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5G環境がIoTにどのような影響を与えるのか。スマートホームでの活用について解説

5G技術の活用によって、人々の生活は大きく変化しようとしています。それは住宅環境、とりわけIoT機器やデバイスを活用するスマートホームも例外ではありません。

5G環境がIoTにどのような影響をあたえるのか。スマートホームでの活用事例などについても解説します。

5G環境がIoT市場に与える影響

日本では2020年春から5G「第5世代移動通信システム」の商用サービスが始まり、大容量・高速通信が可能になりました。5G技術はIoT市場へどのような影響を与えるのでしょうか。

5G環境が整うことでIoT市場に与える影響

5GとIoTは相互に影響し合う技術であり、5Gの普及によってIoTの可能性はさらに広がるでしょう。具体的には、5G環境が整うことで、IoT市場には以下のような影響が与えられると考えられます。

  • 高速・大容量の通信により、IoTデバイスが送信するデータ量が増加し、ビッグデータの活用が進む
  • 超低遅延の通信により、リアルタイム性の高い分野でのIoT活用が可能となる
  • 同時多数接続の通信により、一つの基地局に多くのIoTデバイスを接続できるようになる

リアルタイム性の高い分野とは、たとえば自動運転、遠隔手術、工場の生産ラインなどです。

また、多くのIoTデバイスを接続できることで、スマートシティやスマートハウスなどの分野でのIoT利用が拡大します。

5GとIoTを組み合わせる3つのメリット

5GとIoTを組み合わせるメリットは、主に3つが挙げられます。

通信速度の高速化

動画配信やインターネットの閲覧が快適なだけでなく、IoTデバイスが送信する大量のデータも滞りなく高速に送受信が可能になります。

多数同時接続

IoT時代にも十分対応できるよう、約100万台/1km²の同時接続が可能です。これにより、スマートハウスやスマートシティなどの分野でのIoT利用が拡大します。

超低遅延

通信の遅延が限りなく小さいため、リアルタイム性の高い分野でのIoT活用が可能です。

たとえば、自動運転や遠隔手術などが実現されることが期待されます。

5GとIoTを組み合わせる3つのデメリット

5GとIoTは多くのメリットをもたらす技術ですが、同時に課題も抱えています。課題を解決するためには、技術的な改善や規制・法律・倫理などの整備が必要です。

5GとIoTを組み合わせるデメリットは、主に以下の3つが挙げられます。

コストの高さ

5G対応の端末やIoT関連機器などを新たに購入する必要があります。また、ローカル5Gの場合は独自のネットワークを構築する必要があり、5GとIoTの導入には多くの費用がかかります。

セキュリティの脆弱性

インターネットに接続された多数のデバイスから発信される大量のデータは、悪意のある攻撃や漏洩などのリスクを高めます。

特に重要なインフラや医療機器などに影響が及ぶと、深刻な被害が生じる可能性があります。

周波数帯域幅の制限

5Gは高い周波数帯を利用することで高速大容量の通信を実現しますが、その反面、電波の到達距離や障害物への貫通力が低下します。

そのため、基地局やアンテナなどの設備を増やす必要がありますが、周波数帯域幅は限られているため、供給と需要のバランスが難しくなります。

5GやIoTと関わりが強い「エッジコンピューティング」とは

エッジコンピューティングとは、ネットワークの末端(エッジ)にあるデバイスやサーバーでデータの処理や分析を行う技術です。エッジとは車やIoTデバイスなどに代表される端末(エッジデバイス)を指します。

これまでのように、サーバを集約して集中して情報を処理するクラウドコンピューティングとは異なり、データを遠隔地のサーバーに送信せずに近くのエッジで処理することで、通信遅延やネットワーク負荷を軽減できます。

エッジコンピューティングと5Gの関連性

エッジコンピューティングによってデータの処理をクラウドではなくユーザーやデバイスに近い場所で行うことで、レイテンシー(遅延時間)の低減、帯域幅の節約、セキュリティの向上が期待できます。

また、5Gによって、高速大容量、超高信頼低遅延、多数端末接続などが可能になります。

そこで、エッジコンピューティングと5Gは相乗効果を発揮し、レイテンシーに敏感なアプリケーションや大量のデータを扱うアプリケーションにおいて、高品質なサービスを提供できるようになります。

エッジコンピューティングと5Gの組み合わせは、製造業、ヘルスケア、交通・物流、公共安全、ゲームなどの業界において、新たなビジネスチャンスやイノベーションを生み出す可能性があります。

エッジコンピューティングと5Gの組み合わせによるメリット

エッジコンピューティングと5Gの組み合わせには、以下のようなメリットがあります。

リアルタイム性や信頼性が高まる

データの処理速度や通信速度が向上し、リアルタイム性や信頼性が高まります。

これにより、自動運転車や遠隔医療などのレイテンシーに敏感なアプリケーションを実現できるでしょう。

通信コストやサーバーの負荷軽減

データの通信量や管理量が削減され、通信コストやサーバーの負荷を軽減できます。

データのセキュリティやプライバシーの向上

データをクラウドに送る前にエッジで処理することで、データの漏洩や改ざんのリスクを低減できます。

データの容易なバックアップや復旧

エッジサーバーでデータを保持しておくことで、クラウドサーバーがダウンしてもデータを利用できます。そのため、データの容易なバックアップや復旧が可能です。

エッジコンピューティングと5Gの組み合わせの具体例

エッジコンピューティングと5Gの組み合わせの具体例を紹介します。

これらの例では、エッジAIとクラウドAIがそれぞれ得意な領域を担当し、相互に補完しながら高度なサービスを実現しています。

遠隔医療

エッジコンピューティングと5Gにより、医療機器やウェアラブルデバイスから得られる患者の生体データをリアルタイムで処理し、医師や看護師に提供できます。

また、エッジコンピューティングにより、患者のプライバシーを保護しながら、必要なデータをクラウドに送信できます。

コネクテッドカー

エッジコンピューティングと5Gにより、高速で低遅延なデータ通信が可能になり、自動運転車の制御や周囲の状況把握が向上します。

また、車両の状態や運転者の行動を分析し、故障予防や安全運転支援などのサービスを提供できます。

アグリテック(農業での技術活用)

農業領域でのIT活用が進みます。

たとえば、農作物や畜産物の生産管理や品質管理、気象情報や土壌情報などの収集・分析・活用などが可能になります。

また、エッジコンピューティングにより、農業機械やドローンなどの制御や最適化が行えます。

スマートファクトリー

エッジコンピューティングと5Gにより、工場設備をIoT化し、生産性や品質を向上させることができます。

たとえば、工場内のセンサーやカメラから得られるデータをリアルタイムで処理し、設備の稼働状況や故障予測、製品の不良検知などが可能になります。

また、エッジコンピューティングにより、工場内のネットワーク負荷やセキュリティリスクを低減できます。

5Gを活用して住まいが便利になる「スマートホーム」

5G環境が整うことによってスマートホームがさらに便利に利用できるようになります。

5Gとスマートホームの活用事例

5Gとスマートホームの活用事例として、以下のようなものがあります。

セキュリティ

スマートロックやスマートカメラなどを使って、玄関や窓の開閉や家の中の様子をスマホから確認・操作できます。

また、異常が発生した場合には通知を受け取ることができます。

エネルギー管理

HEMS(Home Energy Management Service)などを使って、家庭での電気の使用量や稼働状況を把握・最適化できます。

また、エコカーの電池を家庭での電気使用に役立てることもできます。

快適性の向上

スマート照明やスマートエアコンなどを使って、室内の明るさや温度を自動で調整できます。

また、スマートスピーカーやスマートアシスタントなどを使って、音声で家電やサービスを操作できます。

健康管理

スマートベッドやスマートウェアラブルなどを使って、睡眠や運動などの生活習慣データを収集・分析・活用できます。

また、遠隔医療やテレヘルスなどのサービスも利用できます。

見守り

スマートカメラやスマートセンサーなどを使って、子供やペットや高齢者などの安否や行動を確認・通知できます。

また、緊急時には救助要請や連絡先案内などのサービスも利用できます。

5Gとスマートホームのエネルギー管理

5Gとスマートホームを組み合わせることで可能になるエネルギー管理についてもう少し詳しくみてみましょう。エネルギー管理について以下のようなメリットが期待できます。

  • センサーやIoTデバイスを多数設置して、家庭内のエネルギー消費状況や環境情報をリアルタイムに把握できる
  • AIやビッグデータを活用して、エネルギー需要の予測や最適化
  • 太陽光発電や蓄電池などの再生可能エネルギーを活用して、エネルギーの自給自足や地域間の融通が可能
  • 災害時でも電力や熱の供給が可能

これらのメリットによって、エネルギーの効率化や省コスト化、CO2削減やレジリエンス向上などが実現できると考えられています。

5Gを活用して快適性を向上させる

また、5Gをスマートホームと組み合わせることで、快適性の向上も見込めます。

  • 高速・大容量の通信による、4K/8Kなどの高精細映像や大容量コンテンツの高速伝送
  • 遠隔地からでもリアルタイムに家の状態や人の出入り確認や音声メッセージの送受信が可能
  • 多数のセンサーやIoTデバイスによって、部屋の気温や湿度の自動最適化や家電や照明の操作が可能

これらのメリットによって、5Gとスマートホームは、私たちの生活をより快適で便利なものにしてくれると考えられています。

スマートホームサービスメーカーに問い合わせる

5G通信技術とエッジコンピューティングの連携によってスマートホームがもっと便利になることを紹介してきました。

双方とも新しい技術なので、導入を検討するにあたって疑問や心配なことがあるでしょう。

そのようなときには、スマートホームサービスメーカーに問い合わせてください。最新の情報にもとづいた、あなたに最適な提案をさせていただきます。

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