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ワンルームマンションの空室対策を解説。今後ワンルームの空室率は高まる?

ワンルームマンションの空室対策として効果的な方法について紹介します。

今後、ワンルームマンションの空室率は高まると考えられており、他の物件との差別化や入居検討者に選ばれる物件作りは喫緊の課題となっています。

ワンルームの空室率は今後高まっていく?

不動産データなどを取り扱うタスが運営している不動産評価サービス「TAS-MAP」が発表した「賃貸住宅市場レポート 首都圏版・関西圏・中京圏・福岡県版 2022年7月」によると、東京23区の単身者向けの賃貸住宅の空室率は、緊急事態宣言が発令された2020年4月より。上昇傾向にあることがわかります。つまり空室が増えています。

20年4月時点での空室率が9.5%前後であったものの、2022年2月時点は10.7%まで上昇していると発表しています。同年3月17日にはまん延防止等重点措置が解除されたものの、空室率が横ばいの様子を呈しています。なぜ空室率が増加したままなのでしょうか。ここでは3つの理由を紹介します。

転入者が減少した

東京23区のワンルームの空室率が高まった理由としては、2020年〜2021年の転入者が減少していることが要因として考えられます。住民基本台帳人口移動報告 2021年結果を確認すると東京都への転入者が2020年で前年比より-33,919人、2021年では-12,763人と減少していることがわかります。近年は東京一極集中の時代が続き、多くの企業が東京に本社を構え、人材採用を行っていた背景がありました。しかしコロナウイルス感染症により経営不振、人材確保が難しい状態となったため、東京都内への転入者が減少したことがワンルームの空室率を高めたと想定できます。

働き方が変化した

空室率が高まった要因のひとつに、働き方が変化したことも挙げられます。在宅ワークを採用する企業が増え、都内の本社に出勤する回数が激減したことで都心部から離れた人が増えました。

東京の高い家賃を支払うより、地方の安い物件に居住先を変えている傾向にあります。またどこにいてもパソコン1台で作業できるフリーランスとして活動する方も増え、都内に居住する必要性が低下したことも空室率の上昇につながったと考えられます。

需要と供給のバランスが崩れている

上記2つの理由によって入居者数が減ったものの、国土交通省が発表している住宅関連データの新設マンション地域別着工棟数を見ると、首都圏のワンルームマンションを含めた新築マンション着工棟数はほぼ横ばいです。東京23区から転出した方が増えているにもかかわらず、賃貸マンションや賃貸アパートは毎年同じ棟数ほど建築されているため、賃貸住宅の供給過多が空室率を高めている要因として考えられます。

ワンルームマンションの空室対策のアイデア

ワンルームマンションの空室は収入に大きな影響を与えるため、常に空室対策を行う必要があります。複数の入居者を確保できるアパートと異なり、区分所有で投資するワンルームマンションは1室空室が発生すると家賃収入が0円になります。借入してワンルームマンションを購入する方は、自身の預金から返済することにもつながりかねないため、ここでは空室対策となるアイデアを紹介します。

リノベーションを定期的に行う

時代の流れに合わせたリノベーションを定期的に行うことで、空室率の低下につながります。建築時のままのワンルームマンションでは、最新設備を導入した競合物件に負けてしまいます。とはいえ最新設備を導入するとなると高額な費用となるうえ、ワンルームマンションに居住する方の多くは「立地」と「家賃」で決めています。

最新設備を導入したワンルームマンションは家賃が高額なため、入居者のターゲットは限られるでしょう。また立地を変えることができなければ、家賃を上げることも難しいため、入居者が暮らしやすい建物にリノベーションすることが大切です。具体的には洗面所をシャワー付きにしたり、女性が化粧品を置けるように広い製品を設置する方法です。その他にもさまざまな方法が挙げられるため、入居者目線で時代に合わせたリノベーションを行うことが大切です。

ペット可も検討する

空室対策として、ワンルームマンションをペット可物件にする方法があります。「ペット可賃貸」の現状について | PEDGE(ペッジ)を確認すると、東京23区内のペット可物件は全体の12%ほどしかありません。

ペット可物件は競合物件と差別化し、空室率を軽減させる方法です。ただしペット可物件にすると他の入居者とのトラブルや室内への損傷が発生する場合もあります。さらにコロナ渦でペット需要が高まったと思われていますが、2022年(令和4年)全国犬猫飼育実態調査 結果を見ると横ばいです。とはいえ、同調査結果では、猫を飼育したいものの集合住宅に住んでいて禁止されている方が約30%もいることから、ペット可物件は高い需要となり空室率を軽減させることができる確率が高まります。

ただし、1棟の所有者ではなく、区分マンションをバラバラの投資家が所有している場合は、管理規約によってペットの飼育が禁止されている可能性もあるため、事前に確認する必要があります。

IoT賃貸へ切り替え

近年ではIoT賃貸の需要が高まっています。IoT賃貸とはインターネットを使って自宅の設備やセキュリティーを遠隔操作できる賃貸物件です。スマホの普及により、戸建住宅だけでなく、賃貸住宅にも取り入られています。特に近年ではIoTとAIの技術を生かしたスマートホームが普及しています。賃貸物件では未だ取り入れている建物が少ないものの、年々普及が広まり、今後必須な設備の一つになることが考えられます。今のうちにIoTやスマートホームを取り入れ、利便性を高めておく方法も空室対策のひとつとなるでしょう。

ワンルームマンションの空室対策にスマートホームが有効?

ではスマートホームとはどのような効果が見込まれるのでしょうか。ここではスマートホームの機能について紹介します。

帰宅時間に合わせて家電が使える

帰宅時間に合わせ、冷暖房をつけたり、お風呂を沸かせるなどが可能となります。夏場や冬場の際、自宅に着いたときは快適に過ごしたいと考える方も多いのではないでしょうか。スマートホームを導入した賃貸物件であれば、外出先で家電を遠隔操作することができます。帰宅時間に合わせてエアコンをつけておけば、家に入った瞬間に暖かい(涼しい)と感じることができ、快適な生活を送ることができます。また夏場の時期やスポーツをしてきた方は、帰ってきた直後にお風呂に入ることも可能です。利便性や快適性が重要視される現代において、スマートホームは適した設備であると言えるでしょう。

セキュリティーも万全

若い女性や田舎から上京してきた子ども(娘)などの親は、常にセキュリティーが万全であるか気にされます。スマートホームであれば、以下の機能を備え付けることが可能です。

  • 鍵の戸締りを確認できる
  • 照明のオンオフが可能
  • 室内カメラを確認できる

自宅の施錠状況をスマホで確認できるため、盗難リスクを軽減できます。さらに外出先でも照明を点けられるため、家に居ると思わせることができ、窓センサーを設置すれば泥棒に入られる可能性を軽減させることも可能です。また室内カメラなどを設置すれば、万が一泥棒が入った時は即座に警察に通報することもできます。あらゆるセキュリティー面を強化することができるため、女性や子どもの親から高い支持を得る物件となり、空室率の低下につなげることが可能です。

カギのトラブルや対応がなくなる

スマートホームは従来の鍵であるシリンダーは使用せず、スマートロックとなるため鍵を紛失しても問題ありません。鍵の紛失は多く、管理会社が休みの日には鍵屋に数万円の費用を支払って開けてもらうしか方法はありませんでした。

スマートロックであれば、スマホで鍵の施錠ができるため、物理的なカギは不要となります。もちろんスマホを紛失する方もいらっしゃるかもしれませんが、シリンダーより使用頻度も高いため、紛失リスクは低く、使い勝手が向上します。今後スマホでの施錠が主流になる可能性も高いことから、今のうちスマートホームにしておくことで、安定的な入居者確保につながるでしょう。