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スマートシティとは?テクノロジーによる街づくりが不動産業界を大きく変える?【不動産×テクノロジー】

スマートシティという言葉を聞いたことがあるでしょうか。「スマート」というワードを含んでいることから、「革新的なテクノロジーを駆使した街」といったイメージを浮かべる方も多いと思います。確かにそのようなイメージの街で間違いはないのですが、今回はもう少し掘り下げてスマートシティというものをご紹介していきましょう。 また、スマートシティと関わりの深い“不動産業界に与える影響”も含めて詳しく解説します。

スマートシティとは?

まずはじめに、スマートシティの定義を確認しておきましょう。じつは政府もスマートシティの実現に向けて取り組んでおり、管轄する国土交通省では以下のように定義しています。

「都市の抱える諸課題に対して、ICT等の新技術を活用しつつ、マネジメント(計画、整備、管理・運営等)が行われ、全体最適化が図られる持続可能な都市または地区」

引用:国土交通省都市局/スマートシティの実現に向けて【中間とりまとめ】

スマートシティという言葉はどこかの国や地域、または企業が明確に定義しているものではないため多少の言葉の違いはあるのですが、おおむね上記のような意味合いとして使われることが多いです。 ちなみに、スマートシティはIT関連のさまざまなテクノロジーを活用して実現されますが、特に関連性の高いものとしてIoT(Internet of Things)があります。「モノのインターネット」ともよばれるIoT技術は、街のあらゆるモノがネットワークに接続されることによってライフスタイルが一変するといわれています。

スマートシティの事例

スマートシティの定義は漠然としているため、ここでいくつかの具体的な事例を見てみましょう。

コネクテッド信号機

※画像はイメージです

アメリカのシカゴではコネクテッド信号機が活用されています。コネクテッド信号機とは監視カメラと専用のセンサーによって歩行者をモニタリングし、交差点を渡り切る時間が足りない場合に信号機の時間を延長するというものです。

ゴミ収集管理

街頭に設置されたゴミ箱に専用のセンサーを取り付け、ゴミの量を自動的に管理する仕組みも世界各国で採用されています。

コネクテッドバスストップ

バス停にWi-Fiスポットを設置するとともに、運行情報や行政が発信する情報、広告などを配信する取り組みも行われています。

エネルギーの最適化

日本国内でのスマートシティに多く採用されているのが、エネルギーを街全体で最適化する仕組みです。蓄電システムや太陽光発電、EV自動車などを活用しながら、専用のエネルギー管理システムによって電力供給を最適化します。

スマートシティに取り組む企業の動き

日本国内ではスマートシティの実現に向けて多くの企業が取り組みを行っています。特に三井不動産グループはスマートシティに積極的な企業として知られており、これまで千葉県柏市の「柏の葉スマートシティプロジェクト」、東京中央区日本橋の「日本橋スマートシティプロジェクト」、そして神奈川県横浜市の「横浜スマートシティプロジェクト」といった日本を代表するスマートシティプロジェクトに参画しています。

特に柏の葉スマートシティプロジェクトは日本国内でも代表的なモデルケースとされており、「環境共生都市」「健康長寿都市」「新産業創造都市」という3つのテーマをもとに進められてきました。 具体的な取り組み事例としては、蓄電施設の充実やエリア全体のエネルギーマネジメントを行う「AEMS」というシステムの導入、次世代交通システムなど先進的な技術が多く採用されています。

スマートシティがもたらす不動産業界への影響

先進的な技術が採用されるスマートシティ構想は、不動産業界にもさまざまな影響がもたらされると考えられています。いくつかの例を見ていきましょう。

スマートシティに対応するための設備の普及

スマートシティには蓄電池や発電機、太陽光発電などの設備によってエネルギーを最適化する役割もあります。住宅を建てる際にはスマートシティに対応するための設備を設けるため、必然的にこれらの設備の普及率も高くなります。

専用の設備を追加する分、一般住宅に比べて価格も高くなりますが、省エネに役立つため顧客満足度も向上することでしょう。

定住者の増加が促進される

スマートシティの高い利便性によって分譲住宅や分譲マンションを購入した人の満足度が向上することはもちろんですが、賃貸住宅に住んだ人がその土地を気に入って、将来的にそこに住み続けることにもつながります。

同じ賃貸アパートやマンションへの引っ越しはもちろんですが、結婚や子どもの誕生を機会に一戸建てやマンションなどを購入する可能性も高くなります。

スマートシティの今後

ITの力によって街全体が刷新されるスマートシティは、今後もますます拡がりをみせるのではないかと予想されます。

不動産業界という単位で考えてみても、街全体ではなく個人や企業単位で住宅・ビルのスマート化を検討する人は増えてくるはずです。AIやIoTを使ったスマート家電が続々と登場してきていますが、このような仕組みが住宅にも続々と採用されていくのではないでしょうか。

すでに一戸建てやマンションを持っている場合でも、スマートシティに対応するためのリフォーム需要が高くなることも考えられます。企業の場合は先進性や環境配慮によるイメージアップのために、いち早くスマートシティの流れに乗ってくる可能性も高いです。

今回はスマートシティの果たす役割や、不動産業界にもたらす影響について紹介してきました。

家電や情報機器は日進月歩でテクノロジーが進化していますが、住宅や街といった単位でにおいては、まだまだテクノロジーが活用しきれていない場面が多いもの。そのような意味で、スマートシティの動きは今後さらに加速していくはずです。 日本はAIやIoTといったテクノロジーの分野で遅れをとっていると言われていますが、スマートシティにおいて重要な環境分野では先進的な技術をもっています。不動産業界はこの大きな流れに乗ることによって、さらなる成長が期待できます。

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