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VR技術は、物件内見・内覧に活用できる?費用相場や効果について解説

不動産業界でのVR技術活用が進んでいます。

特に、昨今のコロナ禍において求められる非対面・非接触においては、VR技術を使った不動産案内や物件提案方法などが模索されています。

それでは、そもそもVR技術とはどういったものなのか、その効果や費用などについても紹介します。

VR技術とは

VRとはVirtual Realityの略称で、「仮想現実」や「人工現実感」といった言葉で訳されています。

VRは、ヘッドマウントディスプレイ(HDM)と呼ばれるゴーグルのような装置を頭に装着し、HDMを通してあたかも目の前に写る仮想の世界にいるような体験をすることができる技術を指します。

VR技術にはどういった効果がある?

VR技術の大きな特徴は、これまでの写真や画像、動画とった視覚メディアよりも膨大な情報を伝達できる点や、身体の動きや頭の動きと映像が連動することによる深い没入感や臨場感です。これは、VR技術がゲームやエンターテイメント産業で活用されている大きな理由です。

また、広いスペースや大がかりな道具がなくても、仮想世界で見せられるという特徴は、わざわざ施設や設備を用意しなくても良い点で、ビジネスにおける人材教育としての活用や高齢者の認知力トレーニング、障がいや怪我をした人のためのリハビリなどにも効果を発揮しています。

VRが活用されている業界

業界分析や市場調査を行うインプレス総合研究所が2018年に発表した「VRビジネス調査報告書2018」では、人々がどういった場所や目的でVR技術を体験したかについてまとめています。

■VRの体験場所

■ VRの体験内容

同調査では、ゲームや映像コンテンツなどを楽しむためにVR技術を活用しているケースが大半を占めていることが分かります。

一方で、「教育用コンテンツの体験(2.4%)」「住宅やオフィス等の見学(2.0%)」といった教育や不動産業界においてもVR技術が活用されていることが分かります。

今後は、より広い分野や産業でVR技術の普及が進むと考えられています。

VR市場は右肩上がりで拡大中

VR技術が様々な分野で活用されていくことを裏付けるように、VR市場は右肩上がりに拡大を続けています。

総務省が発表している「平成30年版 情報通信白書」には、世界のVRとARの市場規模やVRヘッドセットの出荷台数の推移及び予測を発表しています。

上記の図を見ると、2016年には16.8億ドルだった市場は、2020年には83.3億ドルと、わずか5年で市場が約5倍に拡大していることが分かります。

VR技術を活用した不動産内見サービス

不動産業界にとってVR技術の活用方法としてまず考えられるのが、VRを使った物件の内見です。具体的にどのような活用方法があるのでしょうか。

賃貸仲介の現場活きるVR内見サービス

VR技術を活用した内見サービスは、賃貸仲介の現場で徐々に広がりを見せています。

賃貸仲介でのVR内見サービスの利用シーンは主に2つあると考えられます。

・顧客が来店して内見する物件の選定時

これまで、賃貸物件を探している顧客が来店してからの接客は、希望の物件条件をヒアリングしたのち、複数の物件チラシと説明によって、実際に内見する物件をいくつかピックアップし、現地に向かうという流れが一般的でした。

しかし、現地での内見になると、顧客は第一印象でその物件が「あり」か「なし」かを判断していることが多く、一度「なし」と判断された物件が覆る可能性は極めて低いでしょう。

こういった内見物件のミスマッチを無くし、無駄な時間を無くすために、店舗接客時にVR内見サービスを使って、これから行く内見物件をふるいわけすることができるのです。

・遠方の顧客に対しての物件内見

就職や進学にともなった遠方からの部屋探しなどでは、顧客とのスケジュール調整が難しく、現地での内見ができない、といったこともあります。

これまでは、いくつか物件を選定し、物件の外観・内観写真や物件情報をまとめたものをメールなどで送付し、契約する物件を選ぶといった手段が取られていました。

しかし、360度カメラで物件内を撮影し、スマートフォンを通して物件を見ることで、離れていながらでも実際に内見をすることができ、物件を選ぶことが可能になっています。

遠方からの部屋探しをする際、VRを活用した部屋探しができる会社と、従来の方法だけの会社では、提供できるサービス大きな差があります。競合他社との差別化ポイントとしてもVR内見サービスは重要なものになっているのです。

当社が提供している「SpaceCore」でも、IoT機器とシステムを活用したオンライン内見・無人内見サービスを提供しています。

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VR内見サービスの費用相場

このように、顧客に対し大きな付加価値を提供できるVR内見サービスですが、費用はおおよそ月額5万円~10万円程度が相場となっています。当然、物件数や機能によって価格が異なります。

また、VR内見サービス導入かかるコストや費用は、サービスの利用料だけではない点も注意しましょう。

VR内見を行うためには、あらかじめ物件の内部を360度カメラなどを使って撮影しなければなりません。不動産会社の従業員が物件を回り、内部を撮影するという方法も考えられますが、取り扱う物件数が多ければ多いほど、手間と時間がかかってしまいます。

そういったことから、VR内見サービスを提供している会社のなかには、物件撮影の代行も請け負っているところもあります。1物件当たり2,000円~が相場です。こちらも取り扱う物件の数が多ければ費用面で大きな負担になります。

他社との差別化や業務効率化を図ることができるVR内見サービスですが、導入時のコストや手間が大きなハードルとなっているのです。

コロナ化でVR内見はさらに需要が高まっている

VRコンテンツを制作しているリブロネクストが2021年4月に行った「VRについての意識調査」では、一般消費者が「コロナ禍でVRを耳にする機会が増えた」と実感している割合は79%であると発表していいます。

非対面・非接触が求められているなかで、VRを使った様々なサービスや商品が世の中に生まれています。

不動産業界に特化したVRサービスを提供しているスペースリーが2021年1月に発表した「コロナ禍における不動産事業者のDX状況および賃貸物件探し全国消費者意識調査レポート」には、不動産事業者がコロナ対策としてどういったサービスや技術を活用しているかをまとめています。

遠隔での提案や商談を目的としたZoomをはじめとしたweb面談ツール(74.0%)をはじめ、IT重説の利活用(43.8%)につづき、VRでの物件紹介(40.8%)が3番目に高いという結果でした。

また、こちらも不動産業界に特化したVRサービスを提供しているナーブは、同社が提供しているサービスにおける登録物件数が200万戸となり、2020年の1年で2019年の4倍に増えたと発表しています。

このように、新型コロナによって変化が求められている不動産業界において、VR技術の活用は待ったなしに迫ってきているのです。

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