IoT機器でヘルスケア・体調管理も簡単に。デバイスの種類や活用法も解説

インターネットを介して様々な機器や設備と連動するIoT機器。人々の生活や製造現場、農業といった分野に加えて、ヘルスケアや健康管理においてもIoT活用が進んでいます。

IoT機器によるヘルスケアや体調管理の活用方法などを解説します。

IoT機器でヘルスケアが可能に

ITの進化によってIot機器でヘルスケアが可能となりました。IoTが普及したことにより、患者の健康状態をリアルタイムで管理できたり、より質の高いケアの提供ができます。IoTの概要とヘルスケアにもたらす影響について紹介します。

Iotとは

IoTとはInternet of Thing(インターネット・オブ・シングス)の略称で、モノをインターネットで繋ぐことを意味します。

たとえばスマートフォンを利用して、ユーザーの行動パターンを予測したり、スマホ1台であらゆる機器の操作が可能となります。

IoTの主な機能はデータの収集や収集したデータの転送、分析、アクション起動など様々で、あらゆる分野で活用が進んでいます。医療分野においては患者のデータや医療機器の操作、健康状態の管理およびアラートなど、使用用途は多岐に渡ります。ヘルスケア業界だけでなく、あらゆる分野で活躍しているシステムの一つです。

Iotがヘルスケア業界に及ぼす影響

IoTがヘルスケア業界にもたらす影響は多大です。さまざまな影響がありますが、以下の3点の効果が見込めます。

リモートで患者の管理ができる

従来は患者が医療機関に足を運ばなければ診察や治療を受けることができませんでしたが、IoTの導入によってリモートで患者の健康管理が可能となります。特に高齢者の方は、医療機関まで行くのが困難でした。そのため健康管理が疎かになってしまうケースも多かったのですが、リモートによって患者を監視することができるため、早期発見・早期治療ができるようになりました。

効率的にモニタリングができる

IoTデバイスを用いることで、患者の血圧や心拍数などをリアルタイムで読み取ることができます。従来の方法と比べて飛躍的に時短されるうえ、リモートによる監視も可能となりました。

自己管理力の向上

IoTヘルスケアが導入されたアプリが増えたため、自身の健康状態をスマホでチェックすることもできます。その結果自己管理力が向上し、体調がすぐれない時は病状の早期発見や診断などにもつながります。従来は、体調が悪いときは「寝れば大丈夫だろう」と考える人も多いですが、アプリでチェックすれば、どこかに異変が生じていることを早期に見つけることもできます。

IoTを使ったヘルスケアの活用例

IoTの導入によってヘルスケア業界は患者の状態管理がより見える化されたり、病院などでの活用も可能です。具体的にどのような利用方法があるのかについて、3つ紹介します。

患者の管理ができる

入院患者や介護施設の利用者に、IoT機器を導入した医療機器を使用することで、健康状態や状態変化のデータを取得することができます。これにより、患者の健康状態の変化に即座に対応することができます。

医療機器の遠隔モニタリング

大きな病院では、持ち運びできる医療機器を院内で誰が使用しているか不明という課題がありましたが、IoTデバイスであれば、どこで使用しているのかをセンサーで確認することができます。そのため、医療機器の稼働状況を即座に把握することが可能です。

ヘルスケアデータ収集

自身の健康状態は、IoTで管理することができ、ユーザーの血圧や脈拍、睡眠時間などのデータを収集することが可能です。スマホのアプリを通じて集めたり、今の健康状態を把握することもできます。また高齢者がいる家庭では、家族の方が健康状態を確認できるため、遠隔地に住んでいる方でも安心することが可能です。

医療業界におけるIoT技術についてはこちらで詳しく紹介しています。
関連記事:医療業界でのIoT活用を解説。IoTによって可能になる新しい医療とは

IoTヘルスケア機器・デバイスの種類

IoTヘルスケア機器やデバイスについて紹介します。

自宅で在宅カメラを利用したIoT機器

自宅にAIカメラ・スマートカメラを設置し、患者の方や高齢者の方の様子を確認することが可能です。AIが普段の生活をチェックしているため、異常があった時は、家族の方や医療機関の知らせが入る仕組みです。またスマートウォッチなどを使って、在宅でナースコールを押さえる機器もあります。

薬の飲み忘れ防止

大塚製薬とNECが共同開発する服薬支援容器は、服薬時間になるとスマホが点灯し、薬の飲み忘れを防いでくれます。医療機関から薬が渡されても、飲み忘れたり、飲むのをやめてしまう人もいらっしゃいます。しかし服薬支援容器は服薬状況をメモリー保存してくれる機能も兼ね備えているため、飲み忘れることがなくなります。

バンドで自己消費カロリーを管理する

腕にIoTデバイスが導入されたバンドを設置し、一日の消費カロリーや歩数、睡眠時間などを計測できます。健康状態を管理したい人や、ダイエットを始める人にとっては、数値が見えるかされるため、続けるモチベーションにもつながります。

高齢者の見守り機能

高齢者の方が一人暮らしをしていると、子どもにとってはいつなにかあるか不安に思います。そのため、離れて暮らす家族にメールが届くIoT機器も多いです。見守りカメラなどの他に、ポットなど普段から使用する家電の使用状況をグラフで確認し、異変があった時は家族に連絡が届きます。

高齢者を見守る製品についてはこちらで詳しく紹介しています。
関連記事:一人暮らしの老人・高齢者を見守る製品を紹介。スマートホームは生活もサポート

今後も拡大するIoTヘルスケアの市場

IoTヘルスケアの市場は、今後も大きく拡大することが予測されます。

市場規模は2024年に1,474億4,000万米ドルに

IoTの市場規模は、今後世界的にも増加するとされており、Mordor Intelligenceが発表した「ヘルスケアにおけるIoTの市場規模と市場規模株式分析 – 成長傾向と成長傾向予測 (2024 ~ 2029 年) 」を確認すると、以下の画像の通り2024年に1,474億4,000万米ドルと推定され、2029年までに3,480億3,000万米ドルに達すると予測されています。

さらに最も成長が早い市場は「アジア太平洋地域」とされており、日本でも大きな市場規模になることが予測されます。

遠隔医療

富士経済グループが発表した「遠隔医療関連、スマートウェアソリューションなど<br /> 医療・ヘルスケア分野におけるIoT関連の国内市場を調査 」を確認すると、IoTを使った遠隔医療やオンライン医療、画像解析ソリューションが以下の画像の通り、市場規模が大きくなると予測されています。

IoTデバイスを使うことで、診断データを一元管理することができ、共有することも可能です。その結果遠隔地でも診断ができるようになります。またオンラインで医療相談ができるため、新型コロナウイルス感染症などのウイルスが流行しても、病院に足を運ぶ必要がなくなりました。その結果、2025年には、約432億円の市場規模になることが想定されています。

今後もさらなる拡大

日本では人生100年時代ともいわれ、長生きされる方が増えています。一方で、高齢者施設などの社員確保が困難とされており、施設への入所費用も高額です。そのため、できるだけ自宅で健康な状態を維持していかなければいけません。

IoTヘルスケアの導入によって、自宅で健康状態を管理することができるうえ、医療機関とオンラインで相談することが可能となります。さらに家族の方にも異常があった時には通知が届くIoT機器も多いため、今後人々の生活には欠かせないデバイスとなっていくでしょう。