一戸建ての防犯対策では何をしたらいい?空き巣が嫌がるセキュリティ対策を紹介


近年、防犯意識の高まりとともに、一戸建ての防犯対策に関心が集まっています。一戸建ては集合住宅と比べて侵入されるリスクが高く、適切な防犯対策が不可欠です。
一戸建てにおける効果的な防犯対策の方法やセキュリティ向上の対策などについて解説します。
狙われやすい一戸建ての特徴
空き巣は侵入しやすい家を見極めて狙います。特に注意が必要なのは、周囲から死角が多い家です。住宅の周りに背の高い植木や塀がある場合、犯罪者の侵入行為が外から見えにくくなるため、格好のターゲットとなってしまいます。また、近隣との距離が離れている家も要注意です。隣家との間隔が広いと不審な行動を発見されにくく、犯罪者が行動を起こしやすい環境となります。
さらに、留守が多いことが外からわかる家も危険です。新聞や郵便物が溜まっている、夜間でも全く明かりがないなど、留守であることが一目で分かる家は空き巣に目をつけられやすくなります。加えて、窓や扉に補助錠がない、防犯カメラが設置されていないなど、基本的な防犯設備が整っていない家は侵入のリスクが特に高まります。
一戸建てが狙われやすい理由
一戸建ては集合住宅と比べて空き巣のターゲットになりやすい特徴があります。最も大きな理由は侵入経路の多さです。一戸建ては窓や勝手口など、侵入可能な箇所が多く存在します。集合住宅と異なり、建物の周囲全てにアクセスできるため、犯罪者にとって侵入のチャンスが多くなります。
また、人目につきにくい環境という要因もあります。集合住宅では共用部分に防犯カメラが設置されていたり、他の住人の目があったりしますが、一戸建ては比較的人目につきにくい環境にあります。また、一戸建ては一般的に集合住宅より資産価値が高く、現金や貴重品を保管している可能性が高いと考えられているため、犯罪者にとって魅力的なターゲットとなります。
実際の侵入経路と侵入手口
警視庁が公開している「東京の犯罪(令和5年版)」によると、令和5年に東京都内で侵入窃盗犯罪における住宅への侵入経路として最も多いのが「表出入口」で、46.8%という結果でした。また、窓(居室・縁側・ベランダ)なども41.5%でした。
侵入手段としては、「無締まり」が48.1%、「ガラス破り」28.9%、「施錠開け」18.9%と続きました。
つまり、一戸建てにおいては、ドアや玄関といった出入り口に加えて、窓からの侵入に備えた防犯対策が必要になってくるのです。
空き巣に狙われやすい家についてはこちらで詳しく紹介しています。
関連記事:空き巣の防犯対策を紹介。空き巣の手口や狙われやすい家の特徴とは
場所別の防犯対策
一戸建ての防犯対策を効果的に行うためには、建物の各部分に応じた適切な対策を講じる必要があります。犯罪者は建物の弱点を見極めて侵入を試みるため、玄関や窓、庭など、それぞれの場所に合わせた防犯措置を施すことが重要です。
窓の防犯対策
先述の警視庁の調査においても窓は侵入されやすい場所であるため、特に念入りな対策が必要です。まずは基本となる防犯ガラスや防犯フィルムの設置を検討しましょう。防犯ガラスは特殊な樹脂層を挟み込んだ構造になっており、割られにくく、割れても破片が飛び散りにくいという特徴があります。
防犯ガラス・防犯フィルムの設置
防犯ガラスの導入が難しい場合は、既存の窓ガラスに防犯フィルムを貼ることで、比較的安価に防犯効果を高めることができます。防犯フィルムは、工具などでガラスを叩いても割れにくく、万が一割れても破片が飛び散りにくいため、侵入を防ぐ効果があります。取り付けは専門業者に依頼することをおすすめしますが、DIYキットを使用して自分で施工することも可能です。
補助錠・クレセント錠の取り付け
窓の防犯性能を高めるためには、補助錠の設置も効果的です。特に、サブロック錠や二重ロック、ウインドウロックなどの補助錠を取り付けることで、クレセント錠だけの場合と比べて格段に防犯性能が向上します。
補助錠は、外部からの操作が困難な構造になっているため、空き巣対策として高い効果が期待できます。設置する際は、窓の開閉に支障がない位置を選び、確実に固定することが重要です。
面格子・シャッターの設置
さらに強固な防犯対策として、面格子やシャッターの設置も効果的です。
面格子は、見た目にも防犯性をアピールできる上、実際の侵入防止効果も高いため、特に1階の窓には有効な対策です。ただし、災害時の避難経路を確保するため、必ず1カ所は内側から容易に外せる構造のものをおすすめします。
玄関・勝手口の防犯対策
警視庁の発表で最も多い侵入経路である玄関や勝手口などの表出入口は、見た目の防犯性と実用性のバランスが特に重要になります。防犯性を高めすぎると日常の使い勝手が悪くなる可能性があるため、適切な対策を選択することが大切です。
ディンプルキーの導入
従来の一般的な鍵と比べて、ピッキングなどの不正解錠が困難なディンプルキーの導入は、玄関の防犯対策として非常に効果的です。ディンプルキーは、鍵穴の中に複数の小さな凹みがあり、それに対応する特殊な形状の鍵でないと開錠できない仕組みになっています。合鍵の作製も困難なため、セキュリティレベルの向上が期待できます。
サムターンカバーの設置
玄関ドアの内側にあるサムターン(回し手)は、外部から細い棒を差し込んで回されるリスクがあります。これを防ぐためのサムターンカバーは、比較的安価で取り付けも簡単な防犯対策です。カバーを設置することで、サムターンを直接操作することが困難になり、不正な解錠を防ぐことができます。
センサーライトの設置
人感センサー付きのライトを玄関周りに設置することで、夜間の防犯効果を高めることができます。不審者が近づくと自動的に点灯することで、侵入を諦めさせる効果もあります。
また、夜間の帰宅時に自動で明るくなるため、防犯面だけでなく生活の利便性にも繫がります。
庭・敷地周りの防犯対策
敷地の外周部分は、防犯対策の最前線となる重要な場所です。適切な対策を施すことで、犯罪者に「この家は侵入が困難」というメッセージを送ることができます。特に注意すべきポイントについて、詳しく解説していきます。
防犯カメラの設置位置と選び方
防犯カメラは、設置位置が効果を大きく左右する設備です。玄関や窓、アプローチなど、侵入されやすい場所を重点的に監視できる位置に設置することが重要です。
カメラの選択においては、夜間の撮影性能や録画時間、スマートフォンとの連携機能などをチェックしましょう。最近では、AIが人物を検知して自動で警告を発する高機能なものも登場しています。
防犯砂利の効果的な配置
防犯砂利は、歩くと大きな音が出る特殊な砂利で、侵入者の足音を際立たせる効果があります。窓の下や建物の周囲に敷き詰めることで、不審者の接近を察知しやすくなります。
植栽・フェンスの適切な管理
庭の植栽は見た目の美しさと防犯性のバランスが重要です。背の高すぎる植栽は死角を作ってしまう原因となるため、定期的な剪定が必要です。
フェンスについては、高すぎると却って外からの視認性が下がってしまうため、適度な高さを保ちながら、侵入防止効果のある構造のものを選択することをおすすめします。
効果的な防犯システム

テクノロジーの発展により、住宅の防犯システムは大きく進化しています。従来の機械式の防犯設備に加えて、ICT・IoTを活用したスマートな防犯システムが普及してきました。これらのシステムを効果的に組み合わせることで、より安全な住環境を実現することができます。
ホームセキュリティ導入のメリット
ホームセキュリティシステムの導入は、24時間365日の監視体制を実現する最も確実な防犯対策の一つです。不審者の侵入を検知すると、即座に警備員が駆けつける体制が整っているため、高い抑止力となります。また、火災や急病人の発生時にも対応してくれるため、総合的な安全対策として効果的です。
特に最新のシステムでは、スマートフォンと連携して、外出先からでも自宅の状況を確認できる機能が標準装備されています。子どもの帰宅確認や宅配物の受け取り状況のチェックなど、防犯以外の面でも便利な機能として活用できます。
防犯カメラシステムの選び方
防犯カメラを導入する際は、録画方式や画質、運用コストなど、さまざまな要素を考慮する必要があります。最近の主流は、クラウドに録画データを保存できるネットワークカメラです。従来型の録画装置と比べてデータの保管が安全で、スマートフォンからの遠隔視聴も容易です。
また、人工知能(AI)を搭載した最新の防犯カメラシステムでは、人物や車両を自動で検知し、不審な動きを感知した場合にはスマートフォンに通知を送る機能も備えています。夜間や悪天候時でも鮮明な映像を撮影できる機種も増えているため、設置環境に応じて最適な製品を選択することが重要です。
スマートロックの活用法
スマートロックは、スマートフォンやICカードで施錠・解錠ができる次世代の鍵システムです。物理的な鍵を持ち歩く必要がなく、遠隔で施錠状態の確認や操作が可能なため、鍵の紛失や施錠忘れの心配が軽減されます。また、一時的なアクセス権限を付与できる機能を備えているものも多く、来客時や宅配物の受け取りなどにも活用できます。
ただし、導入の際は、セキュリティ面での信頼性やバッテリー切れ時の対応など、運用面でのデメリットも考慮する必要があります。また、スマートフォンの紛失時の対策として、必ず通常の鍵でも開閉できるタイプを選択することをおすすめします。
スマートロックの基本情報についてはこちらで詳しく紹介しています。
関連記事:スマートロックの仕組みを徹底解説。スマートロックのメリット・デメリットも紹介
日常的な防犯対策
高度な防犯システムを導入しても、日常的な心がけが伴わなければ、十分な効果は期待できません。むしろ、基本的な防犯習慣を徹底することで、多くの犯罪を未然に防ぐことができます。以下では、誰でも実践できる日常的な防犯対策について解説します。
留守時の注意点
短時間の外出でも必ず戸締まりをする
「ちょっとそこまで」という短時間の外出時でも、確実な戸締まりを心がけることが重要です。空き巣被害の中には、わずか数分の隙を狙って侵入されるケースも少なくありません。特に、窓やベランダ、勝手口など、普段使用しない出入り口の施錠確認は見落としがちですので、外出時のチェックリストを作成するなどの工夫も効果的です。
合鍵は分かりやすい場所に置かない
玄関マットの下や植木鉢の中など、一般的によく知られている場所に合鍵を隠すことは避けましょう。これらの場所は空き巣も真っ先にチェックする定番スポットです。合鍵が必要な場合は、信頼できる近所の方に預けるか、スマートキーボックスなどの専用の保管器具を利用することをおすすめします。
旅行中の写真を当日にSNSへ投稿しない
SNSでの情報発信は、思わぬところで犯罪者に留守情報を与えてしまう可能性があります。特に、旅行中の写真をリアルタイムで投稿することは、家が留守であることを公開するようなものです。投稿は帰宅後にまとめて行うなど、情報の発信タイミングには十分な注意が必要です。
近隣との関係づくり
地域コミュニティとの良好な関係は、効果的な防犯対策のひとつです。日頃から近所の方々と挨拶を交わし、コミュニケーションを取ることで、不審者の発見や情報共有がスムーズになります。また、長期の留守時には新聞や郵便物の収集を依頼するなど、お互いに助け合える関係を築いておくことが大切です。
不審者対策の基本
不審者を見かけた際は、必要以上に刺激せず、安全な場所から警察や警備会社に通報することが基本です。また、日頃から近隣で発生した不審者情報などを共有し合える関係を築いておくことで、地域全体の防犯力を高めることができます。特に子どもがいる家庭では、防犯ブザーの携帯や、地域の見守り活動への参加なども検討しましょう。




