アパートの空室が埋まらない原因と対策|今すぐできる改善策を解説

アパートの空室が埋まらない原因と対策
アパートの空室が埋まらない原因と対策

アパートの空室が長期化すると、収益は大きく圧迫されるため、早期に対策を講じることが重要です。

空室が埋まらない3つの主要原因から、今すぐ実践できる低コスト対策、さらにスマートホームを活用した管理業務の効率化と付加価値提供について解説します。

アパートの空室が埋まらないのはなぜ?確認すべき3つの原因

アパート経営において空室の長期化は、オーナーの収益を直接的に圧迫する深刻な課題です。総務省の「令和5年住宅・土地統計調査」によると、賃貸用の空き家は全国で443万戸に達しており、賃貸住宅市場全体で見ると一定の空室が常態化している状況です。

ただし、日本賃貸住宅管理協会が2024年に発表した「賃貸住宅市場景況感調査」では、委託管理の平均入居率は全国で94.2%となっており、適切な対策を講じれば十分に改善可能な水準であることも分かります。

では、空室が埋まらない原因にはどういったものがあるのでしょうか。

周辺の家賃相場と比べて条件が合っていない

空室が長期化する最も基本的な原因は、物件の条件が市場ニーズと乖離していることです。特に家賃設定は入居者の意思決定に最も大きな影響を与える要素であり、周辺相場との比較検討は避けられません。

家賃・共益費・初期費用が相場より高くないか

入居者は複数の物件を比較検討する際、まず家賃と初期費用の総額を確認します。また、家賃が適正でも敷金・礼金・仲介手数料などの初期費用が高額だと、入居のハードルが上がってしまいます。

不動産ポータルサイトで周辺の類似物件を検索し、家賃帯や初期費用の設定を比較することで、自身の物件の市場における立ち位置を客観的に把握できます。特に築年数が経過した物件の場合、新築時の家賃設定をそのまま維持していると、市場から取り残されるリスクがあります。

築年数・間取り・立地とのバランスは取れているか

家賃は単独で決まるものではなく、築年数、間取り、駅からの距離、周辺環境などの複合的な要素とのバランスで評価されます。例えば築30年の1Kアパートが駅徒歩15分の立地にある場合、いくら室内がきれいでも、新築マンションと同じような家賃設定では入居者を獲得しにくくなります。

設備・内装が入居者ニーズに合っていない

現代の賃貸住宅市場では、設備の充実度が入居率に直結します。全国賃貸住宅新聞が2025年に発表した「入居者に人気の設備ランキング」では、入居者が重視する設備が明確に示されています。

インターネット無料・宅配ボックスなどの人気設備

「この設備があれば周辺相場より家賃が高くても入居が決まる」という付加価値設備のランキングにおいて、単身者向けでは1位・ファミリー向けでは2位が「高速インターネット(1Gbps以上)無料」でした。

インターネット無料は、リモートワークの普及や動画視聴の増加により、もはや生活必需品となっています。

また、ネット通販の普及により「宅配ボックス」も急速にニーズが高まっている設備です。特に単身者や共働き世帯では、不在時でも安全に荷物を受け取れる環境が強く求められています。

古さが目立つ内装・水回りが敬遠されていないか

設備以前の問題として、内装や水回りの古さが入居を阻害しているケースも少なくありません。特に和室やバランス釜、3点ユニットバスは入居者から敬遠される傾向にあります。

内見時の第一印象は入居の意思決定に大きく影響します。クロスの黄ばみ、床の傷、カビの発生などが目立つ状態では、いくら家賃を下げても成約につながりにくくなる傾向があります。

管理会社・仲介会社の客付け力が弱い

物件そのものに問題がなくても、募集活動が適切に行われていなければ空室は埋まりません。管理会社や仲介会社の営業力は、空室対策において極めて重要な要素です。

ポータルサイトの写真・募集条件は魅力的か

現代の部屋探しは、SUUMOやHOME’Sなどの不動産ポータルサイトから始まります。掲載されている写真が暗い、古い、枚数が少ないといった状態では、内見希望者を獲得することすらできません。

物件の魅力を最大限に伝えるためには、明るい時間帯に撮影した高画質の写真を10枚以上掲載することが理想的です。室内だけでなく、共用部の清潔さや周辺環境の利便性が分かる写真も含めると、入居希望者の具体的なイメージが膨らみます。

また、募集条件の記載内容も重要です。「ペット相談可」「楽器相談可」「高齢者相談可」など、柔軟な対応ができることを明記すれば、ターゲット層を広げることができます。

内見対応や営業姿勢に問題はないか

ポータルサイトで興味を持った入居希望者が内見を申し込んでも、管理会社の対応が遅い、内見時の案内が雑、質問に適切に答えられないといった状況では、成約率は大きく低下します。

特に繁忙期である1月〜3月は多くの入居希望者が物件を探しており、対応スピードが成約を左右します。問い合わせから内見までのリードタイムが短く、丁寧な対応ができる管理会社を選ぶことが重要です。

アパートの空室を埋めるために今すぐできる対策

空室の原因が把握できたら、次は具体的な対策を講じる段階です。大規模なリフォームには多額の費用がかかりますが、工夫次第で低コストから始められる対策も数多く存在します。まずは投資額を抑えながら効果が期待できる施策から着手することをお勧めします。

初期費用を見直して入居のハードルを下げる

賃貸物件への入居を躊躇する最大の理由の一つが、高額な初期費用です。敷金・礼金・仲介手数料・前家賃などを合計すると、物件にもよりますが、家賃の4〜5カ月分に達することも珍しくありません。この初期費用を見直すだけで、入居のハードルを大きく下げることができます。

敷金・礼金ゼロ、フリーレントの導入

「敷金・礼金ゼロ」は入居希望者にとって非常に魅力的な条件です。特に若年層や転勤族など、初期費用の負担を抑えたい層から高い支持を得られます。敷金については原状回復費用の担保という側面がありますが、退去時に実費精算とする契約形態にすれば、リスクを最小限に抑えられます。

また、「フリーレント1カ月」という条件も効果的です。入居後1カ月間の家賃を無料にすることで、実質的な初期費用を大幅に削減できます。家賃5万円の物件であれば年間家賃収入60万円のうち5万円(約8.3%)を譲歩することになりますが、空室が3カ月続けば15万円の損失ですから、早期に入居者を確保できれば十分にメリットがあります。

清掃・原状回復の質を上げる

退去後の清掃やクリーニングが不十分だと、内見時の印象が悪くなり成約率が下がります。逆に、清掃を徹底するだけで物件の印象は大きく変わります。

第一印象で差がつく共用部・室内チェックポイント

内見者が最初に目にするのは、エントランスや階段などの共用部です。ゴミが散乱している、蜘蛛の巣が張っている、郵便受けが錆びているといった状態では、管理が行き届いていない印象を与えてしまいます。共用部の清掃は週1回程度の頻度で実施し、常に清潔な状態を保つことが重要です。

室内については、特に水回りの清掃が重要です。キッチンのシンク、浴室、洗面台、トイレは入居者が最も気にする部分であり、カビや水垢が残っていると致命的です。プロのハウスクリーニングを依頼する場合でも、作業内容を事前に確認し、水回りの清掃を重点的に行ってもらうよう依頼しましょう。

また、照明を明るいLEDに交換する、カーテンレールを設置しておく、といった小さな配慮も内見時の印象向上につながります。

募集条件を柔軟にしてターゲットを広げる

従来の「単身者限定」「ペット不可」「高齢者不可」といった制限を見直すことで、潜在的な入居希望者の母数を増やすことができます。

ペット可・外国人可・高齢者相談可のメリットと注意点

コロナ禍を契機にペット需要が高まっており、ペット可物件を探している入居希望者は増加しています。しかし、ペット可物件の供給は依然として十分とはいえず、需要と供給のギャップが生じています。

ペット可とする場合は、敷金を1〜2カ月分追加する、退去時の原状回復費用を明確にするなどの対策を講じることで、オーナー側のリスクを軽減できます。また、小型犬・猫のみに限定する、多頭飼育は不可とするなど、一定のルールを設けることも有効です。

外国人入居者については、言語の壁や文化の違いによるトラブルを懸念する声もありますが、適切な対応を行えば優良な入居者となるケースも多くあります。日本語でのコミュニケーションが可能か、緊急連絡先を確保できるかなど、基本的な確認を行うことが重要です。

高齢者の入居についても、孤独死のリスクなどを理由に断るケースが見られますが、見守りサービスの導入や緊急連絡先の設定により、リスクを管理しながら受け入れることが可能です。

スマートホーム・IoT技術で実現する次世代の空室対策

スマートホーム活用による空室対策イメージ

低コストの対策や設備投資に加えて、近年注目を集めているのがスマートホーム技術やIoTデバイスの活用です。入居者の利便性を高めるだけでなく、オーナーの管理業務を効率化し、物件の付加価値を大きく向上させることが期待できます。

遠隔管理システムによる管理コストの削減

従来の賃貸管理では、物件の状況確認や設備の不具合対応のために、管理会社の担当者が現地を訪問する必要がありました。しかし、IoTセンサーやスマートロック、ネットワークカメラなどを導入することで、遠隔地からでもリアルタイムに物件の状況を把握できるようになります。

空室期間中の物件管理を効率化

特に空室期間中の管理において、IoT技術は大きな効果を発揮します。温湿度センサーを設置すれば室内環境を常時モニタリングでき、カビの発生や設備の故障を早期に発見できます。また、スマートロックを導入すれば、内見希望者への鍵の受け渡しが不要になり、セルフ内見システムとの組み合わせで24時間いつでも物件を見学できる環境を構築できます。

スマートホーム設備による入居者の利便性向上

IoT技術は管理業務の効率化だけでなく、入居者にとっての付加価値向上にも貢献します。スマートホーム設備を導入した物件は、周辺の競合物件との差別化ポイントとなり、家賃アップの余地を生み出します。

生活の質を高めるIoTデバイス

スマートスピーカーと連携した照明・エアコンの音声操作、スマートフォンで外出先から操作できる家電制御、宅配ボックスの荷物到着通知など、IoTデバイスは日常生活の利便性を大きく向上させます。

また、電力使用量の見える化や最適な空調制御により、光熱費の削減につながる点も入居者にとってメリットです。環境意識の高い入居者層にアピールできる要素となります。

セキュリティ強化で安心感を提供

スマートロックによる入退室履歴の記録、ネットワークカメラによる共用部の監視、異常検知センサーによる火災やガス漏れの早期発見など、IoT技術はセキュリティ面でも大きな効果を発揮します。特に女性の単身者や高齢者など、防犯・安全性を重視する層からの支持を得やすくなります。

不動産業界のDX(デジタルトランスフォーメーション)は今後ますます加速していきます。早期にこうしたテクノロジーを取り入れ、物件の競争力を高めることが、長期的な空室リスクの低減につながるでしょう。