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ビジネスでIoT・ロボット技術はどのように活用されている?導入事例や補助金も説明

IoT(Internet of Things)は今までインターネットに接続されていなかった家具や電子機器が、インターネットに接続される状態になることを指します。ネットに接続することで、データを処理、分析ができるようになることで様々な可能性が広がります。 IoT活用は総務省をはじめ、日本政府が積極的に推し進めており、様々な業界が研究や導入をしています。そして、IoTと同じように進められているのがロボット技術の活用です。人に代わって機械が仕事を行うことによって、人件費の削減や業務の効率化などが期待されており、実際に導入している企業も少なくありません。 今回は現在、注目されているIoTとロボット技術の活用方法や、導入事例について詳しく解説していきましょう。

ロボット・IoT活用が各産業で進む

なぜロボットやIoT活用が進められている理由として「遠隔地でできることが多くなる」「人員コストや事故リスクの軽減に繋がる」などが挙げられます。将来的に少子高齢化に伴った労働人口の減少が懸念されている日本において、ロボット技術活用による省人化や効率化などのメリットは大きいでしょう。

IoT機器の成長性

総務省が公表している「令和2年 情報通信白書」によると、2019年時点における世界のIoTデバイスの数は約253億台となっています。

最も多いのがスマートフォンなどの通信機器ですが、2015年の調査開始時と比較して16%程度しか伸びておらず、市場が飽和状態になっていると考えられるでしょう。逆に高成長しているのが医療業界や向上や物流などの産業、スマート家電などのコンシューマー業界は2015年から2倍近く台数を増やしています。 また、IoT市場は2020年は約6兆円規模になると見込まれ、2025年には10兆円を超えるとIDC japanが「国内IoT市場 産業分野別予測、2021年~2025年」にまとめています。産業分野別の市場を見ると、製造業界が全体の20%以上を占めているなど、モノづくりの現場に大きく関わっていることが分かります。 IoT機器は日々新しいものが誕生してきており、これからの将来において重要な役割を担うことになるでしょう。

伸び続けるロボット市場

国際ロボット連盟が2017年に公表した「World Robotics: Industrial Robots 2017」によると、2011年から2016にかけて世界の産業用ロボット市場は、毎年平均14%ほど増加しているという内容が書かれています。 特に中国を始めとしたアジアでの需要が高く、溶接・塗装系のロボット、組立や搬送を行うロボットなどが市場の多くを占めています。また、日経新聞の報道よると、市場規模が2019年の1兆円から、2025年には2兆円を超えると見られており、今後もさらなる拡大が期待されています。 日本においてもロボット市場は拡大の一手を辿っていますが、この背景にはIoTと同じく労働人口の減少が挙げられます。日本生産性本部のデータによると、日本の生産性はOECD36カ国中21位と生産性が他国と比較して低いことが問題になっています。この現状を打破するためにも、産業用ロボットを導入することによる生産の効率化が進められています。 現在において、ロボットにAIやIoT活用を連携することが増えてきており、IoT活用と同時に将来にわたって伸び続ける業界になっていくことでしょう。

各産業でのロボット・IoT技術の活用例

市場規模の成長が著しいロボット業界とIoTですが、実際にどのような業界で活用されているのでしょうか。実は一見関係がないような業界にも活用されており、消費者の生活にも影響を与えています。 そこで、各産業でのロボットとIoT技術の活用事例を紹介していきましょう。

不動産業界で広がるIoT機器

建物の売買や賃貸を行っている不動産業界においても、IoT活用の波が来ています。昨今の新型コロナによって、人と人との距離が問題視される中、スマートロックを始めとしたIoT機器を活用したセルフ内見が人気となっています。 スマートロックとは物件の鍵をインターネットを通じて遠隔で開閉できる機器であり、わざわざ不動産会社の担当者が現地に案内することなく、消費者が1人で自由に内見することを可能にしています。 鍵の開閉は電子キーに限られており、電子キーの番号は時限式なので消費者が勝手に入室するリスクもありません。また、消費者側もインターネットで予約を行い、予約日時に現地に行くだけで内見ができるので、不動産会社に足を運ぶことなく内見が可能になるメリットもあります。 コロナ禍において、室内空間で不動産会社の担当者と一緒にいるということに抵抗がある人も増えたため、現在急速な勢いで広まっているIoT機器です。

自動車業界などで活躍している垂直多関節ロボット

産業用ロボットの中で最も普及していると言われるのが、垂直多関節ロボットです。 主に溶接や塗装、組立業務を担当しており、自動車業界をはじめとした製造業界全体で活躍しています。その人気の秘密は、人よりも多い関節によって可能になる自由度の高い動きになります。この自由度の高さから、小型ロボットから大型ロボットまで各メーカーが豊富なラインナップを揃えており、需要の高さが伺えます。 最近ではIoTと連携した垂直多関節ロボットが開発されるなど、需要と人気が高いロボットと言えるでしょう。

医療業界で活躍する内視鏡手術支援ロボット

医療現場においてもロボットは活躍しています。 患者のお腹に小さな穴を開けて、手術器具を取りつけたロボットアームと内視鏡を挿入し、担当医が遠隔でロボットを操作し手術できる機器などは、1990年代から実用化されています。開腹手術によってできてしまう手術痕をほとんど残らず、術後の回復も早くなるなどの多くの利点があります。 手術時のロボット活用は、2018年に胃がんや食道がん、肺がんなどの難しい手術にも保険診療が認められてから導入する病院が増えてきており、これからの開発次第ではさらに多くの病気に対処できるようになるでしょう。

ロボット・IoTを導入するための補助金にはどういったものがあるのか

ロボット・IoTサービスを導入するにあたり、活用できる補助金とはどういったものなのか。補助金の解説や申請方法などについて紹介。 これからロボットやIoTを導入しようと検討した場合、一番の問題が導入コストになります。スマートロックのように数万円で導入できるIoT機器もありますが、ロボットとなると数千万円から数億円など高価なものが多く、今すぐ導入という訳にはいかないでしょう。 しかし、各自治体が様々な補助金を出しているのをご存じでしょうか。 そこで、これからロボットやIoTを導入する時に覚えておきたい補助金の種類について紹介していきましょう。

躍進的な事業推進のための設備投資支援事業

東京都中小企業振興公社では、東京都に本店もしくは支店を持っている中小企業者に向けての補助金を出しています(「躍進的な事業推進のための設備投資支援事業」)。IoTやAI、ロボットなどのデジタル技術の活用については助成率3分の2、助成限度額1億円となっており、高額なロボット購入などに役立てるでしょう。東京都限定のため、それ以外の地域の会社では利用することができませんが、東京都にお店を構えている方は、是非検討してみてはいかがでしょうか。

ものづくり補助金

ものづくり補助金とは、中小企業庁が中小企業や小規模事業者等を対象に出している補助金です。主に中小企業などが取り組んでいる革新的サービスの開発費や、生産プロセス改善のための設備投資などの場合に申請することができます。生産プロセスの改善や、試作品開発の場合は最大1,000万円の補助を受けることが可能ですが、事業規模によって補助金の金額が変わるため注意が必要です。

介護ロボット導入支援事業補助金

介護ロボット限定ですが、各自治体で介護ロボット導入支援事業補助金を出しています。補助内容は介護ロボットの導入、もしくは見守り機器導入に伴う通信環境の整備の2つとなっています(介護ロボット導入補助金)。 (1) 介護ロボットの導入    1機器につき、導入経費の最大3/4を補助    補助限度額 30万円          ※移譲支援・入浴支援は100万円   (2) 見守り機器導入に伴う通信環境整備    1施設につき、導入経費の最大3/4を補助    補助限度額 750万円   注意点として導入機器限度が各自治体で定められているため、限度以上のロボットを導入してしまうと補助金が受けられない可能性があります。注意しておきましょう。 技術の進歩は目覚ましく、IoT活用やロボットの導入など新しいものが次々と生まれてきています。特にロボットは自動車や食品製造など一部の業界のみでしたが、今では介護や医療現場でも活躍するロボットが増えてきており、我々の生活に直結するような場所に利用が広がるようになりました。IoT市場もロボット市場も年々拡大しており、将来を考えるとまだまだ拡大し続ける市場でもあります。 IoT機器は、昨今人気になってきているスマート家具を筆頭に様々な商品が販売されており、IoT機器が当たり前のものになるのも遠くはないでしょう。これから導入を考えている人は、自治体などの補助金を利用し、これからの時代に備えてみてはいかがでしょうか。
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