要素が賃料に影響を与えるのでしょうか。

イベントが与える時期的な要因

賃料の相場には時期的な要因が働くことがあります。

たとえば、オリンピックや万博の開催などの世界的なイベントが予定されている地域であれば、賃料を押し上げる要因となります。近年では、東京オリンピックの開催に向けて東京近郊で建築ラッシュとなり、景気も上向き賃料相場を押し上げていました。

また、長期的なものだけでなく、1年を通してみれば、10月から3月にかけては企業の異動時期や進学などによって賃貸物件の需要が高まるため、賃料相場が上がることがあります。

逆に4月から9月は賃貸物件の需要が落ち着くため、賃料相場も落ち着く傾向にあります。

このようにイベントの大小によって影響を与える期間は異なるものの、賃料相場に世界的なイベントや個人的なイベントが影響を与えることが理解できるでしょう。

エリアの需要や周辺施設

賃貸物件があるエリアや周辺施設などの立地条件は、賃料に影響を与えます。暮らしやすく生活の利便性が高ければ、それだけ需要が見込めます。

駅に近ければ、日々の通勤や旅行などの移動に便利です。また、商店街が近ければ日常の買い物に便利で、シネマコンプレックスなどレクレーションも気軽にできるため、住みたいと考える方は多くなります。このように賃貸物件があるエリアの需要や周辺施設は、賃料相場に影響を与えます。

賃貸物件の付加価値が与える影響

賃料を決める要素として、付加価値の存在は欠かせません。

イベントなどの時期的要因や立地条件といったものは建築後オーナーの意識だけでは変えようがありません。しかし、物件の付加価値を上げることは自由にできます。

築年数が経ち、近くに新築の賃貸物件が立ち上がっていく中で競争力を維持していくためには、ライバルとなる他の物件との差異化が必要です。そのためには以下のことを検討してみましょう。

  1. 建物全体の外観などのメンテナンス
  2. 共用部分の設備の充実
  3. 室内設備の充実

外壁を塗り替えれば、物件の第一印象が変わってきますし、玄関ドアやフローリングを交換することで賃借希望者が訪問した時の第一印象をよくすることもできるでしょう。また、オートロックを設置すれば、セキュリティの充実を印象付けられます。

賃貸物件の賃料を維持するには、建築後に改善できるものを改善していく努力が必要といえます。

賃貸物件の賃料を維持する工夫やアイデア

賃料には、イベントや賃貸物件のエリア、周辺環境、また賃貸物件そのものの付加価値が影響することがわかりました。

では、改めて賃料を維持するための工夫やアイデアについて紹介します。

賃貸物件の借り手は何を求めている?

具体的に賃貸物件を借りる方の意識はどのようになっているかを確認しましょう。

SUUMOが2021年に発表した「20代社会人シングル男女の一人暮らしデータ2021」を参考にします。

部屋を探すときに重視する項目について尋ねたものが次のグラフです。

SUUMO「20代社会人シングル男女の一人暮らしデータ2021」より

家賃、通勤・通学時間、立地などが重視されているのがわかります。中でも女性は「セキュリティ」についての関心が高く、男性の3倍以上の方が重視していることに注目しましょう。

また、賃貸物件を借りる決め手になったポイントについて尋ねた結果が次のグラフです。

SUUMO「20代社会人シングル男女の一人暮らしデータ2021」より

全体では「バス・トイレ別」「室内洗濯機置場あり」が高く、実際の決め手になった事項にも探すときのポイントで上位だった「セキュリティ」に関連して「オートロック」が決め手になったと回答していることが印象的です。

スマートホームを必要とする社会変化への対応

賃料を決定づけるのは、築年数や立地とともに社会情勢や設備も重要なことがこれまでの解説でご理解いただけたことでしょう。

社会情勢に対応した設備を備えて賃貸物件の付加価値を上げていくことが、賃料を維持するための重要なポイントです。

2020年初頭から日本国内でも新型コロナウィルスが流行して社会的に大きな影響を与えました。社会人には、テレワークの浸透や多拠点での生活が必要となり、生活の場である住宅にもワーキングスペースが必須なものとなってきました。

このような事態となった今こそ、生活の場にも「効率性」や「確実性」などの機能をもつ利便性を備えたデバイスが求められます。このような要望に応えるものがスマートホームといえるでしょう。

スマートホームサービス提供会社に相談する

賃料を維持するためにスマートホーム化が重要なカギを握っているとわかっても、何から手を付ければよいのかわからないことが多いでしょう。

スマートロックなどセキュリティを向上させることからはじめ、効果を確認しながら徐々にスマートホーム化を進めていくことがおすすめです。

賃貸物件のスマートホーム化を検討するには、さまざまなIoTデバイスから賃貸物件に最適なものを選んでいくことが大切です。

スマートホーム化を検討するときは、スマートホーム提供会社に相談されてはいかがでしょうか。スマートホーム提供会社は、さまざまなIoTデバイスに精通しており、賃貸物件のスマートホーム化にも取り組んでいます。あなたの賃貸物件のスマートホーム化に有効な提案ができるでしょう。

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