高利回り物件のメリットとリスクを紹介。物件選びのチェックポイントとは

高利回り物件のメリットとリスクを紹介。物件選びのチェックポイントとは
高利回り物件のメリットとリスクを紹介。物件選びのチェックポイントとは

不動産投資を検討する際、多くの投資家が注目するのが「利回り」という指標です。特に高利回り物件は、初期投資に対する収益性の高さから魅力的に映るでしょう。しかし、数字だけで判断すると思わぬ落とし穴にはまる可能性があります。

高利回り物件の特徴やメリット、そして見落としがちなリスクについて詳しく解説します。物件選びの際に確認すべきポイントを押さえることで、より安全で収益性の高い不動産投資を実現しましょう。

高利回り物件とは?

不動産投資において「高利回り物件」という言葉を耳にする機会は多いものの、その定義や背景を正確に理解している投資家は意外と少ないかもしれません。まずは利回りの基本的な考え方と、高利回り物件が市場に出てくる背景について理解を深めていきましょう。

利回りとは。表面利回り・実質利回りの違い

不動産投資における利回りは、物件価格に対する年間の運用収益の割合を示す指標です。利回りには主に「表面利回り」と「実質利回り」の2種類があります。

表面利回り(グロス利回り)は、年間家賃収入を物件価格で割って算出する最もシンプルな指標で、不動産会社の広告に掲載されている利回りの多くはこの表面利回りです。計算式は「(年間家賃収入÷物件価格)×100」となります。

一方、実質利回り(ネット利回り)は、管理費や固定資産税、修繕費などの経費を考慮した、より実態に近い利回りです。計算式は「((年間家賃収入-年間経費)÷(物件価格+購入時諸経費))×100」で表されます。表面利回りが10%であっても、実質利回りは7%程度になることも珍しくありません。投資判断を行う際は、必ず実質利回りを確認し、実際の収益性を見極めることが重要です。

高利回りの目安・基準はどこにあるか

「収益物件 市場動向マンスリーレポート 」2025 年10 月期より

高利回りの基準は、物件タイプやエリアによって大きく異なります。不動産投資と収益物件の情報サイト 健美家( けんびや )「収益物件 市場動向マンスリーレポート 」2025 年10月期によると、2024年10月時点での全国平均は、一棟アパートが8.00%、一棟マンションが7.48%、区分マンションが6.58%となっています。

東京23区の区分マンションでは表面利回り4~6%が平均的とされており、平均相場に1~2%を足した水準が理想的な利回りとされています。したがって、都心の区分マンションであれば6~7%以上、地方の一棟アパートであれば10%以上が高利回り物件の目安といえるでしょう。ただし、利回りが高すぎる物件には何らかのリスクが潜んでいる可能性があるため、慎重な見極めが必要です。

高利回り物件はどう生まれるのか

高利回り物件が市場に出てくる背景には、いくつかの条件があります。最も代表的なのが築年数の古さです。築30年以上の築古物件は、物件価格が大幅に下がる一方で、家賃の下落率は緩やかなため、結果として高い利回りを実現しています。

また、地方・郊外物件も高利回りになりやすい傾向があります。健美家の先述データによれば、信州・北陸地方の一棟アパートは利回り13.57%と全国で最も高く、首都圏の7.13%と比較して6%以上の差があります。

建物構造も利回りに影響を与えます。木造アパートは鉄筋コンクリート造と比べて建築コストが低いため、物件価格を抑えられ、結果として利回りが高くなります。

これらからもわかるように、高利回りな物件の特徴は同時にリスク要因でもあることを忘れてはいけません。築古物件は修繕費がかさみやすく、地方物件は空室リスクが高く、木造物件は耐用年数が短いという課題を抱えています。

利回りを高める物件の特徴や要素

不動産投資セミナーのチラシ

利回りは物件の持つリスクと、収益性のバランスと説明しましたが、それ以外にも利回りを高めるポイントがあります。利回りを高める物件の特徴や要素を解説します。

立地・エリア(都心 vs 地方、市況変化)

立地とエリアは利回りに大きな影響を与える要素です。一般財団法人日本不動産研究所の「第52回不動産投資家調査(2025年4月現在)」によると、東京・城南エリアのワンルームタイプの平均期待利回りは3.7%である一方、札幌や仙台では5%を超える水準となっています。この差は主に物件価格の違いによるものです。地方では物件取得コストが低いため、高い利回りになります。

一方で、地方物件には人口減少による賃貸需要の縮小というリスクが伴います。特に地方都市では、高齢化と若年層の流出により、長期的な空室リスクが高まる傾向があります。都心部は物件価格が高く利回りは低いものの、賃貸需要が安定しており、資産価値も維持されやすい傾向にあります。

築年数・建物構造・間取り

築年数は利回りに直接影響を与えます。築10年未満の平均利回りと、築20年以上では2%ほど差が生まれることも珍しくありません。これは、築年数が経過するほど物件価格が下落する一方で、家賃の下落率は比較的緩やかであるためです。ただし、築古物件は修繕費用が増加するため、表面利回りだけで判断することは危険です。

建物構造も利回りに影響します。木造アパートは建築コストが低く、減価償却期間も短いため、高利回りを実現しやすい反面、耐用年数が短く、修繕費用も比較的早期に発生します。

鉄筋コンクリート造は初期投資は高いものの、耐久性が高く、長期的な資産価値を維持しやすいという特徴があります。また、物件タイプによっても利回りは異なり、一棟アパートは管理の手間がかかる分、区分マンションより高い利回りを期待できる傾向にあります。

設備投資・リフォームなどにより物件の利回りを高める

高利回り物件の多くは、物件価格(購入する費用)の安さによって成り立っています。

もう1つ、賃料設定も重要な要素です。周辺相場よりも高い家賃で満室となっている場合、なども高利回り物件です。また、適切なリフォームによって賃料を引き上げられる余地がある物件は、利回り改善の可能性を秘めています。

利回りを高める入居者設備

入居者のニーズに合った設備を導入することで、空室期間を短縮し、周辺相場より高い賃料設定が可能になります。代表的なのが水回りのリノベーションです。築古物件でも、キッチンやバスルーム、トイレを新しくすることで、入居者の印象は大きく変わります。

特に3点ユニットバスを独立洗面台とセパレートタイプに変更するリフォームは、ファミリー層や女性入居者から高い評価を得られ、家賃を1〜2割程度引き上げられるケースもあります。

インターネット無料サービスの導入も効果的です。最近の入居者、特に若年層にとって、インターネット環境は必須条件となっています。月々数千円のコストで導入でき、空室期間を大幅に短縮できるため、費用対効果の高い投資といえます。また、宅配ボックスの設置も人気が高く、特に単身者向け物件では大きな差別化要素となります。初期投資は10万円程度からと比較的手頃で、入居率向上に直結します。

リフォーム・リノベーションによる付加価値創出

内装のリフォームは、費用対効果を慎重に見極める必要があります。フルリノベーションには数百万円かかることもありますが、ポイントを絞った部分的なリフォームでも大きな効果が得られます。例えば、壁紙の張り替えとフローリングの交換だけでも、物件の印象は大きく変わります。特に、古い和室を洋室に変更することで、若年層の入居ニーズに対応でき、賃料の維持や向上につながります。

照明のLED化や高効率給湯器への交換など、省エネ設備の導入も有効です。これらは入居者の光熱費負担を軽減するため、物件の魅力を高めます。初期投資は必要ですが、環境意識の高い入居者層からの評価が高く、長期入居につながりやすいという利点があります。また、オーナー側でも共用部の光熱費削減につながり、経費の圧縮効果も期待できます。

スマートホーム・IoT設備が利回りに与える影響

近年、スマートホーム技術やIoT設備を導入することで、物件の付加価値を高め、結果として利回りを改善する事例が増えています。スマートロックは特に注目度が高く、鍵の受け渡しが不要になるため、内見や入退去の手続きが効率化されます。遠隔での解錠・施錠が可能なため、物件管理の手間も大幅に削減できます。入居者にとっても、スマートフォンで施錠管理ができる利便性は大きな魅力となります。

スマート照明やスマートスピーカーとの連携システムも、若年層やテクノロジーに関心の高い入居者層にとって、物件選択の重要な判断材料となります。これらの設備によって、家賃を周辺相場より月5,000〜10,000円程度高く設定できる可能性があります。年間で6〜12万円の収入増となれば、表面利回りで1〜2%程度の改善効果が期待できます。

ただし、IoT設備の導入には初期投資コストとメンテナンス費用が発生します。スマートロック一式で5〜15万円程度、その他のスマート設備を含めると、1室あたり20〜30万円程度の投資が必要になることもあります。投資回収期間を計算し、3〜5年程度で回収できる見込みがあるかを慎重に判断することが重要です。築古物件のリノベーションにおいて、スマート設備を導入することで、築年数のハンディキャップを補い、競争力を高める戦略は特に有効です。

高利回り物件のリスク・落とし穴

これまで紹介してきたように、高利回り物件には魅力的なメリットがある一方で、見落としがちなリスクも存在します。高利回り物件に潜む代表的なリスクについて、改めて詳しく解説します。

空室リスク・入居率低下の実態

高利回り物件の最大のリスクは空室リスクです。公益財団法人日本賃貸住宅管理協会の「第28回賃貸住宅市場景況感調査『管協短観』2023年4月〜2024年3月」によると、全国の平均入居率は94.2%、首都圏は95.6%、その他の地域では92.5%となっています。つまり、全国平均で約5〜8%の空室率が存在することになります。

特に地方物件や築古物件では、立地や建物の古さから入居者が集まりにくく、空室期間が長期化する傾向があります。空室が発生すると家賃収入がゼロになる一方で、ローン返済や固定資産税、管理費などの支出は続くため、キャッシュフローが急速に悪化します。また、空室が長引くことで物件の印象が悪くなり、さらに入居者が決まりにくくなるという悪循環に陥る可能性もあります。物件購入前には、過去の入居率の推移や周辺の賃貸需要を十分に調査することが不可欠です。

維持管理費・修繕費・大規模改修の負担

築古物件を中心とする高利回り物件では、修繕費用の負担が大きな課題となります。国土交通省の「民間賃貸住宅の計画修繕ガイドブック」によると、木造アパート(10戸・1K)の場合、築11年から15年目で約520万円、築21年から25年目で約800万円の修繕費用が見込まれます。主に外壁塗装や屋根の補修など、高所作業を伴う大規模修繕が含まれるためです。

鉄筋コンクリート造の場合も、同様の時期に大規模修繕が必要となります。区分マンションでは管理組合による計画的な修繕が行われますが、修繕積立金が不足している場合、一時金の徴収や積立金の値上げが発生することもあります。ワンルームマンションの場合、室内設備の修繕費用として毎月1万円程度を積み立てておくことが推奨されています。これらの費用を収支計画に適切に組み込んでおかないと、想定外の出費で収益性が大きく低下するリスクがあります。

売却・出口戦略の難易度と流動性の低さ

高利回り物件は、購入時は魅力的に見えても、売却が困難になるケースもあります。特に築古物件や地方物件は、買い手が限られるため、売却までに時間がかかったり、大幅な値下げを余儀なくされたりすることも珍しくありません。また、違法建築の疑いがある物件や、融資が付きにくい物件は、実質的に売却不可能な状況に陥ることもあります。

不動産投資では、購入から売却までを含めた総合的な収益性を考える必要があります。毎年高い家賃収入を得られても、売却時に大きな損失を出してしまっては、トータルでマイナスになる可能性があります。出口戦略を考える際は、物件の立地、築年数、建物の状態などを総合的に判断し、将来的に一定の需要が見込めるかどうかを慎重に検討する必要があります。特に地方物件の場合、人口動態や地域経済の将来予測も重要な判断材料となります。

表面利回りだけを見てしまう罠

高利回り物件の落とし穴として最も多いのが、表面利回りだけで投資判断をしてしまうことです。不動産会社の広告に掲載されている利回りは、多くの場合、満室を想定した表面利回りです。実際には、空室期間が発生したり、管理費や修繕費などの経費がかかったりするため、実質利回りは表面利回りを大きく下回ることがほとんどです。

例えば、表面利回り10%の物件でも、空室率が10%、年間経費が家賃収入の20%だとすると、実質利回りは約7%程度まで低下します。さらに、大規模修繕が必要な時期には、一時的に大きな支出が発生し、その年の利回りはマイナスになることもあります。投資判断を行う際は、必ず実質利回りを自分で計算し、さらに空室リスクや修繕費用を織り込んだ保守的なシミュレーションを行うことが重要です。相場より極端に高い利回りを提示されている場合は、何らかのリスク要因が隠れていないか、特に慎重に調査する必要があります。

高利回り物件選びのチェックポイント

高利回り物件での不動産投資を成功させるためには、購入前の入念な調査と分析が不可欠です。物件選びの際に確認すべき具体的なチェックポイントを紹介します。

立地・家賃相場・競合状況の確認方法

立地は不動産投資の成否を左右する最も重要な要素です。駅からの距離、周辺の商業施設や学校の有無、交通アクセスの利便性などを確認しましょう。また、将来的な再開発計画や人口動態の予測も重要な判断材料となります。地方物件の場合は特に、若年層の流出や高齢化による賃貸需要の減少リスクを慎重に評価する必要があります。

家賃相場の調査も欠かせません。不動産ポータルサイトや地元の不動産会社を通じて、同じエリアの類似物件の家賃水準を調べ、提示されている家賃が適正かどうかを判断します。周辺相場より高い家賃で満室になっている場合、退去後に家賃を下げざるを得ない可能性があります。競合状況も確認し、周辺に新築物件が多数建設されている場合や、空室の多い物件が目立つ場合は、将来的な賃貸需要の低下を示唆している可能性があります。

建物・設備・管理体制の確認ポイント

物件の現地調査は必ず実施しましょう。外壁のひび割れ、屋根の状態、雨漏りの痕跡、共用部の清掃状況など、建物の状態を細かくチェックします。特に築古物件では、水回りの配管や電気設備の老朽化にも注意が必要です。可能であれば、建築の専門家に同行してもらい、建物の構造的な問題がないか確認することをおすすめします。

設備の状態も重要です。給湯器、エアコン、インターホンなどの設備の製造年や稼働状況を確認し、近い将来交換が必要になりそうな設備がないかチェックします。区分マンションの場合は、管理組合の運営状況、修繕積立金の残高、過去の修繕履歴、今後の大規模修繕計画などを詳しく確認しましょう。管理体制が杜撰な物件は、将来的に大きな負担が発生するリスクがあります。

融資審査・金利・返済プランを含めた収支設計

不動産投資では、融資を活用するケースが多いため、金融機関の融資基準を事前に把握しておくことが重要です。築年数が古すぎる物件や、違法建築の疑いがある物件は、融資が受けられない可能性があります。また、物件の担保評価額や、投資家自身の属性(年収、勤続年数、他の借入状況など)も融資審査に影響します。

融資を受ける場合は、固定金利と変動金利のメリット・デメリットを理解し、自分のリスク許容度に合った選択をしましょう。変動金利は当初の金利が低い反面、将来的な金利上昇リスクがあります。収支設計では、家賃収入から経費(管理費、修繕費、固定資産税など)とローン返済額を差し引いた、手元に残るキャッシュフローを正確に計算します。空室率を5〜10%程度見込み、大規模修繕費用も織り込んだ保守的なシミュレーションを行うことで、リスクに備えることができます。

避けるべき物件の特徴

高利回り物件の中には、手を出すべきでない物件も存在します。相場よりも極端に安い物件には、必ず何らかの理由があります。事故物件、違法建築、境界未確定、土壌汚染の可能性など、重大な瑕疵が隠れている可能性があります。購入前に、重要事項説明書を詳しく確認し、不明な点は徹底的に質問しましょう。

人気の乏しいエリアの物件も避けるべきです。人口が急激に減少している地域や、主要産業の衰退により雇用が失われている地域では、長期的な賃貸需要を期待できません。また、表面利回りが20%を超えるような過剰な利回りを提示されている場合も、慎重になるべきです。これらの物件は、重大なリスクを抱えているか、実際には提示されている家賃では入居者がつかない可能性があります。相場感を身につけ、極端に条件の良すぎる物件には警戒心を持つことが重要です。