スマートホームの市場規模を解説。拡大する理由とスマートホームの未来を考える
近年普及が進むスマートホーム。その市場規模はどのくらいなのでしょうか。
日本国内や海外のスマートホーム市場を解説すると共に、市場が拡大する理由や今後スマートホームがどのように発展していくのかについて考えます。
国内スマートホーム市場規模は4,320億円
現在のスマートホーム市場はどのような状況なのか、また、今後の見通しはどうなっていくのかを市場調査を参考にしながらみてみましょう。
日本のスマートホーム市場規模は拡大傾向2030年には2倍に
iX+(イクタス)の記事によると、調査会社のシード・プランニングでは、2019年度では360万戸だったスマートホームは、2027年度に880万戸、2030年度には1,120万戸に増加し、累計の市場規模も2019年度の4,320億円から2027年度には1兆560億円、2030年度には1兆3,440億円に増加すると予測しています。
家中の家電を1つにつなぐ「スマートホーム」、市場規模は2030年に2倍 | 記事一覧 | iX+(イクタス)| デジタルの恩恵を
「人口が減少する中で付加価値が高い住宅の需要が増えるため、スマートホームを導入する事例が増えていき、顧客が必要なものだけを選択できる方式のスマートホームが普及していくだろう」とのことです。
世界のスマートホーム市場の現在
世界のスマートホーム市場規模は、2022年に 802億1,000万米ドルとされ、2023年の939億8,000 万米ドルから 2030年までに 3,382億8,000万米ドルに成長し、予測期間中に20.1% の CAGR(年間平均成長率)を示すと予測されています。
スマートホーム市場規模、シェア、トレンド |統計 [2030]から引用
市場の成長を促す要因として以下のことがあげられています。
- インターネットユーザー数の増加
- 発展途上国の顧客の可処分所得の増加
- 遠隔地での家庭監視の重要性の高まり
- エネルギー効率が高く低炭素排出のソリューションに対するニーズの高まり
- 新型コロナウイルス感染症のパンデミック
北米でのスマートホーム市場の動向予測があげられているので参考に掲載します。
市場拡大の今後の課題
日本においてスマートホーム市場が米国や中国などの海外に比べて普及が遅れていた理由として、メーカーごとで機能やアプリが異なるため互換性がなく、統合的でシームレスなサービスを生み出すことが難しかった点が挙げられています。
また、海外市場においても成長を促進するためには、相互運用が可能であり、エネルギー効率が高いスマート ホームシステムの導入を増やすことが重要だとされています。
相互運用可能なスマートデバイス
相互運用可能なスマートデバイスとは、メーカーやブランドに関係なくシームレスに連携するように設計されたデバイスです。
消費エネルギーを削減するスマートデバイスの導入
機能を犠牲にすることなく消費エネルギーの削減をするスマートデバイスも求められています。
LEDや低電力プロセッサ、省電力技術などのエネルギー効率が高い技術の活用がカギとなるでしょう。
スマートホームの市場が今後も拡大する理由
これまでみてきたように、今後もスマートホーム市場が拡大していく理由について検討してみます。
なぜスマートホーム市場が拡大しているのか
スマートホームの市場が今後も拡大する理由としては、以下の点が挙げられます。
- スマートホームは、エネルギーの節約やセキュリティーの向上など、環境や社会の課題に対応できるメリットがあるから
- スマートホームは、スマートフォンやスマートスピーカーなどと連携して、音声やタッチで操作できるため、使いやすくなっているから
- スマートホームは、少子高齢化や共働き世帯の増加など、ライフスタイルの変化に合わせて、見守りや家事の支援など、生活の質を向上させる機能が充実しているから
以上のように、スマートホームは、多くの人々のニーズに応えることができるため、市場が今後も拡大すると考えられます。
少子高齢化や共働き世帯がスマートホーム市場を大きくする
下記のグラフは平成30年に男女共同参画局が公表した資料です。
平成9年以降は専業主婦世帯を共働き世帯が上回っている状況がわかります。
このように共働き世帯が増えていることで、家事の効率化などを目的にスマートホームに対する関心が高まっているとみられています。
また、少子高齢化によって増える遠方の高齢者の見守りや介護なども、スマートホームの需要を高めています。
見守り家電を導入することで、年老いた親が起きた時間や朝ごはんを炊いた時間、お茶を沸かした時間などの生活情報を遠隔地から確認するといった活用も進んでいます。
スマートホームのメリット
スマートホームのメリットは、以下のようにまとめられます。
エネルギーの節約
スマートホームは、温度や照明などを自動調整したり、使用状況に応じて電源をオンオフしたりすることで、エネルギーの消費を抑えられます。
セキュリティーの向上
スマートホームは、ドアや窓の施錠や解錠、防犯カメラやセンサーの監視、異常や侵入の検知などをリモートで行うことができます。
生活の快適さと便利さ
スマートホームは、音声やタッチで操作できるため、手間や時間をかけずに家の設備や家電をコントロールできます。
また、天気やニュース、レシピなどの情報を提供してくれたり、音楽や映画などのエンターテイメントを楽しんだりすることもできます。
生活の質の向上
スマートホームは、高齢者や障害者の見守りや介護、子供やペットの世話、家事や買い物の支援など、生活に必要なサポートを提供できます。
スマートホームは、これらのメリットを享受するために、さまざまなデバイスやアプリを組み合わせて、自分の好みや目的に合わせてカスタマイズすることができます。
スマートホームの認知度や導入が高まっている
以上のような背景から、スマートホームに対する認知度や導入率が実際に高まっているとする調査結果が公表されています。
ここでは、日本経済新聞に掲載された資料を引用して紹介します。
アクセルラボが消費者向けに実施した調査によると「スマートホームがどのようなものかを知っている人」の割合が2019年の前回調査時点の1割強から3割を上回る結果になりました。
「スマートホームを利用している人」の割合も4.03%と、前回の1.80%から2.23ポイント上昇しています。
調査期間:23年4月21〜26日にインターネット上で実施
調査対象者:自宅にネット環境がある18〜69歳の男女
有効回答数:1万人
スマートホームの導入や検討の背景のほか機器ごとの質問などの細かい調査では618人
スマートホームの利用状況の年代別調査では30〜34歳の割合が7.87%と最も高く、35〜39歳(7.29%)、20〜24歳(6.24%)となっています。
男女別の導入割合では女性2.43%、男性5.62%と男性が高めの結果となっています。
その他の調査結果は次のようになっています。
住宅の種別ごとの導入率
- 一戸建ての注文住宅:5.14%
- 戸建て賃貸:4.36%
- 賃貸マンション:4.20%
持ち家と賃貸での割合
- 賃貸:3.36%
- 持ち家:4.62%
スマートホーム導入のきっかけになった動機では、賃貸集合住宅の場合は集客のためでしょうか「機能の便利さ」が14.78%と最も高くなっており、分譲集合住宅の場合は「家電の購入・買い替え」のついでに導入するものでしょう、こちらが20.37%と最も高くなっていました。
戸建て住宅では「家のセキュリティーや安全性が不安」とするものが10.37%となっており、5%未満の集合住宅よりも高い傾向があることが特長的です。
未来のスマートホームサービスとはどういったもの?
今後も拡大していくことが予測されるスマートホームですが、将来的にどのようなスマートホームサービスが提供されていくのか楽しみです。
ここでは、未来のスマートホームサービスについて予測してみましょう。
将来的にはどのようなスマートホームサービスが生まれる?
将来的には、スマートホームはさらに進化して、人工知能やロボット、ビッグデータなどの技術を活用して、生活空間のカスタマイズや健康管理、防災・危機管理、娯楽・エンターテイメントなどの革新的なサービスを提供すると考えられます。
たとえば、以下のようなスマートホームサービスが想像できます。
- 冷蔵庫が食材の在庫や消費期限を管理し、レシピや買い物リストを提案する
- エアコンや照明が居住者の好みや行動パターンに合わせて自動で調整する
- 音声やジェスチャーで家電や家具を操作できる
- ホームシアターやVRゴーグルで映画やゲームを楽しめる
- 家庭用ロボットが掃除や洗濯などの家事を代行する
- センサーやカメラが居住者の健康状態や安否をチェックし、必要に応じて医療機関や家族に連絡する
- 災害や侵入者などの緊急事態に対応して、避難や防御の指示を出す
これらのサービスは、スマートホームの機能や利用者のニーズに応じて変化していくと思われます。
スマートホームの未来については、まだまだ分からないことも多いですが、私たちの暮らしをより良くするために、さまざまな産業や行政が協力して研究や開発を進めています。
スマートホームサービス会社に問い合わせてみましょう
スマートホームの導入に悩んだり、検討をはじめたりするときにはスマートホームサービス提供会社に相談してみましょう。
スマートホームは、暮らしを便利で快適で安全にするだけでなく、エネルギーの節約や環境保護にも貢献することができます。
スマートホームを導入する際には、スマートホームサービス会社に相談することで、より良い結果を得ることができるでしょう。
スマートホームサービス会社の選び方
スマートホームサービス会社を選ぶときには、以下のようなポイントに注意すると良いでしょう。
- スマートホーム化の目的やニーズに合わせたサービスやプランを提供しているか
- スマートホームの機器やシステムの品質・性能が高いか
- スマートホームの設置や設定、メンテナンスやアップデートなどのサポートが充実しているか
- スマートホームの料金や契約条件が明確で、コストパフォーマンスが高いか
- スマートホームの利用者の評判や口コミが良いか
これらのポイントをもとに、複数のスマートホームサービス会社を比較検討し、自分に最適な会社を選ぶことが大切です。