空き巣の防犯対策を紹介。空き巣の手口や狙われやすい家の特徴とは

不在の住宅に侵入し、窃盗などを行う空き巣被害は、いつの世でもあとを絶ちません。

今回は、空き巣に対して効果的な防犯対策について紹介します。空き巣の手口や狙われやすい家の特徴を理解し、IoT機器やスマートホームなどを活用した最新の防犯対策の導入を検討しましょう。

未だに多い空き巣被害。どういった家が狙われる?

日本全体では減少傾向にある空き巣被害ですが、未だに被害はあとを絶ちません。

どういった家が狙われやすいのか、どういった防犯対策があるのか詳しく解説します。

自分の家は大丈夫なのか参考にし、しっかりと対策をとって空き巣被害にあわないようにしましょう。

住宅への侵入窃盗犯罪の推移

警視庁が公開している「住まいる防犯110番」のデータによると、住宅侵入窃盗は、平成16年から減少していましたが、2023年は2万3,182件で前年比+4.7%、検挙人員は5,381件で前年比+9.9%とそれぞれ増加しています。

警視庁「住まいる防犯110番」より

侵入窃盗の発生場所別認知件数は、一戸建て住宅が30.5%と最も多く、共同住宅と合わせると41.6%にのぼり全体の半数が住宅への侵入窃盗になっています。

新興住宅地やマンションが増え、世の中も夫婦共働きで家を留守にする機会が多いのも、侵入窃盗犯罪が減らない理由のひとつかもしれません。

警視庁「住まいる防犯110番」より

侵入犯との遭遇は危険

侵入犯と遭遇すると、大変危険です。

侵入犯はドアやガラス窓を破壊して家の中に入るため、工具を所持しているケースが多く、その工具は時として凶器にかわります。

遭遇して驚くのはお互い様ですが、侵入犯は捕まらないように攻撃してくる可能性があり、その際に侵入時に使用した工具で襲ってくるかもしれません。

破壊するときに使用する工具はバールやハンマー、マイナスドライバーなど危険なものばかりです。

侵入犯から身を守るためにも、空き巣に対する防犯対策は重要です。

空き巣に狙われやすい家の5つの特徴

空き巣に狙われやすい家の特徴を

  • 住まい周辺の人通りが少ない
  • 壁や樹木などの死角が多い
  • 周辺の騒音が多い土地
  • アパートなどの低層住宅とマンションの高層階
  • 玄関以外に外灯がなく暗い

の5つのポイント別に紹介します。

特徴①|住まい周辺の人通りが少ない

空き巣は玄関のカギを特殊工具で解錠したり、ドアや窓ガラスをこじって開けたりして侵入します。

少なくても2〜5分の時間がかかるため、人が通るのを嫌がります。

下見をする際にも、人目に付くと怪しまれてしまうため、人通りの少ない場所を選ぶ傾向があります。

特徴②|壁や樹木などの死角が多い

高い壁や樹木で囲まれている家は一見すると侵入しにくそうですが、入ってしまえば外からは見えないので、空き巣からすればとてもいい環境です。

人目が気にならないプライベート空間を作ったつもりが、空き巣にとっても人目が気にならない犯行空間になってしまう可能性もあるのです。

特徴③|周辺の騒音が多い土地

空き巣はドアやガラスをこじ開けて侵入すると前述しましたが、その際には物音がしてしまいます。周辺で工事をしていたり、普段から電車やトラックの音でうるさかったりすると、近隣住民も慣れているため物音がしても不審に思いません。

特徴④|アパートなどの低層住宅とマンションの高層階

アパートなどの低層住宅は、防犯カメラがないこともあり侵入しやすい環境といえます。

警視庁の資料からも、低層住宅は高層住宅に比べると2倍以上も侵入被害にあっています。マンションの高層階は、高層階の安心感からか無施錠の家が多いほか、人目に付きにくいことから空き巣被害が多いようです。

特徴⑤|玄関以外に外灯がなく暗い

空き巣が入るのは昼間だけとは限らず、住民や近隣住民が寝静まった夜中に犯行を行う場合もあります。

建物の裏に外灯などの明かりがなく暗い場合、犯人は隠れやすく侵入しやすい環境であるといえます。

空き巣の手口。どこから侵入してくる?

空き巣に狙われやすい家の特徴に当てはまらなかったからといって、被害にあわないわけではありません。

しっかりと防犯対策をしておけば、空き巣被害は防げます。

では、空き巣はどこからどのような方法で侵入してくるのでしょうか。

空き巣の侵入手口

空き巣の侵入手口で1番多いのは意外にもカギの無締まり、つまり住民側の不注意です。

マンションの高層階が多いイメージですが、一戸建てや共同住宅の低層階でも無締りでの被害が最も多い結果となっています。少しの時間の外出でも、窓や玄関の施錠をしっかりするようにしてください。

次いで多いのはガラス破りで、ガラスの一部を割ってカギを開けたり、ドライバーを使ってこじ開けたりして侵入します。

警視庁「住まいる防犯110番」より

空き巣の侵入口

空き巣の侵入口で多いのは、一戸建てや共同住宅の低層階では窓からの侵入です。

玄関のカギが閉まっている場合は、窓を壊してカギを開けた方が速いからです。4階建て以上の高層になると、出入口が多くなりますが、窓からの侵入も24.3%となっており、決して少ないわけではありません。

いずれの住宅も、玄関と窓の防犯対策が空き巣被害を防ぐためには重要なのです。

警視庁「住まいる防犯110番」より

空き巣対策の基本ポイント

空き巣犯罪は、私たちの日常生活に潜む身近な脅威です。その手口を知り、適切な対策を講じることが、家族と財産を守る第一歩となります。ここでは、空き巣対策の基本となる5つのポイントについて詳しく解説します。

窓や玄関の施錠を徹底する

空き巣被害の多くは、施錠されていない窓や玄関からの侵入によるものです。外出時はもちろんのこと、在宅中でも確実に施錠することが極めて重要です。特に1階の窓や、ベランダに面した窓は狙われやすいため、二重ロックなどの追加的な対策を講じることをおすすめします。

また、窓の近くに脚立や踏み台になりそうな物を置かないよう注意しましょう。これらは空き巣の侵入を容易にしてしまう可能性があります。日々の習慣として、就寝前や外出前に全ての窓と玄関の施錠を確認する「戸締まりチェック」を行うことが効果的です。

補助錠やセンサーライト等を設置する

通常の鍵に加えて補助錠を取り付けることで、侵入のハードルを大幅に引き上げることができます。ドアや窓に取り付ける補助錠は比較的安価で、DIYでの設置も可能なものが多くあります。

また、人感センサー付きのライトを設置することも非常に効果的です。不審者が近づいた際に自動で点灯することで、犯罪を抑止する効果があります。特に、家の周囲の暗がりやアプローチ部分にセンサーライトを設置することをおすすめします。

このような対策は、空き巣に「この家は防犯対策がしっかりしている」というメッセージにもなり、ターゲットから外される可能性が高くなります。

在宅中も油断せず戸締まりを心がける

多くの人が、在宅中は安全だと油断しがちです。しかし、空き巣は留守宅だけでなく、在宅中の家も狙うことがあります。特に夏場は窓を開けたまま過ごすことが多くなりますが、網戸だけでは防犯対策として全く不十分です。

在宅中でも、使用していない部屋の窓やドアは必ず施錠しましょう。また、短時間の外出(ゴミ出しや近所への買い物など)や就寝時も含め、常に戸締まりを心がけることが大切です。

家族全員で防犯意識を共有し、「最後に部屋を出る人が必ず施錠する」というルールを徹底することで、より確実な対策となります。

長期不在時は新聞や郵便物をためない

溜まった新聞や郵便物は、長期不在を示す明確なサインとなってしまいます。空き巣にとって、これは格好のターゲットを示す目印となるのです。

旅行や出張など、長期間家を空ける際は、以下の対策を講じましょう:

  1. 新聞配達を一時停止する
  2. 信頼できる近所の人や家族に定期的な郵便物の回収を依頼する
  3. 郵便局に転送サービスを申し込む
  4. 宅配ボックスを利用する

これらの対策により、長期不在であることを外部から悟られにくくなります。

普段から防犯意識を高く持つ

最後に、そして最も重要なのが、日頃からの高い防犯意識です。「自分の家は大丈夫だろう」という油断が、最大の危険因子となります。

以下のような習慣を身につけることで、防犯意識を高く保つことができます:

  1. 近所の様子に気を配り、不審な人や車を見かけたら躊躇せず警察に通報する
  2. 地域の防犯活動に積極的に参加する
  3. 定期的に自宅の防犯対策を見直し、必要に応じて強化する
  4. 家族や同居人と防犯に関する情報を共有し、対策を話し合う

また、防犯カメラやホームセキュリティシステムの設置も検討に値します。これらは直接的な防犯効果に加え、日常的に防犯を意識するきっかけにもなります。

以上の基本ポイントを押さえた上で、次は具体的な対策方法について、より詳しく見ていきましょう。特に重要となるのが、空き巣の主な侵入経路である窓やドア、玄関の対策です。

窓やドア・玄関の空き家対策

窓やドア、玄関は家の中で最も弱い部分であり、空き巣の主な侵入経路となります。そのため、これらの箇所に対する対策は特に重要です。ここでは、効果的かつ実践的な対策方法をご紹介します。一つ一つの対策を積み重ねることで、より強固な防御ラインを築くことができます。

補助錠や防犯フィルムで窓を強化する

窓は空き巣の侵入経路として最も狙われやすい箇所の一つです。通常の鍵だけでなく、補助錠を取り付けることで、ピッキングなどの侵入手段に対する抵抗力が大幅に向上します。

また、防犯フィルムを窓ガラスに貼ることも効果的です。このフィルムを貼ることで、ガラスが割られても破片が飛び散りにくくなり、侵入を防ぐ効果があります。特に1階や侵入しやすい場所の窓には、必ず防犯フィルムを貼ることをおすすめします。

防犯ガラスへの交換を検討する

より確実な対策として、通常のガラスよりも強度が高い防犯ガラスへの交換があります。防犯ガラスは、複数枚のガラスの間に特殊なフィルムを挟み込んだ構造になっており、通常のガラスと比べて非常に割れにくくなっています。

費用は通常のガラスよりも高くなりますが、長期的な安全性を考えると十分に検討する価値があります。特に1階の窓や、侵入されやすい場所のガラスから順次交換していくことをおすすめします。

窓の内側から見えにくいレースカーテンを選ぶ

プライバシーの保護と防犯は密接に関連しています。室内の様子が外から見えにくいレースカーテンを使用することで、空き巣に家の中の状況を把握されにくくなります。これにより、狙われるリスクを低減できます。

1階の窓には特に注意が必要です。夜間に室内の照明をつけると、カーテンを閉めていても影が外に映ることがあります。ブラインドやロールスクリーンを併用するのも効果的な方法です。

ピッキングに強い鍵やスマートロックに交換する

ドアの鍵は、家の防犯において最も重要な要素の一つです。従来のシリンダー錠は、ピッキングなどの技術で開けられる可能性があります。そこで、最新の防犯性能を持つ鍵やスマートロックへの交換を検討しましょう。

スマートロックは以下のような利点があります:

  1. スマートフォンで遠隔操作が可能
  2. 施錠忘れの心配がない(自動施錠機能)
  3. 入退室記録が確認できる
  4. 一時的なアクセス権限の付与が可能(宅配業者や来客用)

ただし、スマートロックを導入する際は、サイバーセキュリティにも注意が必要です。信頼できるメーカーの製品を選び、パスワードの管理を徹底することが大切です。

スマートロックについてはこちらで詳しく紹介しています。
関連記事:スマートロックの仕組みを徹底解説。スマートロックのメリット・デメリットも紹介

ドアスコープやチェーンロックを取り付ける

玄関ドアの安全性を高めるには、ドアスコープやチェーンロックの設置が効果的です。これらは比較的安価で、DIYでの取り付けも可能な防犯アイテムです。

ドアスコープ(覗き穴)があれば、ドアを開けずに外の様子を確認できます。最近では、デジタルタイプのドアスコープも登場しており、より鮮明に訪問者を確認できるようになっています。

チェーンロックは、ドアを完全に開けずに対応することができる便利なアイテムです。不審者の侵入を防ぐ一助となるほか、宅配便の受け取りなど、ちょっとした用事の際にも活用できます。

インターホンやカメラで訪問者を確認する

最後に、訪問者の確認手段として、インターホンやカメラの設置を強くおすすめします。特にカメラ付きインターホンは、訪問者の顔を確認してから対応するかどうかを判断できるため、非常に有効な防犯対策となります。

さらに、玄関以外にも、敷地の出入り口や家の周囲に防犯カメラを設置することで、より広範囲の監視が可能になります。ただし、プライバシーの問題に配慮し、隣家や公道を過度に撮影しないよう、カメラの設置位置と角度には注意が必要です。

これらの対策を組み合わせることで、窓やドア、玄関からの不正侵入のリスクを大幅に低減することができます。次は、特に注意が必要な一人暮らしや女性の方のための、より具体的な空き巣対策について見ていきましょう。

旅行・帰省時の空き巣対策チェックリスト

長期不在時は、通常以上に空き巣のリスクが高まります。旅行や帰省の楽しみを台無しにしないためにも、事前にしっかりとした対策を講じておくことが重要です。以下のチェックリストを参考に、万全の準備を整えましょう。

窓・ドアの施錠を再確認する

出発直前に全ての窓とドアの施錠を再度確認することは、最も基本的かつ重要な対策です。特に以下の点に注意しましょう。

  1. 普段使用しない窓や裏口も含めて、全ての開口部をチェックする
  2. ベランダや庭に面した窓は、補助錠も忘れずに施錠する
  3. 郵便受けや新聞受けなど、小さな開口部も確認する
  4. 鍵は必ず持参し、家の外に隠さない

また、長期不在の前に、全ての鍵が正常に機能しているかを確認しておくことも大切です。鍵の動きが悪い場合は、専門家に相談して修理や交換を検討しましょう。

タイマー機能付き照明で在宅を装う

空き巣対策として非常に効果的なのが、タイマー機能付きの照明です。これを適切に設定することで、在宅しているように見せかけることができます。

最新のスマートホームデバイスを利用すれば、スマートフォンから遠隔で照明を操作することも可能です。これにより、より自然な「在宅感」を演出することができます。

宅配ボックスを活用し、郵便物等をためない

郵便物や宅配物が溜まることは、長期不在の明確なサインとなります。これを防ぐために、以下の対策を講じましょう。

宅配ボックスを利用する

個人用の宅配ボックスを設置することで、不在時の荷物を安全に保管できます。

郵便局に転送サービスを依頼する

一時的な転送サービスを利用して、滞在先に郵便物を転送してもらいましょう。

新聞の配達を一時停止する

長期不在の際は、新聞社に連絡して配達を一時停止しましょう。

定期的に郵便物を回収してもらう

信頼できる近所の方や家族に、定期的な郵便物の回収を依頼しましょう。

これらの対策により、長期不在であることを外部から悟られにくくなります。特に、郵便物や宅配物が玄関前に放置されている状況は、空き巣にとって格好のターゲットとなるため、絶対に避けるべきです。

家族や信頼できる近所の人に見回りを依頼する

最後に、人の目による監視も非常に重要です。可能であれば、家族や信頼できる近所の方に定期的な見回りを依頼しましょう。

以上の対策を実践することで、旅行や帰省時の空き巣被害のリスクを大幅に低減することができます。ただし、完璧な対策はないことを認識し、万が一の事態に備えて、貴重品の管理や保険の加入なども検討しておくとよいでしょう。

スマートホームは空き巣の防犯にも大活躍

防犯対策の重要性はわかったけれど、窓を買い替えたり面格子をつけたりするのは大変ですよね。

スマートホームにすれば、手軽に導入できて高い防犯対策ができます。

スマートホームなら鍵の閉め忘れの心配なし

玄関の鍵にスマートロックを使用すれば、鍵の閉め忘れの心配がなくなります。

スマートロックは、スマートフォンアプリから鍵の閉め忘れの確認ができるだけでなく、スマートフォンの操作で施錠できるのです。

また、ドアに近づいたら解錠、離れたら施錠のようにカギを開け閉めする動作すらしなくてもいいように設定もできます。

窓には防犯センサーが効果的

窓にはスマートセンサーを使用します。

スマートフォンからカギの開閉はできませんが、窓の開閉を感知しスマートフォンに通知してくれます。

スマートカメラを設置しておけば、窓の開閉の通知を受け取った時にスマートカメラで室内の状況を確認できます。

さらに、マイクとスピーカーが内蔵されているタイプであれば、侵入犯に注意をうながし撃退もできます。

窓の防犯対策についてはこちらで詳しく紹介しています。
関連記事:1階の窓の防犯対策まとめ!賃貸物件でも安心の防犯グッズとは?

スマートホームで手軽に防犯対策

スマートホームなら、業者に依頼したり窓を買い替えたりしなくても、手軽に防犯対策ができます。

そのうえ、スマートフォンから鍵の閉め忘れの確認ができるため、空き巣被害の多い「無施錠」「ガラス破り」などを未然に防げます。

子どもや離れて暮らす親御さんの見守りにも活用できますので、導入を検討してみてはいかがでしょうか。