IoT家電が危険といわれる理由を解説。安全に利用するポイントも紹介


現代の住宅は、インターネットに接続された家電製品であふれています。これらのIoT(Internet of Things)デバイスは、生活を便利にする一方で、セキュリティのリスクも孕んでいます。
なぜこれらのスマート家電が危険視されるのか、その理由を詳しく解説します。
IoT家電が危険といわれる理由を解説
IoT家電とは、インターネットに接続された家電のことで、遠隔操作や自動化などの便利な機能を提供してくれます。
その反面、セキュリティの問題や個人情報の漏洩のリスクもあります。IoT家電は、私たちの生活をより便利で快適にする可能性がありますが、それと同時に危険なリスクも伴っているのです。
IoT家電を利用する際は、そのメリットとデメリットを理解し、適切な対策を行いましょう。
IoT家電のセキュリティの問題
IoT家電のセキュリティの問題には、以下のようなものがあります。
ソフトウェアの脆弱性
IoT家電に使われているソフトウェアの脆弱性が狙われることがあります。
たとえば、カメラやスピーカーなどのIoT家電が不正にアクセスされて、家の中の様子を盗撮、または盗聴される可能性があります。
アップデート・更新性
IoT家電は頻繁に買い替えるものではないため、新しい攻撃手法に対応できない可能性があります。また、メーカーがセキュリティアップデートを提供しない場合もあります。
家庭用Wi-Fiルーターの脆弱性
IoT家電をインターネットに接続するためには、家庭用Wi-Fiルーターが必要ですが、これもセキュリティの脆弱性がある場合があります。Wi-Fiルーターが乗っ取られると、IoT家電だけでなく、パソコンやスマホなどの他のデバイスも危険にさらされます。
IoT機器のセキュリティについてはこちらで詳しく紹介しています。
関連記事:IoT機器のセキュリティに問題はある?リスクや機器選びのポイントを解説
IoT家電の個人情報漏洩のリスク
IoT家電の個人情報漏洩のリスクとは、以下のようなものです。
- IoT家電は、使用者の生活習慣や好みなどの個人情報を収集し、インターネットに送信することがあります。
たとえば、冷蔵庫や調理機器などのIoT家電は、食事の内容や栄養状態などの情報を記録します。
- IoT家電のメーカーやサービス提供者は、収集した個人情報を分析などに利用することがあります。
たとえば、レシピや特売情報などの提案や広告を行います。
しかし、これらの情報が第三者に提供されたり、悪用されたりする可能性もあります。
- IoT家電の利用者は、個人情報の収集や利用についての同意や設定を行うことができますが、これらの操作は煩雑で分かりにくい場合があります。
また、同意や設定を変更することができない場合もあります。
IoT家電を安全に利用するための対策は?
IoT家電を安全に利用するためには、以下のような対策が必要です。
パスワードの管理・更新
IoT家電のパスワードは、強度の高いものに設定し、定期的に変更することが必要です。
また、他のサービスと同じパスワードは使わないことが重要です。
セキュリティのアップデート
IoT家電のセキュリティアップデートは、常に最新の状態に保つことが必要です。
メーカーやサービス提供者からのアップデートの通知や案内に従って、適切に行いましょう。
IoT家電の利用規約を確認する
IoT家電の個人情報の収集や利用については、同意や設定を確認し、必要に応じて変更することが必要です。また、個人情報の提供や共有については、利用規約を注意深く確認することが重要です。
信頼できるメーカー・サービスを選ぶ
IoT家電の購入や導入については、信頼性の高いメーカーやサービス提供者を選ぶことが必要です。また、セキュリティ面についても、十分に調べてから決めることが重要です。
IoT家電で起こった実際の事件はある?
ここでは、IoT家電で起こっている事件の傾向や具体的に発生した事件の紹介をします。
年間1億2,600万件のサイバー攻撃通信
少し古い資料ですが、2017年1月20日付の産経ニュースによると、2016年の1年間で約1億2,600件のサイバー攻撃通信が国内外に発信されていることが分かりました。
IoT機器の利用者が知らない間にサイバー犯罪者がIoT機器を乗っ取り、外部に攻撃を仕掛けていたものとみられています。
現在では、インターネットに接続する機器はパソコンだけでなく、テレビなど家電製品まで拡大しており、サイバー攻撃に利用されることが懸念されていましたが、今回の調査でその規模の大きさが明らかになりました。
出典:IoT製品乗っ取りサイバー攻撃1億2600万件…家電や通信機器から発信 昨年、前年の6倍に(1/3ページ) – 産経ニュース
これは、総務省所管の情報通信研究機構(NICT)による調査の結果です。
NICTは、情報通信分野を専門とする我が国唯一の公的研究機関で、情報通信技術の研究開発を基礎から応用まで統合的な視点で推進し、大学、産業界、自治体、国内外の研究機関などと連携して、研究開発成果を広く社会に還元し、イノベーションを創出することを目指している機関で、IoT機器の調査や利用者への注意喚起の取り組みも行っています。
出典:IoT機器調査及び利用者への注意喚起の取組「NOTICE」の実施 | NICT-情報通信研究機構
NICTの調査によると、2014年は約560件だったものが、2015年では約1,960万件と3.5倍に増加し、さらに2016年では6.4倍にのぼる約1億2,600件にまで達しているとのことです。
マルウェアに感染による攻撃
2016年には、Miraiというマルウェアに感染したウェブカメラやルーターなどのIoT機器が、大規模なサイバー攻撃(DDoS攻撃)に悪用されました。この攻撃により、アメリカの大手ウェブサイトがダウンしたり、インターネットの速度が低下したりしました。
ランサムウェアによる金銭要求
2017年には、LGのスマートテレビがハッキングされ、ランサムウェアに感染しました。
ランサムウェアとは、データを暗号化して解除するまで金銭を要求するマルウェアです。
この事件では、テレビの画面に「あなたのテレビはロックされました。解除するには500ドルを支払ってください」というメッセージが表示されました。
ハッキングによる攻撃
2019年には、GoogleのスマートスピーカーであるNestがハッキングされ、住宅の所有者に不気味な声や音楽を流されたり、サーモスタットの設定を変えられたりしました。
この事件では、ハッカーはNestのパスワードを盗んだのではなく、他のサービスで使われていた同じパスワードを使ってログインしたとされています。
安心安全なIoT家電・スマートホームサービスを選ぶポイント

これまでIoT機器の危険性を紹介してきましたが、IoT機器を利用すると便利で快適な生活ができるのも事実です。
ここでは、IoT機器のある生活の便利さを改めて紹介するとともに、安心・安全にIoT家電を選ぶポイントについて解説します。
活用すると便利なIoT家電
IoT家電だとインターネットに接続して、スマートフォンやスマートスピーカーなどから遠隔操作したり、音声操作したりできます。
IoT家電の便利さは、以下のような点にあるといえるでしょう。
- 節電:IoT家電では、家電の稼働状況や消費電力をスマホアプリなどで確認できるので、無駄な電力消費を抑えることができます。
また、外出時に家電の電源を切り忘れた場合も、スマホから操作できるので安心です。
- 防犯:IoT家電には、自宅の鍵や照明などを外出先から操作できるものがあります。
これにより、留守中に不審者に気づかれないようにしたり、急な来客に対応したりできます。
- 便利:IoT家電には、手がふさがっているときや、スマホやリモコンが手元にないときに、音声で家電を操作できるものがあります。
たとえば、スマートスピーカーに話しかけるだけで、音楽を再生したり、照明の明るさを調整したりできます。
このように、IoT家電は日々の暮らしをより快適にするツールの一つとして、さまざまな可能性を秘めています。
メリットとデメリットを理解して利用しましょう
IoT家電を使うかどうかは、つまるところ個人の判断になります。
IoT家電には、便利さや快適さなどのメリットがありますが、セキュリティやプライバシーなどのデメリットもあります。
IoT家電を使う場合は、そのリスクを理解し、対策を行うことが必要です。
IoT家電を使わない場合は、そのリスクを避けることができますが、そのメリットも享受できません。
IoT家電を使うかどうかを決める際には、以下のようなことを考えると良いでしょう。
- IoT家電が提供する機能やサービスは、あなたの生活にとってどれほど必要か、または望ましいか。
- IoT家電が収集や利用する個人情報は、あなたにとってどれほど重要か、または敏感か。
- IoT家電のセキュリティやプライバシーに関する同意や設定は、あなたにとってどれほど分かりやすく、または操作しやすいか。
- IoT家電のメーカーやサービス提供者は、あなたにとってどれほど信頼できるか、または安心できるか。
IoT家電(スマート家電)のメリットとデメリットについてはこちらで詳しく紹介しています。
関連記事:スマートホーム家電を解説。メリット・デメリットや効果的な活用法を解説
安心安全なIoT家電・スマートホームサービスを選ぶポイント
安心安全なIoT家電・スマートホームサービスを選ぶポイントは、以下のようなものがあります。
セキュリティ対策
IoT家電やスマートホームサービスは、インターネットに接続されているため、ハッキングや不正アクセスなどのセキュリティリスクがあります。
そのため、製品やサービスのセキュリティレベルや更新頻度、個人情報の取り扱いなどを確認することが重要です。
互換性
IoT家電やスマートホームサービスは、さまざまなメーカーやプラットフォームから提供されていますが、すべてに互換性があるとは限りません。
そのため、自分が利用したい機能やサービスが、自分の持っているスマホやスマートスピーカーなどと連携できるかどうかを確認することが重要です。
サポート
IoT家電やスマートホームサービスは、設定や操作が複雑になることがあります。
また、故障やトラブルが発生する可能性もあります。
そのため、製品やサービスのサポート体制やアフターサービスの充実度を確認することが重要です。
以上のように、安心安全なIoT家電・スマートホームサービスを選ぶには、セキュリティ対策、互換性、サポートの3つのポイントに注意することがおすすめです。
信頼できるスマートホームメーカーに相談しましょう
スマートホームメーカーは、IoT家電の規格や仕様に詳しく、最適なセキュリティ対策を提案してくれる可能性が高く、自社の製品やサービスとの互換性や連携性を考慮して、IoT家電の設定や管理をサポートしてくれる可能性が高いといえます。
また、スマートホームメーカーは、IoT家電のセキュリティに関する最新の情報やトレンドを把握しており、将来的なリスクや課題に対応してくれるでしょう。
一方で、スマートホームメーカーは、自社の製品やサービスを優先して勧めることがあり、他社の製品やサービスとの比較や選択が難しくなることがあります。
また、スマートホームメーカーは、IoT家電のセキュリティに関する専門的な知識や用語を使うことがあり、一般のユーザーにとって理解しにくいことがあります。
以上のように、スマートホームメーカーに相談するメリットとデメリットは、メーカーの信頼性やサービスの質によって異なります。IoT家電セキュリティに関心がある場合は、複数のメーカーに相談して、自分のニーズや予算に合ったものを選ぶことが大切です。



