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やってはいけない空室対策3選。オーナーが取るべき行動と有効な対策やアイデア

賃貸オーナーにとって一番のリスクとなるのが空室です。空室期間を少しでも早く埋めるために、さまざまな対策やアイデアがありますが、性急に物事を運ぶと、かえって入居率が悪化してしまうおそれがあります。

やってはいけない空室対策とはどういったものなのか。また、空室対策として有効な方法についても紹介します。

やってはいけない空室対策3選

賃貸経営をしていくうえで、できるだけ空室は避けたいものですが、悪手を選択するとかえって経営がおいこまれることになってしまいます。費用対効果を見極めて空室対策をしなければ、キャッシュフローの悪化を招きます。

ここでは、やってはいけない空室対策として、次の3つについて解説します。

  • 過度な家賃の値下げ
  • 対策をしないままの入居条件の緩和
  • 的外れなリフォーム・リノベーション

過度な家賃の値下げ

家賃の値下げを安易にするとせっかく空室が埋まっても、最終的には経営を圧迫することになります。家賃を下げることはすぐにでも実行できる最も簡単な空室対策ですが、できるだけ避けたいものです。

それは次のような理由によります。

  • 家賃の値下げにより例え満室になっても賃貸収入のトータルは減少する。いったん家賃を下げてしまえば、今後家賃を元には戻せない。
  • 家賃の値下げが周辺の物件に影響を与えて地域の家賃相場を下げることにつながるおそれがある。家賃の値下げ競争となり、さらに値下げせざるを得ない状況を作り出してしまう。
  • 家賃の値下げによって、入居者の質の低下を招くおそれがある。

対策をしないままの入居条件の緩和

入居条件を緩和すると、今までとは違う入居希望者も期待できるので門戸が広がり、空室対策として有効です。しかし、対策をしないままで入居条件を緩和すると悪影響を及ぼします。

ここでは、次の2例を検討しましょう。

ペットの飼育を可能にする

ペットの飼育可能物件は近年増えてきたとはいえ、まだ少数なので条件変更をすると空室対策として効果があります。

しかし、ペット飼育により以下のような問題がおこるおそれがあります。

  • ペットの匂いが室内に残ってしまい退去後の対策に費用がかかる
  • ペットの鳴き声で苦情がでる
  • 大きいペットや獰猛さや危険を感じるペットだと他の入居者が迷惑を感じる

ペット可能物件にするときは、入居時に原状回復義務の確認、ペットを飼育する条件・規約の明確化などを入居者に徹底しておかなければなりません。

また、床や壁紙などもニオイが付着しにくいものに変えておく、ペットの足洗い場を設置するなど、オーナー側でも準備が必要です。

外国籍の方を受け入れる

外国籍の方を受け入れる場合の最大の心配は、家賃を未納のまま帰国されてしまうことです。国内で引っ越した場合と異なり、ほとんど回収はできないでしょう。

また、言葉や習慣の違いから入居者とトラブルが発生するおそれもあります。外国籍の方を入居させるときには、以下などが必要です。

  • 家賃保証会社と契約する
  • 日本での勤務(就学)先や勤務年数、日本での居住期間や日本語を話せるかなどを確認する

外国籍の方の入居案内になれた管理会社に依頼をしておくと、より安心できるでしょう。

的外れなリフォーム・リノベーション

リフォーム・リノベーション工事には多額の費用がかかります。

以下のような、リフォーム・リノベーション工事は費用対効果が悪いため避けましょう。

  • デザインにこだわりすぎて生活動線を無視しているため生活しにくい
  • コストを気にしすぎて仕上がりが中途半端になってしまっている
  • 工事にコストがかかりすぎて収益を圧迫してしまう

たとえば、若い女性に人気があるからと独立洗面台を設置したものの費用がかかったうえ部屋が狭くなってしまったり、トイレ・バスが分かれている方が人気があるからとトイレ・バスを分けるのに多額の費用がかかったりするような例です。またバス・トイレを分離すると部屋が狭くなってしまいます。

さらに、工事には防水や補修工事が必要になるため、100万円以上かかるでしょう。たとえ、家賃を5,000円アップできたとしても、リフォーム費用が100万円なら回収するのに17年弱かかってしまいます。

集合住宅では既存の入居者にも配慮を

マンションなど既存の入居者がいる場合には、既存の入居者の反応を予測しながら空室対策を行いましょう。誤った空室対策をして既存の入居者が退去する事態を防ぐためです。

既存の入居者には、ペットが苦手なのでペット飼育不可物件だから入居したような方もいるでしょう。

また、既存の入居者が家賃の値下げを知ると、更新時に入居中の家賃の値下げを要求するおそれもあります。

既存の入居者が大勢退去してしまえばせっかく空室対策をしても収益を圧迫させることになってしまうので注意しましょう。

管理会社の提案をうのみにせず、オーナー自身も情報収集を

賃貸管理を不動産会社にまかせるといろいろな提案をしてくれますが、まずはオーナー自身で情報を集めて方針を決めることが大切です。

まずは自分の物件を分析し、周辺の類似物件と比較したうえで空室となる原因を特定して、空室対策を検討しましょう。

自分の物件を分析・自己査定

投資用物件を購入したものの、管理会社にすべて任せきりにして自分の物件の現状や特徴を把握していないオーナーもいます。

まず、家賃や間取り、マンションの設備などを確認しましょう。できれば自分で現地を確認することをおすすめします。物件を実際に見るといろいろな情報を確認できます。

共用部分はきれいに掃除されているか、空室ににおいやよごれはないか、自分が使用すると仮定して改善する箇所はないかなどがわかります。

また、実際に現地を訪れることで街の雰囲気を直接感じることができ、ターゲットになる入居者の特性なども把握ができるでしょう。

周辺物件の分析

自分の物件を分析したうえで近隣の物件と比較すると、自身の物件にたりないものや改善点が思い当たるはずです。

同じ広さでも間取りや設備はどのようになっているでしょうか。周辺物件と比べて高すぎる家賃設定になってはいないでしょうか。同じような条件であれば、当然安い家賃の物件に入居希望者は流れてしまいます。

周辺の商業施設や治安状況、できれば人口動態なども調べるとターゲットを絞った入居対策が可能になります。

必要な対策を練る

自分の物件、周辺の物件を分析すれば自ずと対策が見えてくることでしょう。具体的には、次の3点について確認してみましょう。

  • 入居者のニーズを把握しているか
  • 物件設備で対策できないか
  • 依頼している不動産会社で十分か

入居者のニーズを把握しているか

物件の立地や物件の特性によって、入居希望者の性別や所得水準、物件に求めることが違います。物件の設備や家賃設定が入居希望者のニーズにあっているかを確認しましょう。

たとえば、学生をターゲットにするときには安い家賃が好まれるため高い家賃だとそれだけで敬遠されてしまうでしょう。

近年では賃貸での和室は人気がないため、洋室に変更したり、16畳の広い1ルームを6畳の洋室と10畳のLDKに変更したりするとターゲットが変わり入居希望者が増える可能性があります。

現在の家賃が周辺物件の相場と比べて適正かも確認しましょう。

入居希望者を確保するには敷金や礼金を値下げしたり、なくしたりするのも効果があるでしょう。これらの費用が減額・廃止になると入居希望者の引越し時の費用が軽減されるため募集しやすくなります。物件オーナーにとっては、一時的な費用なので、家賃の値下げよりも利益を確保しやすいメリットがあります。

ただし、敷金は万一家賃の不払いや退去後の原状回復費用を確保する大事な資金です。家賃保証会社の利用など対策をしたうえで導入しましょう。

物件設備で対策できないか

設備が古いときや使いにくい場合は取替を検討しましょう。

たとえば、電気コンロや洗濯機置き場が外にあるような場合です。バランス窯の風呂や和式トイレなども取り替えた方がよいでしょう。

また、モニター付きインターホンやシングルレバー水栓、ウオッシュレット、エアコンなどが設置してあれば入居率が上がります。

近年では、宅配ボックスや無料インターネット、追い炊きのできるお風呂などが人気の設備になっているので検討してはいかがでしょうか。

依頼している不動産会社で十分か

空室が長期間うまらないときには、依頼している不動産会社の活動に問題があることも考えられます。

賃貸の場合には、原則として複数の不動産会社に仲介を依頼できます。複数の不動産会社に依頼したり、別の管理会社に乗り換えたりすることも検討するとよいでしょう。

検討をおすすめする空室対策のアイデア・方法

家賃値下げや設備のリニューアル、リフォーム・リノベーション工事、不動産会社の変更などいろいろな空室対策を紹介しました。ここでは、さらに検討すべきオーナーに負担が少ない空室対策を紹介します。

なるべく負担が少ない空室対策

家賃の減額やリフォーム・リノベーション工事に多額の出費をすれば家賃収入が減ったり、出費の回収まで長期間必要になったりします。投資物件であればなるべく安定した収益を求めたいものです。

オーナーに負担が少ない空室対策として次のようなものもあります。

  • 管理費や駐車場代を「家賃込み」にする
  • クレジットカード払いにする
  • フリーレント期間を設ける

管理費や駐車場代を「家賃込み」にする

イメージ戦略になりますが、家賃込みと表示することで割安感を演出できます。

それぞれの費用を実際に合計して同じであればインチキになってしまうので、少し安い金額で設定してみるとよいでしょう。

家賃の支払いをクレジットカード払いにする

毎月の家賃の支払いを、クレジットカード払いにすると入居者にはポイントが付与されるメリットがあります。

家賃は高額な支払いが毎月発生するのでポイントがたまりやすく、入居希望者にアピールできます。

ただし、オーナーはクレジット会社に手数料を払わなければなりません。毎月の家賃をクレジットカード払いにするのは難しくても、礼金などの一時金だけクレジットカード払いにするとよいでしょう。

フリーレント期間を設ける

入居後の一定期間家賃を無料にするフリーレントなら、敷金を減額・廃止するよりもオーナーの負担は少なくなります。敷金はいざというときの大事な保証金だからです。

入居希望者にとって引越しの初期費用は大きな負担になるため、数カ月でも賃料がタダになるのは大きなアピールになるでしょう。

スマートホーム化も空室対策として有効

住まいのスマートホーム化は費用も比較的安価で大がかりな工事も不要なので賃貸物件でも導入しやすく、空室対策として有効な手段といえます。

下記の資料は、全国賃貸住宅新聞が公表している「入居者に人気の設備ランキング2022」です。

引用:全国賃貸住宅新聞「ネット無料、安定の2冠【人気設備ランキング2022】

このように、単身者向け・ファミリー向けを問わず「インターネット無料」が第1位、「エントランスのオートロック」「高速インターネット」「防犯カメラ」「ホームセキュリティ」など、スマートホーム化で対応できる機能が上位にきており、競合物件との差別化に効果があります。

ただし、現状では効果が大きいものの、住まいのスマートホーム化は先のように比較的導入しやすいため、近いうちにエアコンや給湯設備のようにスタンダードな設備として普及すると思われます。

そのため、競合物件との差別化をねらって空室対策の効果を求めるなら「今」がチャンスといえるでしょう。

スマートホームサービス提供会社に相談しましょう

スマートホーム化をして差別化を図るにしても、スマートホーム機器にはいろいろな製品があるので、いざとなればどれにすればよいのか、迷う方も多いでしょう。

そのようなときは、スマートホームサービス提供会社に相談してください。

スマートホーム機器にはいろいろな規格があるため、機器同士がうまく連携できないことがあります。スマートホームサービス提供会社なら相性がよい機器を案内し、一度にすべての機能でなくても順番に導入できる最適な手順を提案してくれます。

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