IoTの導入でどのような効果があるのか。費用対効果の高い活用方法を紹介

IoT(Internet of Things)サービスは、様々な産業や業務での活用が期待されています。
具体的に、IoTサービスにはどのような効果があるのでしょうか。
IoTサービスの利用シーンなどについて紹介します。
IoT導入が産業にもたらす変革とは
既にIoTの導入に成功している業界について紹介します。
IoTサービスのポイントについてもおさらいしましょう。
IoTサービスによる2つの変革
IoTによってもたらされる大きな変革は以下の2点が挙げられます。
- 離れた場所から機器や設備を操作できる
- 離れた場所から機器の状態などを確認できる
製造業であれば、製造ラインの状態監視、建設・土木業ではロボット技術や3DプリンタなどいずれもIoTによって生産性の向上や品質の担保、新商品の開発やコスト削減などに期待されています。
また、介護施設などの病院や農場、スマートシティ構築のための根幹のシステムなど、活用の幅が広がっていくと見込まれており、家電・車・物流・医療など世界中のモノがインターネットと繋がる時代が来ると考えられています。
製造業を中心に活用が進むIoT
製造業では、他の業界に先駆けてIoT、AIなどのDXがすでに導入され、大いに活用されています。
MM総研が2019年11月に実施した「IoT技術の国内利用動向調査」では、IoTを導入している企業のなかで、製造業が最も割合が多い結果でした。

大きな工場だけでなく、中小規模の工場にも広く導入されており、IoTやAIの活用がスタンダードとなりつつあります。IoTの導入により、製造業へもたらされたメリットは以下の通りです。
- 遠隔操作やモニタリングの省人化
- 生産工程の見える化、異常の検知
- 管理部門間の連携強化
- 課題の発見と生産予測
モニタリングや操作に人を置かずに済むため、合理化が進む他に、全体の見える化により異常の検知や生産数の予想ができるようになります。
生産予測ができるようになると、事業見通しが立てやすくなり余計な予算を回さずに済むといったメリットも大きいようです。
農業でのIoT活用が大きく期待されている理由

今後、IoTによって大きな変革があると期待されているのが、農業です。
農業のIoT導入は「スマート農業」と呼ばれ、ロボット技術やICTなどの先端技術を活用し、合理的かつ高品質な生産が見込まれています。
スマート農業の導入により、現代の農業が抱える様々な問題が解消されます。
- 人手不足による耕作放棄地の増加
- 新規参入が難しい
- 過酷な労働と低い収益性
農業も製造業と同じく、IoTの導入によりモニタリングの省力化、データの収集と蓄積、分析や予測が可能となり、合理的な生産が可能となります。
農業は、農作物の保存期間があるため、IoTによる品質管理など、得られる恩恵は製造業以上です。AIとの連携により自動的に分析、予測し必要に応じてアラートを出したり、機械を制御したりすることもできるようになります。
スマートホームが不動産業界を繁栄させる
不動産業界でも、IoT機器・サービスの活用は進められています。
例えば、賃貸物件にIoTl機器を取り入れることで、入居者への付加価値を提供できたり、物件価値が上がったりすることや、モニタリングによる管理が可能となります。
- スマートロック
- ワイヤレスモニター付テレビドアホン
- スマート宅配ポスト・宅配ロッカー
などを活用することで、住環境や生活利便性の向上が見込まれます。
また、スマートモビリティなど様々なモノがインターネットと接続された街づくりやスマートシティ化も、今後の不動産市場拡大には必然の要素だと考えられています。
企業がIoTを導入する際のポイント
IoTの導入は生産性の向上や、省人化に大きな効果があり、結果的にはコストの削減にもつながります。積極的に導入したいところですが、IoT導入のポイントについて紹介します。
課題の洗い出し
企業は「売上の増加」、「生産性向上」、「コスト削減」など様々な課題をもっています。
漠然とした課題はあるものの、具体的な課題を突き詰めなければ具体的なIoT導入を設計することができません。
課題の洗い出しを行い、問題解決に向けて具体的に動き出すにはコンサルティングやソリューション営業の専門家を交えて意見を聞くことも良いでしょう。
第三者である専門家が入れば課題の洗い出しから、IoT導入の設計まで、一括で行うことができ、スムーズです。課題の洗い出しが完了したら、IoTの導入による目的を改めて確認しておきましょう。
データの収集、分析の道筋を立てる
IoTを導入して、生産性の向上やコスト削減など一定の成果が出て、プロジェクトは成功ではありません。
IoTやAIは導入し運用されることで、膨大なデータが蓄積されていきます。そのデータを活用することで、副次的に大きな利益を得ることができるかもしれません。集積されたデータをどのように活用するのか、そのプランを外部のコンサルティング会社などと連携しながら考えましょう。
導入が進まないIoT。だからこそ差別化のチャンス
日本の各産業では、まだまだIoTの導入は進んでいません。なぜ、導入が進まないのでしょうか。
日本企業のIoT導入状況
日本経済研究センターの調査によれば、2019年時点での日本企業のIoT導入率は14,6%でした。
最近では、DXと合わせてIoTやAIがよく話題に上がりますが、実際のところ導入して活用している企業はまだ一部です。
14%の内訳は、主に大企業を中心に導入が進んでおり、今後の導入を検討している企業も大企業が多く見られます。導入が多い産業は、建設業16,8%、運輸、郵便16,4%、情報通信業16%となっており、今後もこれらの業種を中心に導入が拡大していくと見込まれています。
不動産業でも検討している企業が多く見られ、導入後の使い方を模索している状況です。大手企業によるIoT活用の実例が広く示されるようになると、さらに導入が進む可能性があります。
企業がIoTを導入しない理由
現状でIoTの導入を見送っている企業の理由を検証しつつ、導入の問題点を考えてみましょう。IoTを導入しない企業の主な理由は以下のようなものが挙げられます。

「導入後のビジネスモデルが不明瞭」という理由が半数以上を占めています。IoTとはどのようなものか実態がわからず、生産性を上げることによって得られる効果が実感できないことが原因でしょう。
だからこそ、現在既に先行してIoTを活用している企業は、大きなベネフィットを得られていると考えることができます。
現状の事業にどのようなIoTサービスが活用できるのか、一度深く考えてみても良いかもしれません。