玄関の防犯対策。アナログなものから、ハイテクな方法までを紹介


家の防犯対策を行うポイントとして、玄関は非常に重要です。不在の際などに発生する空き巣などだけではなく、在宅やリモートワークならではの犯罪が、玄関で発生しています。
今回は、玄関で起こる可能性のある犯罪や、防犯対策方法について詳しく紹介します。
玄関での防犯が重要な理由
玄関の防犯対策は、意外とおろそかになりがちではないでしょうか。
玄関付近は帰宅時など気が抜けやすい場所で、後をつけてきた強盗犯やストーカーなどから暴行被害にあう事件をニュースでみた記憶はないですか。
ちょっとゴミを出しに行くだけだからと、鍵をかけずに家を出て帰ったら侵入犯と出くわしてしまった事例もあります。
犯罪から身を守るためにも、防犯について見直してみましょう。
侵入犯罪の発生状況
警視庁の調べによると、住宅を対象とした侵入窃盗の認知件数は平成16年から減少していましたが、2023年は2万3,182件で前年比+4.7%、検挙人員は5,381件で前年比+9.9%とそれぞれ増加しています。
侵入窃盗の発生場所認知件数は、一戸建て住宅が37.0%と1番多く共同住宅を合わせると50%を超える高い数値になっています。
「住まいる防犯110番」のデータによると、侵入犯罪の侵入口で多いのは一戸建て住宅では「窓」ですが、3階建て以下の共同住宅・4階建て以上の共同住宅ともに、表出入り口が窓よりも多い結果でした。



マンションなどはエントランスがオートロックになっている場合も多く、高層階だと「こんな所までこないだろう」と勝手に思い込んでゴミ捨てなど短時間の外出の際、鍵をかけずに家を出てしまうのではないでしょうか。
配達やデリバリーを装った犯罪も増加している
フリマやネットショッピング、フードデリバリーのサービス利用者が増えるのと同時に、宅配業者を装った犯罪が増加しています。
2022年2月、大阪府高槻市で男子高校生が実在する宅配業者の制服と段ボールを持って訪問し、対応した女性に襲いかかり怪我をさせる事件が起こりました。
郵便受け・宅配ボックスシェアNo.1のナスタは、宅配便を利用している男女1,000人を対象に、「玄関まわりの防犯に関する意識調査」を行ないました。
玄関を開ける際に少しでも不安を感じたことがある人は68.7%と、多くの人が不安に思っているようです。

その中でも勧誘など「約束のない来訪」に不安を感じた場面が62.3%で最も多く、驚くことに「玄関を開けたら勝手に中に入って来られた」と回答した人が6.4%もいました。
留守中に限らず在宅時にも、玄関の防犯対策をしておく必要があるといえるでしょう。

一人暮らし女性必見! 玄関を狙われやすいNG行動
一人暮らしの女性は、残念ながら犯罪のターゲットになりやすい傾向にあります。しかし、日常生活での些細な行動に注意を払うことで、リスクを大幅に軽減することができます。知らず知らずのうちに行っているかもしれない、玄関を狙われやすくなるNG行動について詳しく見ていきましょう。
「女性の一人暮らし」を悟られる表札や荷物
表札に女性名のみを記載したり、女性向け商品の梱包箱を玄関前に置いたままにすると、一人暮らしの女性宅であることがわかってしまいます。これは犯罪者にとって格好のターゲットとなる可能性があります。表札は苗字のみにするか、あえて複数名を記載するなどの工夫をしましょう。
また、梱包箱はすぐに処分するようにしてください。可能であれば、配達時に指定場所に置いてもらうか、宅配ボックスを利用するなどして、玄関前に荷物を放置しないようにしましょう。
一人暮らしの女性向け防犯グッズについてはこちらで詳しく紹介しています。
関連記事:一人暮らしの女性向け防犯グッズ9選!賃貸物件に住んでいる場合の対策も紹介
夜遅い帰宅時・早朝の出勤時に狙われるリスク
深夜や早朝の出入りは、犯罪者に狙われやすい時間帯です。できるだけ、これらの時間帯の一人での行動は避けましょう。やむを得ない場合は、常に周囲に注意を払い、スマートフォンなどで誰かと通話しながら帰宅するなど、一人ではないように見せる工夫も効果的です。
また、帰宅時は玄関に近づく前から鍵を用意しておくことで、玄関前で立ち止まる時間を最小限に抑えることができます。玄関のライトは人感センサー付きのものを使用すると、自動で点灯するので安心です。さらに、近隣住民との良好な関係を築いておくことで、異常があった際に気づいてもらえる可能性も高まります。
SNSへの写真投稿で在宅状況や住所を特定される
SNSに自宅の写真や外出時の投稿をする際は注意が必要です。背景に写る景色や建物から住所が特定されたり、旅行中であることがわかってしまうと、留守を狙われる可能性があります。投稿内容や写真には細心の注意を払い、個人情報や在宅状況が推測されないようにしましょう。
多くのスマートフォンやSNSアプリでは、デフォルトで位置情報が記録される設定になっています。投稿時にこの情報を削除するか、そもそも位置情報の記録をオフにしておくことをおすすめします。また、自宅内部の写真を投稿する際は、窓からの景色や特徴的な建物が写り込んでいないかを確認しましょう。
玄関ドアの防犯対策ポイント
玄関ドアは、家の中で特に重要な防犯ポイントの一つです。玄関ドア自体の防犯性能を高めるための具体的な方法を紹介します。
ピッキングに強いディンプルシリンダー錠を使う
一般的な錠前よりもピッキングに強いディンプルシリンダー錠を使用することで、不正解錠のリスクを減らすことができます。複雑な鍵穴構造を持つこの錠前は、専門的な知識や特殊な工具がなければ開けることが困難です。
ディンプルシリンダー錠の特徴は、鍵穴に小さな凹みがたくさんあることです。これらの凹みの組み合わせは理論上1,000億通り以上といわれています。通常のピッキング技術では解錠が極めて困難で、複製も難しいため、合鍵の不正作成のリスクも低減できます。
ただし、どんなに優れた錠前でも、適切に使用しなければ意味がありません。外出時や就寝時には必ず施錠する習慣をつけましょう。また、定期的なメンテナンスも重要です。錠前がスムーズに動かない場合は、専門家に相談することをおすすめします。
ドアスコープ(のぞき穴)にカバーを付ける
ドアスコープは来訪者を確認するのに便利ですが、逆に外から室内を覗かれる危険性もあります。専用のカバーを取り付けることで、プライバシーを守りつつ、必要な時だけ来訪者を確認できるようになります。
ドアチェーンやドアガードを取り付ける
現在では、ほとんどの玄関ドアにドアチェーンやドアガードが備え付けられていますが、もしない場合は設置するようにしましょう。
これらは、ドアを完全に開けずに来訪者と対応できる重要な防犯アイテムです。
玄関周りの防犯対策
玄関ドアの防犯対策に加えて、玄関周りの環境を整備することで、さらに効果的な防犯が可能になります。玄関周辺の安全性を高めるための具体的な方法を紹介します。
人感センサーライトを設置する
人感センサーライトは、人の動きを感知して自動的に点灯します。不審者が近づくと光で威嚇し、周囲の注意を引くことができます。また、帰宅時の安全確保にも役立ちます。
人感センサーライトを設置する際のポイントは、適切な位置選びです。玄関アプローチ全体をカバーできる位置に設置することが理想的です。また、センサーの感度も重要です。過敏すぎると誤作動の原因となり、逆に鈍感すぎると効果が薄くなってしまいます。最近では、スマートフォンと連動して遠隔操作や通知を受け取れるタイプもあります。これらを利用すれば、外出先からでも玄関周りの状況を把握できます。
防犯カメラやモニター付きインターホンを設置する
防犯カメラやモニター付きインターホンを設置することで、来訪者を事前に確認できます。また、不審者を抑止する効果も期待できます。録画機能付きのものを選べば、証拠としても活用できます。
防犯カメラの設置位置は、玄関ドアを中心に、全体が見渡せる場所が適しています。最近の機種では、夜間でもクリアな映像を撮影できるものや、動体検知機能付きのものもあります。プライバシーの観点から、隣家や公道を映さないよう注意が必要です。
モニター付きインターホンは、録画機能付きのものを選べば、不在時の来訪者も後から確認できます。また、スマートフォンと連携できるタイプを選べば、外出先からでもインターホン応対が可能になります。
植栽や足場となるものを置かない
玄関周りに背の高い植木鉢など、踏み台や身を潜められる場所になりそうな物を置かないようにしましょう。景観を損なわずに防犯性を高めるためには、低めの植栽を選ぶなどの工夫が必要です。
植栽を活用する場合は、視界を遮らない低木や地被植物を選びましょう。棘のある植物(例:バラ)を植えることで、不審者が近づきにくい環境を作ることもできます。
また、自転車や室外機などの設置位置にも注意が必要です。これらが足場として使われないよう、可能な限り玄関から離れた場所に設置するのが望ましいです。
表札や郵便受けに名前を書かない
先述の通り、表札や郵便受けに個人名を記載することは避けましょう。必要な場合は苗字のみにするなど、個人情報の露出を最小限に抑えることが重要です。
表札を出さない選択肢もありますが、その場合は配達物や緊急時の対応に支障が出る可能性があります。代替案として、建物名や部屋番号のみを記載する方法があります。また、デザイン性の高い表札を選ぶことで、個人を特定しづらくしつつ、美観も保つことができます。
郵便受けについては、施錠可能なタイプがおすすめです。また、郵便受けに新聞や郵便物が溜まっているのは留守宅のサインとなるため、定期的な回収を心がけましょう。長期不在の際は、郵便局に転送サービスや新聞の配達停止を依頼するのも一案です。
その他の玄関の防犯ポイント
これまでに紹介した物理的な防犯対策に加えて、日常的な心がけも玄関の防犯には非常に重要です。日々の生活の中で実践できる防犯ポイントについても紹介します。
鍵の閉め忘れに注意する
外出時や就寝前には必ず鍵をかける習慣をつけましょう。短時間の外出でも油断は禁物です。ダブルロックにすることで、さらに安全性が高まります。
鍵かけの習慣化は、防犯対策の基本中の基本です。「ちょっとそこまで」という短時間の外出でも、必ず施錠するよう心がけましょう。特に、ゴミ出しや郵便物の取り込みなど、日常的な作業時に無意識に鍵をかけ忘れることがあるので注意が必要です。
また、スマートロックを導入することで、鍵の閉め忘れを防ぐことができます。スマートフォンと連動して、外出時に自動で施錠したり、施錠状況を遠隔で確認できるものもあります。ただし、電子機器であるため、バッテリー切れや故障のリスクがあることを念頭に置き、定期的なメンテナンスを行うことが重要です。
さらに、ダブルロックの活用も効果的です。主錠に加えて補助錠を使用することで、ピッキングなどの不正解錠に対する抵抗力が大幅に向上します。ただし、火災時の避難に支障をきたさないよう、室内からは簡単に解錠できるタイプを選ぶことが大切です。
スペアキーの管理を徹底する
スペアキーは安易に人に預けたり、玄関周りに隠したりしないようにしましょう。必要な場合は信頼できる人に預けるなど、慎重に管理することが大切です。
スペアキーの管理は、防犯上非常に重要です。玄関マットの下や植木鉢の中など、よくある隠し場所は犯罪者にも容易に推測されてしまいます。また、知人や近所の人にスペアキーを預ける場合も、その人物を十分に信頼できるか慎重に判断する必要があります。
また、スマートロックによる遠隔解錠などを活用することで、スペアキーの受け渡しの頻度を下げることが可能です。暗証番号やICカードで開閉できるキーボックスなども活用するようにしましょう。
宅配ボックスで不在時の荷物受け取りを安全に
宅配ボックスを利用することで、不在時でも安全に荷物を受け取ることができます。これにより、玄関前に荷物が放置されることを防ぎ、空き巣のリスクを減らすことができます。
宅配ボックスには様々なタイプがあります。個人宅用の小型のものから、マンションの共用エリアに設置される大型のものまで、住環境に合わせて選択できます。最近では、冷蔵・冷凍機能付きの宅配ボックスも登場し、食品の受け取りにも対応できるようになっています。
また、一部の宅配業者では、荷物の到着をスマートフォンに通知するサービスも提供しています。これを利用すれば、長時間荷物を放置することなく、帰宅後すぐに受け取ることができます。
ただし、宅配ボックスを設置する際は、防犯カメラの死角にならないよう注意が必要です。また、定期的に内部を確認し、不審な荷物がないかチェックすることも大切です。
新聞や郵便物をこまめに取り込む
先述したように、新聞や郵便物が溜まっていると、長期不在や一人暮らしであることが推測されてしまいます。こまめに取り込むか、長期不在時は新聞配達を停止したり、郵便物を保管してもらうなどの対策を取りましょう。
近所づきあいがある場合は、信頼できる隣人に郵便物の回収を依頼するのも良いでしょう。ただし、その際は個人情報の取り扱いについて事前に話し合っておくことが重要です。
どんなに万全の対策を施しても、絶対に安全という保証はありません。常に警戒心を持ち、異常を感じたらためらわずに警察や信頼できる人に相談することが重要です。安全で快適な生活のために、日々の防犯意識を高く保ちましょう。
スマートホームは玄関の防犯にも活用できる

防犯対策には、複数のものを組み合わせるのも効果的です。
また、外出先からでもカギの開け閉めを確認できたり、不審者がいないかを確認できたりできれば安心ですよね。
スマートホームにすると、防犯だけではなく「家族やペットの見守り」「外出先から家電の操作」「音声による家電のコントロール」など様々な快適環境も実現できます。
スマートホームサービスを利用すると、機器の設置から設定まですべてを行ってくれるため簡単にスマートホーム化を実現できます。
家の防犯対策
スマートロックや窓の開閉センサーで施錠や解錠の状況をアプリで確認できるため、戸締りの心配をしなくても大丈夫です。
家族が全員留守にするときに、警戒モードにしておけば異常を検知した際に、大音量の警報音を鳴らして侵入者を威嚇してくれます。
アプリに異常の通知が来るため、設置されたカメラで室内を確認できるため、すぐに通報することもできます。
カメラに記録されたデータは、SDカードだけではなくクラウド上にも保存されるため、侵入者の情報をしっかりと残しておけます。
ホームセキュリティーサービスとの連携
スマートホーム化による防犯だけではなく、ホームセキュリティーサービスとも連携できるため、万が一の時にも安心です。
緊急時はもちろんですが、家にいる子どもや家族が心配なときや、帰宅時に不安があるときでも、連絡をすれば駆けつけてくれます。
家族やペットの見守りにも活用できる
外出中でも室内カメラで部屋の様子が確認できるため、留守番をしている子どもやペットの様子を確認できます。
室内カメラとアプリの間で通話も可能になっているため、留守番中の子どもに安心感を与えられるでしょう。
スマートタグを活用すると、帰宅や外出した際にアプリに通知が届くようにもできるため、
家族の在宅状況をすぐに確認できます。
防犯以外にも家電の操作もできます
スマートホームサービスを利用すれば防犯だけではなく、スマホや音声で家電の操作ができるようになります。
テレビやエアコン、照明や玄関キーなど様々なものを操作できるようになり、自分好みの快適な生活空間をつくることも可能です。
防犯対策と一緒に家電が操作できるスマートホームサービスを利用すれば、安心で快適な毎日を過ごせるようになるでしょう。




