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スマートホーム先進国のアメリカ、その普及率や具体的なサービスを紹介

internet of things and technology concept – happy african american couple with smart speaker sitting on sofa at home

日本で、スマートホームが徐々に浸透し始めています。

それでは、スマートホームを牽引する存在であるアメリカはどうでしょうか。

アメリカのスマートホーム市場はどのように成長しているのでしょう。

今回は、アメリカにおけるスマートホームの普及率や具体的なサービスについて紹介します。

アメリカではスマートホームがどれくらい普及している?

スマートホームで最先端を走るアメリカは、普及率が35.6%と高水準です(参考:住宅新報「特別寄稿 スマートホーム 暮らしに与える変化」)。

なぜ、スマートホームがこれほどにもアメリカでは爆発的に普及しているのでしょうか。そこにはアメリカ特有の理由ありました。

サイズの大きな戸建住宅が多い

アメリカは、国土面積が日本の約25倍あるため、必然的に大きなサイズの家が多いです。

家が大きいと移動も掃除も大変です。そのためあまり移動をせずにスマートフォンや声で操作ができるIoT家電などを導入する需要が高まったことが考えられます。

日本の家電量販店でも陳列されているお掃除ロボット「ルンバ」はアメリカの企業のアイロボット社のものです。

日本は核家族が増加傾向にあるため、マンション住まいや賃貸物件などの住宅の面積が狭い物件に住む世帯が増えています。住宅の面積が狭い家庭だとIoT家電を導入するメリットが感じられず普及にストップがかかっているのかもしれません。

導入するためのコストが低い

アメリカでスマートホームが普及している理由として、最も大きなポイントは導入するコストが少ないことです。

スマートスピーカーはアメリカの成人約25%が所有しており、日本でも3,000円台から購入できます。現在使用している家電製品がスマートスピーカーに対応してる場合、かかるコストはスピーカーの金額だけで済みます。

玄関の鍵を自動で施錠・解錠する場合にも玄関ドア全体を取り換えるといった方法もありますが、玄関ドアはそのままで鍵の部分にだけデバイスを取り付ければ設置が完了します。比較的コストを抑えながらDIYで簡単に導入できるといった面がアメリカでのスマートホームの普及に大きく影響しています。

アメリカで広がるスマートホームサービスとは

日本よりも先行してスマートホームが普及しているアメリカでは、「スマートホームサービス」の活用も進んでいます。

「ホームサービス」とは、家事代行などのサービスを指しますが、近年ではインターネットやIoT機器を取り入れた「スマートホームサービス」が注目されています。

日本でも家事の時間短縮として、インターネットと連動したお掃除ロボットやドラム式洗濯機での乾燥機能・食洗機などが広まってきています。

最先端の欧米では時間短縮の家電製品に加え、IoT機器を掛け合わせたサービスも需要が多くなっています。スマートホーム市場で盛り上がりを見せているスマートホームサービスとはいったいどのような内容なのでしょうか。最新のトレンドを確認していきましょう。

Amazon home services

大手通販サイトのAmazonが行っているホームサービスは、家の壁の塗装はもちろん、水漏れ修理や車の修理・テレビやネットの配線・電気工事・家具の組み立て・セットアップなどを地域の業者へ依頼ができるスマートホームサービスです。

利用したユーザーによるレビューを確認することができ、Amazonの審査が通った業者が掲載されているため信用も高く利用しやすいことが特徴です。スマートホーム業者にとっても、広告や営業活動を行わずに効率的な集客を可能にしています。

Key by Amazon・Key for Business

同じくAmazonが提供する家庭内宅配サービスです。

現在の宅配便は、戸建なら玄関前まで、マンションはエントランスまで作業員が持ってきてインターホンを鳴らすといった仕組みですがKey by Amazonは家の中まで配送してくれます。

このサービスで気になるのが防犯面ですが、スマートロックやセキュリティカメラを導入することでカバーします。後付けも簡単にできるので宅配ボックスがない家庭はもちろん、マンションのような集合住宅で宅配ボックスがあってもすぐにいっぱいになる、重たい荷物は玄関前まで運んでほしいなどの要望に応えます。

InHome Delivery(インホーム・デリバリー)

生鮮食品などをキッチンやガレージの冷蔵庫に直接届けてくれるサービスです。

月額料金を支払えば回数は無制限に利用ができます。キッチン・ガレージのドアにはあらかじめスマートロックを設置する必要があります。

しかし、スマートロックも日本円に換算すると約5,000円で設置ができるので導入しやすいサービスのひとつです。スマートロックは依頼毎にパスコードが発行され、配達員は一度のみ使用ができるパスコードを使用して解除します。配達員の胸元にはウェブカメラが取り付けてあるので、顧客は遠方にいながらも実際の動きをウェブカメラを通して確認することができます。配達員になる条件の一つに、アメリカに少なくとも1年は住んでいることがあります、セキュリティ面でも安心できる仕組み作りがされています。

日本でもスマートホームは普及する?

日本におけるスマートホーム普及率は、まだまだ高くはありません。しかし、今後増加していくと考えられます。総務省のHPでは、世界のIoTデバイス数は急速に増加しており、2015年では165.6億台だったものが、2019年には1.5倍以上の253.5億台、2022年には348.3億台になると予想されています。

日本人の暮らしのなかで、どのような場面においてスマートハウスが活用されるのか実際に生活スタイルごとに紹介します。

共働き家庭の家事負担軽減

昭和55年は専業主婦がいる家庭は1,114万世帯、共働き家庭614万世帯に対し、平成29年は共働き家庭が1,188万世帯、専業主婦家庭641万世帯と女性の社会進出が顕著に数字にでています(男女共同参画白書(概要版) 平成30年版)。

男性だけではなく女性も社会に出ていますが、家事育児関連時間は男性の家事育児に費やす時間は、妻7時間34分、夫1時間23分です(総務省「社会生活基本調査」)。

働きつつ、家事・育児・買い物・介護に時間を割いている女性は多くいる中で、スマートホームサービスが役立ちます。鍵を取り出さずに玄関のドアを施錠・解錠することができ、忙しい朝はリビングの照明がつき、カーテンを自動で開けてくれる、小さな項目ですが少しずつ時間をとられる作業が減ります。

高齢者の見守り

少子高齢化社会が進んでいる日本。平成30年時点で総人口に占める割合が65歳以上は28.1%、14歳以下12.2%です(総務省統計局「国勢調査」、「人口推計」)。

人口の4人に1人以上の人数が65歳以上になりました。昔は親子・孫まで3世帯で暮らしていましたが現在は核家族化したこともあり、高齢者も一人暮らし世帯も増加しています。

介護業界では人手不足が問題視されていますが、改善策は見つかっていません。しかし老人にもスマートホームは役立ちます。ウェブカメラでご家族が動きを確認することはもちろん、ヘルスケアとして心拍・呼吸・体温も検知してくれます。

熱中症で脱水症状になっても気が付かない老人にはエアコンの自動運転も、徘徊防止のために在宅状況を把握して通知もしてくれます。スマートホームは20代や30代のような現役世代が使いこなすイメージもありますが、介護にもとても便利なサービスです。

単身世帯のセキュリティ対策

男女ともに晩婚化が進んでいる日本ですが、25~29歳の女性未婚率は平成27年で20%も増加しています(総務省統計局「国勢調査」)。

単身世帯だと家庭のことは全て一人で対処しなければなりません。そもそも仕事で帰宅時間が遅くなると在宅時間は短くなってしまいます。

そこで外出先から家電の操作ができるサービスや、ペットを監視ができるスマートホームカメラ、アプリで鍵の施錠や解錠ができるスマートロックが便利です。

また、玄関のドアや窓からの侵入を感知して、警告音を出したりアプリで通知してくれる機能もあり、更に警備会社に連絡がいく設定もできます。またテレワークや週休3日制のスタートにより在宅時間が増えてもさまざまなデバイスを活用することにより効率よく仕事ができます。

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