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賃貸物件をスマートホーム化する際のポイントを解説。生活はどう変わる?

 

賃貸物件をスマートホーム化する需要が高まっています。

今回は、賃貸物件で注目されているスマートホーム機器や、賃貸物件をスマートホーム化する際に気をつけたいポイントを紹介します。また、スマートホーム化による生活の変化、スマートホーム化する手順などについても解説します。

賃貸物件でのスマートホーム需要が高まっている

自己所有の物件だけではなく、賃貸物件でもスマートホームの需要が高まっています。

賃貸物件でスマートホームの需要が高まっている理由や、どのようなスマートホーム機器に関心が持たれているかを解説します。

一人暮らしが増えてセキュリティーに関心が向いている

下記のグラフは、総務省統計局が公表している「令和2年度国勢調査」の結果です。

一人暮らしの世帯が全世帯の約4割を占めており、2,115万1,000世帯と最も多くなっています。

総務省統計局「令和2年度国勢調査」より

2015年との比較では、2人以下の世帯は増加しているのに対して3人以上の世帯はいずれも減少しています。

一人暮らしで気になるのはやはりセキュリティーでしょう。また、一人暮らしでペットを飼っていると、留守にしている間のペットの様子も気になります。

アンケート結果でもセキュリティーが上位に

下記の表は、全国賃貸住宅新聞が2020年10月17日に発表した「この設備があれば周辺相場より家賃が高くても入居が決まるランキング」です。

全国賃貸住宅新聞「この設備があれば周辺相場より家賃が高くても入居が決まるランキング」より

全国賃貸住宅新聞が全国の不動産会社355社にアンケートを行い集計した同社の独自企画の結果です。

「インターネット無料」が単身者向けでもファミリー向けでもトップになっています。

両タイプで注目したいのは、「エントランスのオートロック」です。単身者向けでは2位に上昇し、ファミリータイプでは順位を下げたものの3位をキープしています。

単身者向けでは「防犯カメラ」が7位、ファミリー向けでは「ホームセキュリティー」が8位となっています。このように、単身者・ファミリーともに防犯に関心が集まっていることがわかります。

WEBカメラやスマートロックに多く出費

スタイルアクトが首都圏の賃貸入居者に対して行ったアンケート「首都圏の賃貸物件居住者スマートホームニーズ調査結果」でも、入居者がスマートホーム化に高い関心を持っていることがわかります。

同調査では、下記のスマートホーム機器について、家賃と支払額、利用意向などの調査を行っています。

  • ガス栓操作
  • エアコン操作
  • お風呂操作
  • 炊飯器操作
  • 掃除機操作
  • オート照明
  • WEBカメラ
  • スマートロック
  • 玄関人感センサー
スタイルアクト「首都圏の賃貸物件居住者スマートホームニーズ調査結果」より

こちらのグラフでは、上記のスマートホーム機器に58%の方が追加コストを負担しており、賃料水準が増えるほど追加コストが増加していることがわかります。また、追加コストの平均は5,844円です。

スタイルアクト「首都圏の賃貸物件居住者スマートホームニーズ調査結果」より

こちらの調査結果では、ガス栓操作、エアコン操作、玄関人感センサーに対して利用意向が高く、スマートロックとWEBカメラに対しての追加負担が多いことがわかります。

スタイルアクト「首都圏の賃貸物件居住者スマートホームニーズ調査結果」より

上記は、WEBカメラの属性別の平均支払額と利用者意向の調査結果です。

ペットや子どもがいるとWEBカメラの利用意向が高く、WEBカメラがペットや子どもの見守りに利用されていることがうかがわれます。

賃貸物件をスマートホーム化、その影響・効果とは

賃貸住宅において需要が高まっているスマートホームですが、導入することでどのような影響があるのでしょうか。

賃貸物件のスマートホーム化で差別化して有利に賃貸経営

紹介したように、スマートホーム化によって生活の利便性や生活の質が高まり、防犯にも役立ちます。安全・安心に暮らせるため、一人暮らしを始める女性やファミリーに向けてもスマートホーム化された物件は魅力のある物件となります。

しかもスマートホームを導入するために大規模な工事は不要で、既存の物件でもスマートホーム化が可能です。

スマートホーム化された賃貸物件は、ほかの物件との差別化になります。さらに、防犯性を向上させてトラブルを未然に防ぐことで、長期的に物件の価値を維持できるでしょう。

スマートホーム化で賃料アップを見込める?

では、賃貸物件をスマートホーム化することで、具体的に賃料などには影響があるのでしょうか。

少し前の調査となりますが、アパート建築大手のレオパレスが、2018年「若手社会人のひとり暮らし」に関する意識・実態調査を行い、結果を発表しています。これは、全国のひとり暮らしをしている入社5年目までの社会人男女計600名を対象に行ったインターネット調査をまとめたものです。

「IoT化された賃貸住宅に住んでみたいと思いますか?」という質問では、「ぜひ住みたい」「住みたい」と答えた割合は、45%以上にも上っています。

続いて「IoT化された賃貸住宅に住むことができるなら、現在の家賃にプラスいくら払ってもよいと思いますか?」という質問では、最も割合が高かったのは1,000円以下(22.8%)でしたが、次いで5,000円(22.4%)、3,000円(21.7%)という結果でした。

関東首都圏のワンルーム平均賃料が7万円程度といわれている中では、5,000円賃料が上がれば7%以上賃料が上昇します。

また、当社が提供している「SpaceCore」を導入した物件で調査をしたところ、周辺の平均相場と比べて家賃が平均24%上昇しました。最大で4割上昇した物件もあります。賃貸住宅をスマートホーム化することで、利回りや賃料収入にも影響があるかもしれません。

入居者自らが住まいをスマートホーム化する際のポイント

一方で、入居者が主導となって住まいをスマートホーム化することは可能なのでしょうか。

入居者が、賃貸物件をスマートホーム化するにあたって注意しておきたいことや最低限準備しておきたいものなど、スマートホーム化のポイントを解説します。

自分の部屋をスマートホーム化すれば、スマートフォンや音声でエアコンや照明器具、テレビやオーディオなどを操作できるようになり、自分の部屋にいるときだけでなく外出先からでも操作できるようになります。

スマートホームは持ち家でなければできないように思われがちです。しかし、多くのスマート家電は工事も不要で簡単に設置や導入ができるため、賃貸物件でも可能です。

工事をするなら許可が必要

スマートホーム機器の導入には、既存の家電をそのまま利用してスマートホーム化するものや、工事が必要なサービスもあります。

工事不要のものは、導入がしやすいことがメリットです。一方で、工事が必要なサービスは、配線やデザインがきれいだったり、本格的なスマートホームサービスが利用できたりと、より生活の利便性を向上させたい人におすすめです。

また、スマートホームはインターネット環境が必要なため、部屋に光回線などが接続していなければ新たに光回線の工事が必要になります。

一般の住宅では、スマートホーム化するにはコンセントの数が足らないことが多くあります。そのため、場合によっては電気工事が必要になることがあります。

工事をするときは、家主や管理会社の承諾が必要なため注意しましょう。

賃貸物件では、原則として原状回復義務があります。家主や管理会社の承諾を得る際に、行う工事についての同意と一緒に原状回復の必要があるのかも確認しておきましょう。

スマートホーム化によって賃貸物件の価値も上がるので、場合によっては原状回復の義務を免除される可能性もあります。

スマートホーム化する前に確認しておきたいこと

部屋をスマートホーム化するためには以下の3つは必須です。

  • スマートフォン
  • Wi-Fi
  • コンセント

スマートホーム化するためには、操作のためにスマートフォンのアプリを利用するケースがほとんどなので、スマートフォンが必要です。

また、スマートフォンとスマート家電との接続にはWi-Fiを利用します。ルーターやハブが必要になるので準備しましょう。

スマート家電や既存の家電をスマート化するための機器には、電源が必要です。導入する機器の数だけコンセントが必要になるので注意しておきましょう。

スマートホームの活用例

自分の部屋をスマートホーム化すると、いろいろと便利で快適な生活が送れます。

照明やエアコンなどのスイッチのON-OFFや照明の明るさ・色調の調整、エアコンの温度設定などの調整をスマートフォンや音声で操作できるようになります。テレビやオーディオの設定も可能で、お気に入りのコンテンツを時間やムードにあわせてあらかじめ設定した条件で再生することが可能です。

これらのスマート家電の操作は自分の部屋だけではなく、外出先からも操作が可能です。

そのため、照明などのスイッチを切ったか気になったときでも外出先から確認でき、その場でON-OFF操作ができるので省エネに役立ちます。また、出張や旅行中でも自分の部屋の照明をつければ留守だとわからないため、防犯にも役立ちます。

外出先からスマート家電を操作できる利便性は、オーディオ機器でも実感できます。たとえば、録画していた動画や音楽を外出先からでも見られたり、録画予約をし忘れていたテレビ番組があっても外出先から録画予約ができたりします。

設定した温度や湿度になればスイッチが自動で入るようにできるので、スマートホームで体調管理も可能です。目覚まし時計の代わりにスピーカーからお気に入りの音楽を流してくれたり、帰宅する途中でお湯はりをスタートさせておいたりできるので、スマートホームによって生活の質を向上させられるでしょう。

また、留守番をさせているペットの様子の見守りやスピーカー機能がついているスマートカメラがあれば、外出先からペットに話しかけることができます。スマートロックを設置しておけば、両手が荷物でふさがっていてもドアの前に立てば自動で解錠してくれるので安心です。もちろん外出先からドアロックの施錠を確認できますし、ロックの解除も可能です。ロック解除が外出先からできれば、友達が不意に訪ねてきたときにもロック解除をして部屋の中で待っていてもらえます。

スマートホーム化の手順

スマートホーム化するために最初に導入を検討したいのは、スマートリモコンです。

スマートリモコンがあれば、赤外線リモコンで操作するいまある家電をスマートフォンで操作できるようになります。スマートリモコンにすれば、スマートフォンひとつで部屋の家電を操作できるため、リモコンの管理に困ることはありません。

次に、スマートスピーカーがあれば家電の音声操作が可能になります。スマートスピーカーがあれば、リモコンも不要です。炊事や掃除などで手が離せなくても、照明のON-OFFが声をかけるだけで操作できます。見たいテレビ番組があるときにもそのまま「テレビをつけて」というだけでテレビがつくので、作業を中断させる必要がありません。

電源のON-OFFがボタン操作による機器なら、リモコンがなくてもスマート化できる指型ロボットやコンセントがON-OFFスイッチになるプラグもあります。これらの機器を利用すれば、いまある家電をそのままスマート化できて、新しくスマート家電を買ったりお金をかけたりする必要もありません。

その他必要に応じて、スマートロックやスマートカメラなど目的に合ったスマートホーム機器を導入しましょう。

自宅のスマートホーム化で悩んだり困ったりしたときは、スマートホームメーカーに相談してみましょう。スマートホームメーカーは、いろいろなスマートホーム家電を扱っているので、きっと最適なスマートホーム化の方法を提案してくれます。