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不動産営業を支援するサービスを解説。どういった効果やメリットがあるの?

コロナ禍において直接対面することが困難になっていることや、また効率化、省力化につながる不動産テックに関心が寄せられています。

では、不動産業務のなかでも特に重要な営業業務において、どのようなテクノロジー活用が可能なのでしょうか。

不動産営業におけるテックツール活用の実態

2021年1月、NTTデータ経営研究所が「企業における不動産テックの取り組み動向調査」を公表しました。

調査結果から、不動産テックの認知度や導入されているサービス、取り込まれている不動産テックの成果について紹介します。

不動産テックの認知度

調査結果から不動産テックの認知度は4.9%と依然として低いものの、不動産テックを知っている人が所属する企業では約4割が実際に不動産テックに取り組んでいることがわかります。

認知度は2016年度が3.1%、2019年度は3.9%と今回が3回目の調査ですが、不動産テックに対する認知度は徐々にあがってきており、浸透が進んでいることがわかります。

不動産テックの認知度はあがってきているものの、『社内に不動産テックについて知っている人が少ないため』(13.9%)に導入に躊躇している実態が浮かんでいます。

不動産テックで取り込まれているサービス

不動産テックで実際に取り込まれているサービスでは約3割が「不動産データビジネス:ウェブ上で不動産の成約価格、物件情報などのデータを収集・分析・共有することで資産価値評価や売買予測等を行うサービス群」(29.1%)となっています。

おもに導入されているテクノロジーは「ウェブ化・オンライン化」(58.2%)、「AI(機械学習、ディープラーニング含む)」(57.0%)「ビッグデータ (DMP:Data Management Platform含む)」(53.22%)となっています。

以上のことから、不動産テックのサービスの中心は『データの取集・分析・共有』に関するものであることがわかります。

不動産テックの成果

不動産テックを利用することで得ることができる本質的な価値については「従来と比べ明らかに”効率がよい”、”手間が減る”」(46.8%)ことが最も期待されています。

取り組んだ不動産テックの成果について「期待以上の成果が得られている 」(12.2%)、「期待通りの成果が得られている」(46.9%)と約6割が“成果が得られていると評価しています。

その一方で「一定の成果は得られているが、期待していた程ではない」 (32.7%)、「期待していた成果は得られていない 」(4.1%)として4割近くが期待を下回っています。

不動産テックの取り組みの成功要因をみると最も多いのは「有望なターゲットセグメントを特定したこと」 (46.7%)で、「顧客ニーズを明確化したこと 」(11.1%)が続いています。

不動産売買における営業支援サービス

不動産売買の営業を支援する不動産テックサービスにはどのようなものがあるのか、追客(MA)、登記簿取得、営業資料の作成ツールについて紹介します。

追客(MA)ツール

ほとんどの追客ツールには、自動メール配信機能があります。

これにプラスして、ウェブ上の行動解析ができることやAIによる物件提案ができることなどで、各サービスが差別化をはかっています。

ウェブメールや携帯キャリアのメールに加えて、携帯電話の番号に直接SMS(ショートメール)を送るサービスがあります。

SMSは着信通知があると、ついついアプリやサイトを開いてしまう傾向があります。

サービスを提供している会社によると、SMSの開封率は90%以上とされています。

これらのメールサービスには、あらかじめサンプル文章がついているので、案内文を考える手間も省いてくれます。

不動産ポータルサイトと連動して来訪があれば通知してくれて、自動的にお礼のメールを発信したり、定期的に案内メールを発送したりすることができるサービスもあります。

物件に関心が高いお客様に集中できて、サイトに訪問されたタイミングで興味がある物件を紹介できるので、タイムリーな営業をしかけることが可能になります。

登記簿取得ツール

不動産登記情報をスマホから見ることができるサービスなども、不動産営業をサポートするサービスとして注目が集まっています。

不動産テックとして特に注目したいのは、取得した登記情報をPDFにするだけではなく、エクセルなどにデータとして変換でき、内容の分析などを行うことできる機能も備わっている点です。

登記情報がデータになることで、同じ所有者での物件の絞り込みや、10筆以上所有している所有者の洗い出しなど、自分が欲するデータを整理収集することが可能になります。

電子地図に登記情報から取得した所有者の名前を表示することもできます。

また社内が1つのツールを利用し、一元管理することで同じ物件の登記情報を社内で何度も重複して取得するといった無駄を省くことができるようになります。

取得した登記情報を重要事項説明書や売買契約書に自動入力できる機能もあります。

営業資料作成ツール

広告をたくさんのポータルサイトに掲載するときに、ポータルサイトごとに物件情報を入力していくのは手間が取られる作業でしたが、一度だけ物件入力をすれば、後は出したいポータルサイトを選ぶだけで広告をアップしてくれるサービスがあります。

さらにポータルサイトの反響も自動で取り込めるので、広告後の反響管理も楽になります。

反響からメールを自動的に送信してくれる追客機能もあります。

期間を指定して広告媒体ごとの成約率を計算することができるので、このデータから成約獲得費用を見積もることが可能になります。

スケジュール管理もシステムの中に組み込まれているので社内で重複することなく活動できるようになります。営業活動などの記録をツールが行なってくれるので、社内間での営業活動の共有や売主への営業報告にも利用できます。

住所を入力すれば自動で周辺の学校やスーパーなどの情報を取得してくれるので地図を見て営業資料を再作成する手間が省けます。

マイページに写真などのファイルをまとめてクラウドに保存できるため、時と場所を選ばず社内間で共有することや興味を持った顧客へ資料を提供することも可能になります。

顧客管理、物件情報の管理、契約管理、ホームページの作成、チラシの作成、間取り図の作成なども1つのツールで行なえます。

以上のように、不動産テックを活用することにより、登記情報などから重要事項説明書や売買契約書にデータが自動的に入力され、広告の出稿からその後の反響管理、営業活動の記録から社内での活動状況の共有ができるだけでなく、同じデータを利用して売主への営業報告にも利用できます。

物件の写真やその他のデータも一つのツールで社員間での情報の共有からお客様への提供まで、一つのデータを何通りにも加工して営業資料を作成してくれるので、雑用はツールに任せて営業本来の企画立案に注力できるようになります。

賃貸業務における営業支援サービス

不動産テックを利用することで、空き室の管理、家賃の支払い状況の管理、未収家賃の督促と賃貸業務にも省力化をもたらします。

入居者・オーナーとのコミュニケーションツール

賃貸管理業務では、その労力や時間の大部分を苦情やクレーム対応に割いているケースは少なくありません。

入居者とのコミュニケーションツールを活用することで、電話が主流だった対応をチャット利用に変えていくことができます。チャットを利用することで、営業時間外や定休日であっても対応できるため、「対応が遅い」といった二次クレームを防ぐ、といった効果もあります。

入居者にはチャット利用で気軽に相談できるほか、設備の故障箇所などをスマホのカメラで撮影し送信することで、管理会社側もすぐに現状を把握することが可能で、素早い対応ができるメリットがあります。

またオーナーに対しても、月々の収支報告書などもアプリを利用して可能になるため、書類の封入や郵送コストを削減することができます。

オンライン接客ツール

これまで対面での接客がメインだった不動産業界でも、オンラインでの非対面接客が求められています。

オンライン接客ツールを活用すれば、ビデオ通話・音声通話・テキストチャットなど、顧客の都合に合わせて接客を行うことが可能です。

また、PCやスマホ、タブレットなど、端末を限定しないことも大きなメリットです。

また、通話内容の録画・録音し、通話内容をレビューしたり、通話品質の向上などに役立てたりすることもできます。

顧客管理ツール

顧客情報の管理とは、顧客の名前や住所、所属先、電話番号、メールアドレスなどから、ウェブサイト上での行動履歴、それぞれの顧客とのメールのやりとりなどの活動の履歴までを一元的に管理することです。

これらの情報を管理分析することで、お客様のニーズに応じた適切な対応が可能になります。

今までは、こうした顧客情報を、エクセルを利用したりメモを利用したりするなど、個人個人でまたその時々で、さまざまな形で異なる場所に保管・管理していました。

情報の管理方法が多岐にわたっていると、確認作業に時間がかかるだけではなく、ミスや漏れなどの問題も起こります。

不動産テックを利用することで、対応スタッフが休憩や他の用事をしている時でも情報を全て引き継ぐことができます。そのためお客様を充分にフォローすることができるようになります。

また、反響への対応や追客が一元化でき、メールの文面の違いなど社員間での対応の差がなくなります。

レポート機能がついた製品であれば反響や追客の成果を分析して営業のアプローチを改善できます。

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