空室対策にリフォームは有効?リフォームポイントや差別化させるアイデアも紹介

空室対策においてリフォームは有効なのでしょうか。
深く考えず、管理会社からのリフォーム提案を鵜呑みに進めてしまうと、かけたコストを回収できずに、経営がさらに悪化するおそれもあります。
空室対策に有効なリフォームのポイントや物件を差別化させるアイデアについて紹介します。
空室対策にリフォームは有効なのか?
空室対策を目的としたリフォームを管理会社から提案されるケースは少なくありません。しかし、本当に空室対策としてリフォームは有効なのでしょうか。
多くのオーナーは空室対策としてリフォームが有効だと思っている?
不動産投資に関するポータルサイトを運営する健美家は、同社サイトの会員を対象とした「不動産投資に関する意識調査( 第18回 )」を実施し、2022年11月に公開しています。

「物件の空室対策として取り組んでいるのはどんなことか」という問いに対しては、「物件の室内リフォームを行う(59.1%)」が最も割合が高く、「 家賃以外の条件( フリーレント )や初期費用を見直す (36.2%)」、「 物件の共用部の手入れ・清掃を行う (34.2%)」と続きました。
この回答結果を見てみると、賃貸オーナーは空室対策としてリフォームが有効であると考えていることがわかります。
空室が長期化するケースなどでは、リフォームによって物件自体に大きな変化を付けることが、入居が現れるきっかけになるかもしれないと考えるオーナーも多いのかもしれません。
大規模なリフォームはキャッシュフローを悪化させる
空室対策において一見すると有効に感じるリフォームですが、やみくもなリフォームや大規模なリフォームは、キャッシュフローを悪化させるばかりか、入居が付かない原因になってしまうかもしれません。
たとえば、2,000万円で購入した投資用区分マンションのリフォームに100万円をかけた場合を考えましょう。リフォーム代金100万円は物件価格の5%にあたり、その物件の利回りが5%だった場合は、入居者が付いたとしても1年分の収入がリフォーム代金と相殺されます。また、ローンを借り入れている場合は、返済費用分でマイナスとなる可能性もあります。
当然、リフォーム費用を賃料に上乗せして、かけた費用を回収する方法も考えられます。しかし、賃料の増額で入居検討者から敬遠されるケースも多いため注意が必要です。
このように、賃貸経営におけるリフォームは非常に難しく、費用対効果を考慮した適切なポイントにコストをかける必要があります。
空室対策を目的としたおすすめリフォームポイント
空室対策におけるリフォームは難しいですが、決して効果がないわけではありません。
空室対策を目的としたリフォームにおいて、おすすめのリフォームポイントにはどのようなものがあるのでしょうか。
旧式・古い設備を新しいものにリフォームする
築年数の古い物件では、昭和の時代や平成初期の住宅設備がそのままに備わっている物件も少なくありません。そういった設備がある物件は家賃が安いため、内見希望者などは一定数現れますが、内見時などに拒否反応を示すおそれがあります。
和式トイレ
古い設備のために、入居者が忌避する最たるものが和式トイレです。
最近では、駅のトイレや公共施設などで見かける程度ですが、和式トイレは決して生産が終了したわけではありません。和式トイレは腰をかがめる必要があり、車椅子や高齢者への利用に適していないなどの不便な部分が多いため、リフォームによって洋式にすることが望ましいでしょう。リフォーム費用の相場は、約20~30万円です。
バランス釜
外気を取り込みガスで燃焼させてお湯を温めるバランス釜も、不人気物件の代表的な設備です。釜の部分は高温になり、小さな子どもの火傷の原因にもなってしまいます。また、バランス釜の分だけ浴槽が狭いこともデメリットです。
リフォームには、数十万〜100万円の費用がかかります。
電熱式(電気)コンロ
一昔前の賃貸物件のキッチンに設置されていた電熱式・電気コイルのコンロも、料理好きや自炊を考える入居者には選ばれません。
電熱式のコンロは、加熱までに時間がかかり、強い火力が必要な料理などに向いていません。そのため、ガスコンロやIHに交換することをおすすめします。交換コストは10万円に収まるでしょう。
物件ポータルサイトの条件検索で差別化を図る
空室で悩んでいるのであれば、物件ポータルサイトの条件検索で競合物件にはない仕様をリフォームによって組み込み、差別化を図るといった方法も有効です。
たとえば、不動産ポータルサイトの「SUUMO」で、2023年3月某日に東京都中央区の賃貸物件を検索すると3万2,981件が掲載されていました。
希望条件の検索で「防音室」にチェックを入れると、掲載物件は9件にまで減少しました。続いて「インターネット無料」をチェックすると物件数は0件でした。
つまり、この時点で東京都中央区には、防音室のあるインターネット無料付き賃貸物件は存在しないということです。
当然、その物件のエリアに住む人たちがどのような属性なのか、またどのようなニーズを持っているのかによって、リフォームの箇所は異なります。そういった需要を踏まえて、不動産ポータルサイトの検索条件を絞っていくと、まだそのエリアにはない物件としてリフォームし差別化を図ることも有効です。
管理会社などと綿密に相談しながら、慎重に進めていきましょう。
リフォーム会社選定のポイント
賃貸物件では、通常であれば管理会社からリフォーム会社を紹介されるケースが多いかもしれません。しかし、リフォーム工事は業者や人を介す回数が多いほど、紹介料が発生して高くなっていくものです。そのため、可能であればオーナー自身がリフォーム会社を選定してコストを抑えることをおすすめします。
よいリフォーム会社と出会うためには、複数社に問い合わせて見積や提案を比較しましょう。
重要となるのは、複数社から同じ条件・共通の条件での見積書をもらうということです。複数の工事が「一式」とまとめられているケースもあるため、すべての工程にどのような費用がかかるのか、オプションとなる費用にはどのようなものがあるのかなどを、同条件で比較します。
併せて「提案型の見積書」を別途もらってもよいでしょう。現状の物件を見て改善点はあるか、といった相談からもう1枚見積書をもらって各社の提案力を比較することもおすすめです。
空室対策には賃貸物件をIoT化する方法も有効!

近年、さまざまな住宅設備や家電がインターネットを介して相互につながることで、生活利便性を向上させるIoTやスマートホームに注目が集まっています。
「IoTマンション」といった言葉も生まれ、賃貸物件においても入居者が希望する条件として徐々に人気が高まってきています。
空室対策において、賃貸物件のIoT化がどのように有効なのでしょうか。
賃貸仲介会社が物件案内しやすい
スマートロックは、インターネットに接続して遠隔から鍵の解錠や一時的な解錠情報を付与することで、不特定多数の部屋の出入りを可能にします。入居者へのメリットだけでなく、物件を紹介し入居者を案内する賃貸仲介の現場でも効果的です。
通常、賃貸仲介会社が入居者と共に部屋を案内・内見するには、対象物件の内見スケジュールを予約し、内見時には管理会社に鍵を取りに行ってから物件に向かうといった工数が発生します。
スマートロックとそれに対応した内見予約・入退室システムを活用すれば、内見予約はネット上で即時完了し、物件に向かうだけでスマートロックによって入室ができ、鍵の受け渡しなども不要になります。
煩雑な物件案内が簡略化されると、仲介会社の業務効率化につながるため、案内・紹介されやすい物件となるのです。
入居者もIoTが導入された賃貸物件に住みたい
少し前の調査ですが、アパートメーカー大手のレオパレスが発表した「若手社会人のひとり暮らし」に関する意識・実態調査では、入社5年目までの社会人でひとり暮らしをしている約半数が(46.8%)が「IoT化された賃貸住宅に住みたい」と回答しています。
また、IoT化された賃貸住宅に住むのであれば現状の家賃にいくらプラスできるか、という質問では、1,000円以下が22.8%、5,000円が22.4%、3,000円が21.7%と、数千円の賃料値上げも受け入れると考えている入居者が多い結果でした。
また、コロナ禍で在宅時間が増えた現在は、同調査当時よりも、IoT化された賃貸物件に需要が高まっていると考えられます。
賃貸物件のIoT化は機器ではなくプラットフォームで考える
賃貸物件のIoT化やスマート化は、単にスマートロックやスマートライトといった機器を導入すればよいというわけではありません。
たとえば、スマートロックのみを販売しているメーカーの機器を導入してしまうと、スマートロックを操作するためだけのアプリをスマホにインストールする、といったことになり非常に使い勝手が悪いでしょう。
かといって、さまざまな機器や家電を生産しているメーカーのスマートホームサービスを導入する場合も注意が必要です。ひとつのメーカーに縛られてしまうサービスの場合、他社メーカーの機器と連動しない可能性があるためです。
そのため、スマートホームやIoT化を進めるのであれば、さまざまなメーカーや機器と横断してつなげられるプラットフォームサービスを選ぶことをおすすめします。
アクセルラボが提供している「SpaceCore」は、メーカーを選ばずにさまざまな機器や設備と連携することで賃貸物件のIoT化をサポートします。