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モデルハウスの効果的な集客方法を紹介。来場を促進させるアイデアとは?

ハウスメーカーと住宅購入・建築検討者を繋げる存在として、重要な役割を担ってきたモデルハウス。しかし、最近ではモデルハウスへの来場客数などを理由として、モデルハウスからの撤退している住宅関連企業も少なくありません。

モデルハウスの効果的な集客方法にはどのようなものがあるのでしょうか。来場を促進させるアイデアについても紹介します。

モデルハウスへの来場客人数は減少傾向?

近年、モデルハウスへの来場者数が減少しているといわれています。住宅の購入検討者に対して、物件の雰囲気などを体験してもらうことを目的としたモデルハウス、来場者数の現状とメーカーの対応、顧客動向について解説します。

住宅展示場への来場者が5カ月連続で減少

住宅展示場協議会と住宅生産振興財団が、2022年12月に発表した「(2022年)11月の住宅展示場の来場者組数」は、24万5856組と前年同月比でマイナス12.35%、5カ月連続して減少しており減少幅も拡大していると発表しました。

参考記事:

11月住宅展示場来場者、5カ月連続減 減少幅も拡大 | 新建ハウジング

参考記事によると、

信越・北陸、九州・沖縄の2エリアのみがプラスになったものの北海道、東北、関東、東海、近畿、中国・四国の6エリアがマイナスとなっています。

中でも、東北エリアでは今期マイナスが続いていて、関東エリアと近畿エリアは5カ月連続のマイナス、近畿エリアは2カ月連続で2割以上の大幅なマイナスでした。

新建ハウジングの記事より

大和ハウス工業では今後5年で住宅展示場を3割削減

こうした住宅展示場への来場者数が減少していることを受けて住宅メーカーも新しい動きを始めています。大和ハウス工業では今後5年で住宅展示場を3割減らす方針を発表しました。

参考記事:

大和ハウス、住宅展示場を3割削減 デジタル営業に移行: 日本経済新聞

同社は、全国に200か所以上の住宅展示場を運営しています。しかし、2021年度の住宅展示場来場者数が2019年度に比べて半減し、契約率も30%減少したそうです。

住宅展示場の維持費には、1か所あたり年間3,000万円~5,000万円が必要で、建材費も高騰中であることから今後最大100か所程度の住宅展示場を閉鎖する可能性があると報じられています。

営業の効率化をはかるために今後はバーチャルモデルハウスを利用してアバターによる営業活動に注力するとのことです。注文住宅業界第3位の同社がこういった動きをすることで、他社も同様に今後住宅展示場運営の転換をはかることが見込まれます。

戸建て注文住宅の顧客動向

下記の表は住宅メーカーや住宅関連の業界団体で加盟する住宅生産団体連合会が加盟企業の住宅展示場や営業所などの責任者を対象に最近の顧客動向について調査した結果です。

住宅業況調査「令和4年度 第3回 (令和4年7~9月期)

戸建て注文住宅の顧客動向(%)

減少横ばい増加
見学会、イベント等への来場者数622611
WEBの引き合い件数204337
消費者の購買意欲41518
全体の引き合い件数54378

住宅展示場などの見学会やイベント等への来場者数について62%が減少したと回答、増加したとの回答は11%でした。一方でWebからの引き合い件数では20%が減少したと回答し、37%が増加したと回答しています。

注文住宅の売り方として住宅展示場にできるだけ多くの来場者を集めて成約をめざすのが基本的な戦略であり、1970年代以降ほとんど変わっていない方法です。

しかし、その戦略が岐路にたっているといえるでしょう。

上記の表からみても、一戸建てを検討している方はまずインターネットで情報を収集したうえで気になるメーカーを選択し、住宅展示場で実際のモデルハウスを確認してから契約を決めるようになっているといえるでしょう。

最終的にはモデルハウスで確認してから契約したいと考えている方が多いので住宅展示場の重要性には変わりがないものの、まずはインターネットで自社の優位性をアピールしてモデルハウスに誘導する仕組みが大事になっているといえます。

モデルハウスに誘導する仕組みをきちんと確立し成約率を高めることができれば、住宅展示場の数を減らすことでモデルハウスの建築費や維持費・人件費を削減でき利益率をあげることも期待できます。

モデルハウスへの効果的な集客方法3つ

減少しているモデルハウスへの来場者数ですが、モデルハウスへの効果的な集客方法にはどのようなものがあるのでしょうか。

アナログ的な手法

アナログ的なモデルハウスへの集客方法には次のような方法があります。

  • 新聞広告
  • 住宅情報誌に広告
  • 折込チラシ
  • チラシのポスティング

近年では、新聞購読者数が減少していることや興味がない層に対してむやみにチラシを配布しても集客の増加にはつながりません。

地域の特性や暮らしている世帯の特長をとらえて効果的に宣伝広告活動を行う必要があります。

そのためには購買層となる方が多く見ているメディアはどのようなものか、また地域の特性はどういったものかを調査するために実際に対象エリアを訪れて地域分析を行うことなどが必要になるでしょう。

新聞広告や住宅情報誌での発信には特長がなければ目にとまらず読み飛ばされてしまいます。逆に派手過ぎれば敬遠されてしまうおそれがあります。

モデルハウスに誘導する紙面の工夫が大切です。

インターネットの活用

現在は世代を問わずインターネットを利用して情報を検索することが一般的です。

検索にはパソコンだけでなく、スマートフォンも多く利用されるのでスマートフォンでも見やすい構成をとりいれましょう。

インターネットからの発信は、モデルハウスの特長や住宅展示場で企画しているイベント等の情報を動画や多くのフォトを利用して購買層に届けられるので優位です。

自社のWEBサイトに載せるコンテンツには情報の鮮度や質が問われます。

情報が古くて更新されていないサイトは逆効果になってしまうので更新はこまめに行いましょう。

  • 注目されるフォトギャラリーを数多く用意しましょう
    • モデルハウスの外観は美しく、多方面の視覚から
    • 内観ではライフスタイルの提案も行いましょう
    • モデルハウスの設計図書なども提供しましょう
  • 設計の提案やハウスメーカーや工務店ならではの家づくりの提案なども紹介
  • スタッフの紹介
    • 写真や似顔絵など親近感を持ってもらう工夫をしましょう
    • ブログなどでモデルハウスやスタッフの日常を紹介するのもよいでしょう
  • 住宅展示場カレンダー
    • モデルハウスの予約状況がわかるもの
    • 住宅展示場のイベントスケジュールの紹介
    • サイトから直接訪問予約ができる工夫
  • 検索ワードにヒットしやすいサイト作りも大切です

集客の成功は二刀流のバランス

モデルハウスへの集客の成功はアナログ的な手法とインターネットのバランスがとれた活用が大切です。

モデルハウスのチラシに興味をもったのでWEBサイトを閲覧しても情報が更新されていなければチラシにもメーカーにも疑問をもってしまいます。

これでは、せっかくのアナログ的な広告活動が無駄になってしまいます。

下記の表は、国道交通省住宅局が公表している「令和3年度住宅市場動向調査報告書」です。

物件の情報収集活動はインターネットが中心になっていることがわかります。

建売住宅や分譲マンションでは情報の収集方法はインターネットで行われており、分譲マンションでは約6割の方がインターネットで情報を取得しているのに対して住宅展示場での情報収集は1割強となっています。

注文住宅では、約5割の方が住宅展示場で情報収集をしていてインターネットは3割以下になっているものの、住宅展示場の割合が2011年度の64.1%から低下している反面、インターネットは2011年度の13.0%から27.5%と約2倍増えているのが特長的です。

国道交通省「令和3年度住宅市場動向調査報告書」より

チラシを見てイベント目当てで住宅展示場を訪れる方よりもWEBサイトで情報を確認したうえで実物を確認するためにモデルハウスを訪問する方のほうが、成約率が高いという傾向があったようです。

購買意欲が高いのでWEBサイトを訪問し、事前に資料を請求、訪問を予約するなど準備をしっかりしてからモデルハウスを訪問することが多いからでしょう。

しかし、チラシを目にしてWEBサイトを訪問する方、チラシを見たのでなんとなく住宅展示場を訪問したもののモデルハウスを実際に目にして購買意欲が高まったので契約するといった方もいらっしゃいます。

顧客の取りこぼしを防ぐためにもアナログ的な手法とインターネットの活用のバランス・連携がとれていることが売上拡大につながります。

地域の特性やメーカーの強み、競合条件によって有効な販売戦略は異なります。

自社の強み、競合との差別化をはかるプランニングを行いましょう。

スマートホーム機器を活用した無人モデルハウスという方法も

住宅展示場を維持するためには人員の確保や光熱費、建築費といったコストが発生します。

来場者数が減少している中で、効果的にモデルハウスを運営するために、近年では無人のモデルハウスを用意する企業が増えています。では、無人のモデルハウスとはどういったものなのでしょうか。

スマートモデルハウスとは

スマートモデルハウスとは、IoT機器やスマートホームサービスを活用してモデルハウスをオートメーション化したものです。モデルハウスを無人化できるのでモデルハウスが以下のように劇的に変わります。

対応する人間営業のレベル営業時間追い客
従来型のモデルハウス人が常駐して対応人がいなければ対応できない営業担当者のレベルによって営業効果が異なる営業時間内に制限される営業担当者がそれぞれ対応するので状況を把握しづらい
スマートモデルハウスリモートで対応可能なためモデルハウスに不在でも可。複数のモデルハウスや遠隔地でも管理が可能。カメラを使って対話も可能。営業担当者ごとの差がなくなる24時間、365日の稼働も可能。夜間や連休中でも対応できるので営業チャンスを逃さない。顧客情報はシステムで自動収集、一括管理が可能。顧客のWEB訪問履歴を把握して個別対応や一括メール送信等も可能。

「しつこい営業トークは避けたい」「あれこれ聞くのは恐縮してしまう」など、営業担当者がいることでかえって気が重くなることもありますが、無人ならそのような気兼ねがありません。

しかし、知りたいことはきっちりとわかるようにアプリなどでしっかりとフォローします。

スマートホーム化をすれば人が常駐する必要はなく、家電は遠隔やあらかじめの設定で操作が可能になるため無駄な光熱費がいらなくなるメリットもあります。

無人モデルハウスの仕組み

無人モデルハウスでは、スマートロックを利用して玄関ドアを開閉し、スマートカメラなどの録画によって防犯性を高めるといった仕組みをとっている企業が多いです。

内見希望者は、スマートフォンを持参するだけで内見が可能です。

現地には営業担当者がいないので気軽に内見が可能です。

内見を希望する方の手順は次のようになります。

  1. 不動産会社のサイトの予約ページを訪問
  2. 内見を希望する日時や個人の特定情報を入力
  3. 登録したメールアドレスにスマートロックアプリのインストール案内が届く
  4. 訪問までにアプリをインストールしておく
  5. 予約時間になればアプリから玄関ドアを解錠できるので内見開始
  6. 退場するときにアプリから施錠して帰路につく

無人で内見できるので

  • 小さい子供がいても気を使わなくてよい
  • 営業担当者がいないので気軽に見学できる
  • 感染症の心配がない
  • 内見の希望日時が土日、祝日でも可能

などのメリットが内見を希望する方にあります。

なお、質問したいことがあれば電話などを利用して質問することも可能になっています。

また、不動産会社には、

  • 内見の際に営業担当者を派遣しなくてもよい
    • 複数の内見が同時に可能
    • 遠隔地の現地も管理可能
    • 営業担当者のスケジュール調整が不要
    • 土日、祝日でも内見可能
  • 感染症対策の心配がない

などのメリットがあります。

スマートホームサービス提供会社に相談する

このように、購入・建築希望者にも不動産・建築会社にもメリットが多い無人内見のシステムですが、気に入ったからとすぐにスマートホーム化するのは難しいものです。

スマートホーム化が気になるときには、スマートホームサービス提供会社に相談してください。

スマートホームサービス提供会社では、いろいろなスマートホームを提供している実績から得たノウハウで最適な無人内見システムを提案できます。