スマートホームにおける分電盤の役割とは。設置費用の相場や効果についても紹介


住まいをスマートホーム化する際に、エネルギー消費等の観点から専用の分電盤を設置することで、さらに快適にかつ経済的な生活を送ることができます。
スマートホーム専用の分電盤の役割や設置費用などについて解説します。
スマートホームにおける分電盤の役割
一般的に、各家庭の住宅には分電盤が設置されていますが、HEMSが導入されたスマートホームの場合は専用の分電盤が取り付けられます。専門の分電盤はどのような目的で設置され、何ができるようになるかについて紹介します。
そもそもHEMSとは
HEMSとはHome Energy Management Service(ホーム・ エネルギー・マネジメント・システム)の略称です。自宅で消費するエネルギーや太陽光パネルによる発電エネルギーを管理することが可能です。また毎月の電気代金の確認などもできるため、使いすぎなどに注意することが可能となる装置です。政府としても2030年にはすべての住宅にHEMSを設置することを目標としています。HMESは今後欠かせない設備となり、スマートホームには必要不可欠となることが想定されます。そのためHEMSを導入した際の専門の分電盤については理解しておく必要があります。
分電盤の役割とは
分電盤は以下の3つの役割を持った機器が設置されています。
- メインブレーカー
送られてきた電気を開閉する役割を果たします。万が一電流が逆流したり、漏電などになった場合、電気の流れを遮断してくれます。また電力を使いすぎる場合は停電という形で過電流を知らせてくれる役割もあります。
- 分岐ブレーカー
一定以上の電流を利用すると自動的に電気が止まる仕組みになっています。各ブレーカーには使える電力量が示されたアンペア数が記載されており、過電流遮断機あるいは漏電遮断機が設置されており、電気を使いすぎた場合は電力が遮断されるようになっています。
- 漏電遮断器
漏電が生じた時に自動的に電力を遮断するシステムのことです。分岐ブレーカーで設定されたアンペア数の電力の規定値を超えた場合、漏電してしまう可能性が高まり、火災や感電事故にも発展するリスクがあります。しかし漏電遮断器があれば、漏電を検知しブレーカーが落ちるような仕組みとなっています。
スマートホームの分電盤とは
スマートホームの分電盤には無線アダプタが搭載されており、HEMSと連動して毎月の電気使用量などが見える化できます。通常の分電盤では先程紹介した3つの役割のみとなりますが、スマートホームの分電盤であれば消費エネルギー量と発電エネルギー量を確認することが可能なため、省エネ意識を高めることにもつながります。
近年ではウクライナ情勢などによってエネルギー不足が懸念され、電気料金が高騰しています。しかしスマートホームの分電盤を設置すれば、毎月いくらの電気代になるかがわかるため、使いすぎた時は節電することもできます。また水平脱着できるメーカー商品も多いため、従来の分電盤より自由に設置することができます。いわば天井などにも設置することもできるということです。
分電盤設置には工事が必要?費用や相場を解説
分電盤の設置には工事が必要です。どれくらいの費用がかかるのでしょうか。ここでは費用相場について紹介します。
費用は30万円前後
例としてPanasonicの商品を設置することを想定した場合、おおよそ30万円前後になります。取り付ける機器は「HEMSの中核機器AiSEG(アイセグ)」「スマートコスモ コンパクト21 HEMS対応住宅分電盤」「モニター」の3つです。
商品ラインアップ | HEMS | Panasonicを確認すると、新築住宅で設置する場合のケースは以下の表のとおりです。
| 通常の場合 | 太陽光発電対応も含む |
|---|---|
| AiSEG(MKN700)希望小売価格40,000円(税抜)スマートコスモ(AiSEG通信型)14+3回路(BHN85143)希望小売価格87,400円(税抜)住まいるサポE型(WQH700WK)希望小売価格96,000円(税抜) | AiSEG(MKN700)希望小売価格40,000円(税抜)スマートコスモ(太陽光発電対応)28+2回路(BHN85282J)希望小売価格127,500円(税抜)住まいるサポE型(WQH700WK)希望小売価格96,000円(税抜) |
| 22万3,400円 | 26万3,500円 |
さらに上記の価格に加えて、工事費用が加算されるため、30万円前後になります。もちろん依頼する工事会社によって異なるため、上記の価格は目安としておきましょう。また太陽光発電を設置する場合、100万円前後の費用が追加でかかる可能性があるため、事前に見積もりを取ってから依頼することをおすすめします。
オプション機器は別途
またHEMSと分電盤を設置する以外にも、温湿度センサーや電動窓シャッター、天井埋め込み型空気清浄機などもPanasonicではオプションとして設置することができます。HEMSがあれば、部屋の温度や湿度などを検知し、快適な生活が送れるように温度調整や空気循環なども行ってくれます。
工事を依頼する際は複数社に相見積もりする
分電盤の設置を依頼するとなると、HEMSの導入やモニターの設置なども必要となり、30万円近い工事費となることから、2社3社相見積もりをすることをおすすめします。また設置する機器もメーカーによって仕様が異なるため、専門業者に相談してから依頼することが大切です。メーカーによって利用できる範囲なども異なるため、価格だけで選ぶのではなく、各社の特徴を比較してから検討しましょう。
スマートホームならエネルギー消費を抑えられる

スマートホーム環境であれば、さらにエネルギー消費を抑えることが可能となります。なぜ消費を抑えることができるのかについても紹介しましょう。
エネルギーの見える化
エネルギーの見える化ができることで、毎月の電気代金を確認することが可能なため、使いすぎに注意する意識を持つことが可能です。普段生活している人は、毎月どれくらいの電気を使っているかは電気代の請求が届かないとわからないものです。さらに口座引き落としやクレジットカード払いにしている方は、いくらの電気代を支払っているかわからない人も多いのではないでしょうか。
しかし近年電気代が高騰しており、高い人では10万円近くになったという家庭もあります。さらにネット時代や家電製品の製品の向上などの背景から、家庭で使用する電気量も増え、1人当たりが消費する電気量も年々増加傾向にあります。しかし見える化できていれば、節電意識を高められ、消費電力を抑えることにつながります。
スマート家電を活用して節電する方法についてはこちらで詳しく紹介しています。
関連記事:高い電気代を抑えるには?節電方法とスマート家電について
スマートホームはさらに利便性が高い
スマートホームはエネルギーの見える化だけでなく、IoT化すれば、より利便性の高い住宅にすることが可能です。たとえばスマホ一台で家の温度を一定にしてヒートショック現象を防いだり、換気による空気循環なども行えます。さらにエアコンや照明を遠隔操作できたり、鍵の施錠などもスマホで行うことが可能です。
外出先でも操作ができるため、帰宅時間に合わせて家電を操作しておくこともできます。また太陽光発電も行っておけば蓄電も可能となり、災害時の停電時などにも備えておくこともできます。政府も首都直下型地震や南海トラフ地震の発生率が7割以上あると発表しているため、事前にスマートホームにして災害対策をしておく方も増えてきています。



