スマートホーム導入で賃料は上がる?家賃アップ・空室対策の成功事例を紹介

賃貸物件へのスマートホーム導入は、防犯性や利便性を高めるだけでなく、賃料アップや空室対策に直結する取り組みとしても注目されています。
実際に家賃アップや早期満室化を実現した事例をもとに、成功のポイントと導入を検討したい設備を紹介します。
スマートホーム導入による賃料アップの事例を紹介
実際にスマートホームを導入し、賃料アップや早期満室化につなげた企業の事例を見ていきましょう。賃貸管理向けスマートホームサービス「SpaceCorePro」の導入事例から、5つのケースを紹介します。
家賃を5%アップしても満室を維持
- 導入1棟目・2棟目とも竣工から1カ月以内に満室
- 想定家賃から5%アップした賃料設定を標準化
- スマートロックにより鍵交換が不要になり管理コストを削減
2019年設立のHajimeテクノロジーズ株式会社(旧社名:株式会社ATC)は、関東1都3県を中心に収益物件の開発・建築請負・販売を手がける総合不動産業者です。建築・開発事業では品質やコスト面での優位性がある一方、賃貸管理事業は本格始動から1年半ほどしか経っておらず、オーナーへの提案時に管理実績を示せないという課題を抱えていました。
そこでSpaceCoreProのリレーション機能を知り、2024年8月の商談から約2カ月で導入を決定します。まずは想定家賃に月3,000円を上乗せする形で運用を開始し、実際の入居動向を確認しながら段階的に5%アップへと引き上げていきました。家賃を一気に引き上げるのではなく、小さな上乗せから試して実績を積み上げていった点は、他のオーナーにとっても参考になるでしょう。あわせて、スマートロックの導入により、入居者入れ替え時の物理的な鍵交換や、それに伴う現地対応の負担を減らせるようになり、管理コストの削減にもつながっています。
防犯・見守り機能で戸建賃貸の弱みを補強
- 屋内カメラや窓センサーが戸建て特有の防犯不安を解消
- チャットの自動翻訳・写真共有機能で外国人入居者対応の質が向上
- 若い夫婦や子育て世帯、ペット飼育者への訴求力が向上
東急住宅リース株式会社は、東急不動産ホールディングスグループの賃貸管理会社で、ケネディクスが展開する戸建賃貸シリーズ「Kolet」の管理を一手に担っています。
戸建賃貸は物件が広いエリアに点在するため、マンション賃貸のような管理手法やリーシング手法がそのまま通用しにくいうえ、外国人入居者も多く、電話中心の対応では言語対応や状況把握に限界があるという課題を抱えていました。導入後は、チャットによる自動翻訳や写真共有機能により入居者対応の質が向上し、屋内カメラや窓センサーは戸建て特有の防犯面での不安を和らげる材料として、入居者や仲介会社の担当者から高く評価されているといいます。
スマートホームが入居の決め手になるかどうかは物件や入居者層次第としながらも、物件の魅力を底上げする要素として確実に機能している点は、賃料設定を検討するうえでも参考になります。ペット飼育が可能な物件では、外出先からアプリで室内の様子を確認できる機能が「留守番中の様子が見られて安心」と好評で、屋内カメラがペットの見守りとしても活用されています。
周辺相場より1万円高い家賃でも約1カ月で満室に
- 周辺相場より1万円高い家賃設定でも約1カ月で全室成約
- 顔認証オートロックなど後付けが難しい設備を設計段階から組み込み
- 20代・30代の社会人層に高い親和性
大阪市阿倍野区に本社を構える南部建設株式会社は、2026年に創業100年を迎える総合建設会社です。同社が門真市に企画・建設した木造3階建て賃貸物件「Neo Smart古川橋」(全9戸、うち1戸はモデルルーム)にSpaceCoreProを導入したところ、2025年6月の募集開始から約1カ月で賃貸対象の全8戸の入居が決定しました。
この物件では、顔認証のオートロックシステムなど後から導入が難しい設備をあらかじめ設計段階から組み込んでいる点が特徴で、既存物件にスマートスピーカーや照明制御だけを後付けするケースが増えるなかで、新築時点から本格的なスマートホーム設計を行うことで数年先を見据えた差別化を実現しています。入居者アンケートではスマートホームが決め手だったと明確に答える方はまだ少なく、設備やグレードの高さ全体の一部として評価されている段階のようですが、周辺相場より高い家賃でも短期間で成約に至った実績は、今後の物件企画における有力な選択肢になりそうです。
周辺相場より高い家賃設定でも選ばれた
- 約10棟・300戸にスマートホームとリレーション機能を導入
- 家賃は周辺相場と比較して数千円上昇
- チャット対応により電話対応の時間を削減し空室リスクも抑制
「SYFORME」シリーズなどを展開する株式会社シーラは、人口減少や住宅余りが進むなかで、入居者に付加価値を提供したいという課題を抱えていました。同社はオーナーや入居者とのコミュニケーションを円滑にするリレーション機能と、物件にIoT機器を導入するスマートホーム機能をあわせて導入し、約10棟・300戸に設置しています(2020年10月時点)。
照明やエアコンをスマートフォンで操作できる点は、入居者にとって便利な付加価値になっているだけでなく、物件を購入するオーナーへの販売時の訴求ポイントにもなっているとのことです。間取りの工夫などさまざまな要因が重なった結果として家賃は周辺相場より数千円上昇し、チャットでの問い合わせに対応できるリレーション機能が入居者の不満解消と空室リスクの抑制にも寄与しているといいます。
スマートホーム導入で賃料アップにつなげやすい設備とは?
ここまで紹介した事例に共通しているのは、特定の設備単体ではなく、複数の機能を組み合わせて入居者の利便性と安心感を高めている点です。賃料アップに貢献しやすい代表的な設備を紹介します。
スマートロック
鍵の紛失リスクや鍵交換に伴う手間を減らせるスマートロックは、スマートホームのなかでも代表的な設備です。入居者の入れ替え時にシリンダー交換が不要になるため、管理会社にとっては業務効率化とコスト削減の両面でメリットがあります。
内見用のスマートキーを活用すれば、立ち会いなしの内見にも対応しやすくなり、リーシングの効率化にもつながります。
スマートリモコン
赤外線家電をスマートフォンで一括操作できるスマートリモコンは、テレビやエアコンなど既存の家電をそのまま活用しながら利便性を高められる設備です。入居者自身で機器を設定できる手軽さがあり、導入コストを抑えつつスマートホーム化を進めたい物件にも適しています。
スマート照明・エアコン制御
帰宅前にエアコンを起動しておける機能は、真夏や真冬の快適性を大きく左右します。外出先から照明を点灯できる機能も、防犯対策として有効だとされています。こうした日常的に使う機能は入居者の満足度に直結しやすく、賃料アップの根拠としても説明しやすい設備です。
スマートスピーカー連携
音声操作で照明や家電を制御できるスマートスピーカー連携は、スマートホームの利便性を分かりやすく体感できる設備のひとつです。単体で導入されるケースも多いですが、他の機能と組み合わせることで、暮らし全体の快適性を訴求しやすくなります。
スマートホーム導入で賃料をアップする3つのポイント

最後に、スマートホーム導入で賃料アップを実現するための3つのポイントを整理します。
ターゲット入居者に合わせた設備を選ぶ
事例からも分かるように、スマートホームが入居の決め手になるかどうかは、入居者の年齢層やライフスタイルによって差があります。
20代・30代の単身者向けであればガジェット性の高い機能、ファミリー層であれば見守り機能、戸建賃貸であれば防犯性能の高いセンサーやカメラなど、ターゲットに合わせて設備を選定することが賃料アップの実現につながります。
「スマートホーム付き物件」として募集時に訴求する
スマートホームは、設置するだけでは十分に価値が伝わらない設備でもあります。Hajimeテクノロジーズの事例では、物件紹介チラシを2枚組みにし、1枚をまるごとスマートホームの説明とアピールに充てるという工夫が功を奏していました。
内見時の説明や募集広告での訴求方法を工夫し、設備の存在と使い方を分かりやすく伝えることが、高い賃料設定への納得感につながります。
賃料だけでなく空室期間短縮もROIとして考える
スマートホーム導入の効果は、賃料アップだけにとどまりません。周辺相場より高い家賃設定でも短期間で満室になった事例が示すように、空室期間の短縮による機会損失の抑制も重要な投資対効果です。チャット対応や鍵交換不要化による管理業務の効率化も、間接的な収益改善につながります。導入費用に対するリターンを検討する際は、賃料アップ分だけでなく、こうした複合的な効果もあわせて評価することが大切です。


